天パー侍と絶刀の少女   作:悪維持

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こんにちは、悪維持です!

今回は一誠の過去編をお送りします。

そして、あのマフィアボスが登場!?


それでは、本編スタート!!


第拾陸話 ヤギとか○はめ波

 

 

 

ーーーーーーーー数年前ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ザァァァァ…………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日の光が隠れ、灰色に染まった空に一粒……二粒と次々に雫石が落ちて雨と変わった駒王町の公園のブランコに座った一人の子供が黄昏ていた。子供の名は兵藤 一誠………彼は両親を早くに事故で亡くし、ほどなく親戚に引き取られたが……その親戚はアルコール中毒で幼い一誠に酒を買わせようとしていた。もちろん当時の一誠にはお酒を買う事はおろか、買い方もお金の使い方も知らなかった。

 

 

 

しかし、その親戚は何も知らない一誠へ怒りを露にし"(しつけ)"と言わんばかりに暴力を振るった。最初も一誠は親戚の家族に助けを求めたが……家族も誰もが自分は関係無いと言わんばかりに助けを求める一誠を見放した。

 

 

"(しつけ)"と言って暴力を振るう親戚と、助けもしない親戚の家族………一誠は暴力と孤独……そして死の恐怖に耐えきれなくなり、親戚が住まう家から逃亡し今に至る。

 

 

一誠の瞳から雨と共に涙がぽつり、ぽつりと流れ……首もとにかけた銀色のロザリオを見つめ鳴嘔を漏らす。

 

 

 

 

 

 

 

『ヒッグ……ヒッグ………お父さん……お母さん………………イリナちゃん……』

 

 

 

 

 

 

 

 

抑えきれない悲しみに一誠はいなくなってしまった両親と、親の都合により外国へ旅立ってしまった幼なじみの少女の名を呼びながら泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故こうなってしまった……

 

 

 

 

 

 

 

何故、両親は自分を置いて死んでしまったんだ…………

 

 

 

 

 

 

何故、自分がこんな仕打ちを受けなくてはならない………

 

 

 

 

 

 

 

自分が一体、何をした…………

 

 

 

 

 

 

憎い………この町に……いや、世の中にある全ての不条理が怨めしい…………!!

 

 

 

 

 

 

一誠は怨んだ……自分の見に起きた不幸を、己が惨めな運命…………そして、自分の大切なモノを守れず、ふりかかる不幸と理不尽な運命を打ち砕けない自身の弱さを…………

 

 

 

 

 

自身の運命に対する哀しみと共に、己が弱さに対する怒りを募らせていると…………

 

 

 

 

『おや?首領(ドン)、こんな雨の日に子供が一人で…………』

 

 

『あろ?本当であろー しかし何故……』

 

 

 

 

入り口付近で二人の男性の声が耳に入った。一人は30代から40代くらいの男性で、もう一人は初老の男性だと一誠は推測できた。

 

 

 

 

『これ、そこの子供。お主なぜ泣いておろー?』

 

 

『ふぇ……?』

 

 

 

 

 

一誠は声をかけられ、ゆっくりと顔をもちあげた。

 

 

その目前には身長は自分と同じくらいあり、二つの横長い黄色の瞳に頭に生えた二本の小さな角、白い毛皮をした何か……だが、一誠はその何かの正体を知っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『しゃべる……ヤギさん?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、ヤギである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そのヤギは黒いマントを纏い二足方向だ。どう見てもヤギ、何処から見てもヤギ、絶対ヤギである。

 

 

 

 

 

そのヤギの傍らにいるのは道場着に似た和服を着用し、顔を布袋で覆った男性で、日本通なのか古典好きなのか番傘で雨をしのいでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『失敬な!誰が"しゃべるヤギさん"であろー!?非道秀麗、極悪非道!イタリアマフィア【ヴァレンティーノファミリー】を束ねる首領!!我が名は首領(ドン)・ヴァレンティィィノッ!!!』

 

 

『さすがは首領(ドン)!素晴らしい名乗りでしたよ!!』

 

 

『褒めるでなかろー テレるであろー』///

 

 

 

 

 

 

一誠がヤギと呼んだのが気に入らないのか、自分の素性を悪役の名乗り風に名乗ったヤギ………ヴァレンティーノは蹄を一誠に向ける。袋の男はヴァレンティーノの名乗りが素晴らしいと拍手喝采で褒めちぎり、褒められた彼はテレる様にクネクネと揺れる。

 

 

 

そんな二人のやり取りを見た一誠は、少しだけ笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

『……クスッ』

 

 

『ちょっと、貴方何笑っているんですか?首領(ドン)がかっこよく名乗ったと言うのに何処に笑う要素があると言うのですか!?首領(ドン)に対して失礼千万ですよ!!』

 

 

『ヒッ……!』

 

 

『落ち着くであろー ロレンツォ!相手はまだ年端もいかぬ子供であろー!!』

 

 

『はっ!?す、すみません……つい…………』

 

 

 

 

 

 

 

袋の男……ロレンツォは威圧感で睨みながら先ほど笑っていた一誠にドンドンと少しずつ歩み寄る。ロレンツォを怖がっている一誠を見たヴァレンティーノは、一誠の前に立って彼を宥める。

 

 

 

 

 

 

 

『すまぬのこやつはワシの右腕なのじゃ。それよりも、お主こんな天気に何故公園におろー?親が心配するのであろうに……』

 

 

『…………お父さんとお母さん……もういない……僕を置いて死んじゃったんだ………』

 

 

『そうであったのか………辛かったろうの……』

 

 

 

 

 

 

 

一誠の事情を知ったヴァレンティーノは、一時考える…………

 

 

 

 

そして、頭の電球がピカリと輝いた瞬間にヴァレンティーノは一誠に思い付いた提案を述べた。

 

 

 

 

 

 

 

『……のぉ、子供。もし良かったらワシのファミリーにならぬか?』

 

 

『ファミリー?』

 

 

『そう、ファミリーは英語で家族を意味する……今日からワシ等がお主の家族の代わりになってやろう。ロレンツォも良いな?』

 

 

『私は首領(ドン)の意思を尊重いたします。首領(ドン)がお決めになられたのなら私は何も申しません』

 

 

『うむ。そう言えばお主の名をまだ聞いておらぬな……お主、名はなんと言うのじゃ?』

 

 

『イッセー…………僕は兵藤 一誠』

 

 

『イッセーか……良い名であろー さて、我がファミリーに加わるのであれば、ワシの事は首領(ドン)と呼ぶであろー』

 

 

『うん、ありがとう首領(ドン)!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして少年……兵藤 一誠は、首領・ヴァレンティーノが束ねるヴァレンティーノファミリーの一員となったのであった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一誠side

 

 

 

 

 

 

「ん…………んん~!はぁ、懐かしい夢を見たな…………」

 

 

 

俺は学園の屋上で昼寝をしてたら、ずいぶんと昔の夢を見た。

 

 

 

 

 

そう、俺と首領(ドン)が出会った頃の夢だ。

 

 

 

 

首領(ドン)にロレンツォ叔父さん、ガブ義姉に義妹のノア。もしあの時、ファミリーのみんなに出会えなかったら、今の俺は此処にはいないし……いつかこの町でやる事もできなかった。

 

 

 

「か~、○~、は~、め~…………波ァァァ!!!」

 

 

 

 

そういや、この前久沢のバカに絡まれてた一年がお礼を言いに来て………その次に生徒会の支取生徒会長と同級生の匙が来たのは驚いたな……何か問題を起こしたのかと思ったら、今朝方エロコンビの被害者だった女子達の代役に生徒会長直々のお礼を言われたっけ…………まぁ、匙からは複雑そうな視線を向けられたけどな?……今度アイツに何か奢ってやるか。

 

 

 

 

「か~、○~、は~、め~…………波ァァァ!!!」

 

 

 

 

あ、確か明後日はノアの誕生日だったな。久しぶりに首領(ドン)家に行ってみるか……此所ん所顔出してねぇからな。まぁ、帰って来たらでロレンツォ叔父さんやガブ義姉の威圧とかプレゼントされそうで怖い。ノアのプレゼントはやっぱり香水……って、まだ中学生には早いよな。良しあのエロコンビを差し出そう、根は煩悩ばっかだがアイツ等は腐っても成長期の男。ノアは「氷河期でも生き残れそうな生命力を持つ人間がコロッと逝く」ことを生き甲斐にしてるからな……まぁ、肉体改造とかすれば喜ぶだろ。

 

 

 

 

「なんか違うな……もうちょい、アレだな。か~、○~、は~、め~「うるせぇェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!」ゴブラッシュ!!??」

 

 

 

俺はおもっくそでっかい声でか○はめ波の練習をしてた坂田先生……銀さんへドロップキックを浴びせる。二、三回バウンドし、大の字で倒れた天パの胸ぐらを掴んで無理やり起き上がらせる。

 

 

 

 

「おいコラ先公、一体何やってんだ昼休みの屋上で……」

 

 

「何って決まってんじゃん……か○はめ波の練習だ。派手な必殺技を伝授しようと思ってよ」

 

 

「いや、それ人の必殺技だろうが!人類できねぇ処か、アンタは絶対できねぇよ!!一回死んで○王星に行くかゴラァ!!!」

 

 

「うっせぇぇ!!か○はめ波はな、ジャンプ愛好家にとってのロマンだ!!」

 

 

「んなもん知る訳ねぇだろうが!!」

 

 

 

 

 

銀さんとできるできないの口論をしてると、扉から見覚えのある金髪の男子生徒がやって来た。

 

 

 

「やっぱり此処に居た」

 

 

「ん?おう、木場じゃねぇか」

 

 

「あり、お前等知り合いな訳?」

 

 

「はい、イッセー君とは去年のクラスメイトなんです」

 

 

「まぁ、そういうこったな。んで、何か用か?」

 

 

 

去年のクラスメイトである木場に俺を訪ねてきた訳を聞くと……少しだけ表情を暗くしながら口を開いた。

 

 

 

「実はうちの部長……リアス・グレモリー部長がイッセー君に用があるみたいなんだけど…」

 

 

「グレモリー先輩が?」

 

 

「うん……ほら、イッセー君はこの学園の有名人だからさ……是非、話がしたいって」

 

 

「ふぅ~ん。放課後じゃダメか?」

 

 

「えっ!?」

 

 

「……っ!?」

 

 

 

俺の答えに木場はおろか銀さんも思わず目を丸くした。

 

 

 

「木場、何驚いてんだよ?お前ん所の部長が俺に話があるから、お前を寄越したんだろ?」

 

 

「そ、それはそうだけど…………」

 

 

「だったら尚の事、会いに行こうじゃねぇか?そのリアス・グレモリー先輩にな?」

 

 

『小僧、どういう風の吹き回しだ?』

 

 

(なぁに、ちょいとばかしマフィアの一員として悪魔の親玉に挨拶ぐらいはしておかねぇと行かねぇだろ?)

 

 

『だが、相手は魔王の妹とそこの金髪小僧を加えた眷属共だ……お前一人でヤれると思わねぇな?』

 

 

(その時その時で返り討ちにするだけさ……俺を誰だと思ってんだ?ヴァレンティーノファミリー幹部の兵藤 一誠だぜ?)

 

 

『ククク……そうだったな?』

 

 

「つー訳で木場……放課後、2ーBの教室に来てくれ」

 

 

「…………うん、わかったよ」

 

 

 

木場は不安そうに頷くと、そのまま屋上を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

(さて、どう動く?リアス・グレモリー……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(イッセーのあの顔、なんか企んでんな………だが、グレモリーも裏でコソコソなんかしてんのは確かだ……一回キャロルに報告しておくか…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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キャスト

 

 

坂田 銀時:杉田智和

 

 

 

兵藤 一誠:梶裕貴

 

 

 

謎の声:中尾隆聖

 

 

木場 祐斗:野島健児

 

 

 

 

 

首領・ヴァレンティーノ:大川透

ロレンツォ:小杉十郎太

 

 

 

 

 




と、言うわけで次回はグレモリー眷属と接触回です!!


そして、いよいよイッセーに宿るナニカの正体が……!!


次回もお楽しみに!!

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