第壱話 異世界到来
それは……数年前か、数千年前の事かも知れない昔の事…………
この世界では悪魔、天使、堕天使と呼ばれる人ならざる者達の三大勢力が世界の覇権を巡り、争いが勃発した。
だが、争いが続くにつれ……彼等は龍の中でも最強と謳われた二天龍である
戦争後、神器に封印された二天龍の行方は三大勢力の捜索も虚しく、継続不可能と考え、捜索に手を引いたが……悪魔側の少数が探しているという噂だとか…………
そして長い時が流れて…………現在…………
ここは
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ここは駒王町のとある一角にある公園………日が隠れて夜になり、三日月が輝いている時間帯では一組のカップルが夜空を眺めていた。
「あっ!見て、あそこに流れ星が」
「え?何処何処?」
「あっ、 消えちゃったか……」
「うっそ~ 見たかったのになぁ~」
「いるじゃないか、僕と言う流れ星……」
「あっ!一番星!!」
「ちょっ!?俺の話聞いてる!?」
「ほらっ!あの星、一番光ってるよ♪」
「本当だ……はっ、ゴホンッ!でも一番輝いてるのは僕と君の愛さ……」
「あぁ、はいはい」
「……泣いていい?」
「どうぞ」
「うわぁぁぁぁん!お星さまなんて嫌いだバッキャロォォォォォォォォ!!!」
なんて平和な風景でアホなやり取りであろうか……すると…………
『……ぁぁぁぁ』
「あれ?ねぇ、何か聞こえない?」
「グズッ……何って、何が?」
「ほらっ、耳をすませば聞こえるでしょ?」
「ん?」
女性がそう言うと、泣きべそをかいてた彼氏の男性も耳をすませてみる。
『あぁぁぁぁ……!』
「確かに聞こえる……でも、何処から?」
「あっ、何あれ?」
「え?」
女性が夜空で何かを見つけ、指先を向ける。男性は彼女の指先に向けたところに目を向けると……
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!?」
空から何かが落ちてきて、勢いよく地面に激突した。おそるおそる近づくと……そこには人型のクレーターができていた。
「な、何だ!?」
「もしかして……宇宙人?」
「ま、まさか……宇宙人なんて居る筈が『ガシッ!』……ギョッ!?」
何かに足を掴まれた感覚がした男性は、油が切れたブリキの玩具のように足元に視線を向ける。するとクレーターから出てきた銀髪の男が自分の足を掴みながら這い上がって来たのだ。しかも頭から血を流し、充血した目を自分達に向けながら……
「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?で、でで!?出たぁあああああああああああああ!!??」
「いぃやぁぁぁ!!」
「ゲシュペンシュトッ!?」
女性が悲鳴を上げながら、這い上がろうとした銀髪の男の顔目掛けて強力な蹴りを食らわせる。銀髪は勢いよく吹っ飛ばされ木に激突し、ピクリとも動かなくなった。
「さっ!今のうちに逃げるわよ!!」
「……ッ!は、はいぃぃぃ!!!」
彼女のものすごい蹴りを間近に見た男はしばらく唖然としてたが、彼女の力強い言葉で気がつき一緒にその場から逃げた。
一方、空から降ってきた銀髪の男……もとい銀時はと言うと………
「い、痛って~!な、何だってんだよ…………」
意外と無事であった。原作の『紅桜編』や『真選組動乱編』、『吉原炎上編』に『紅蜘蛛編』、『四天王編』でも普通なら死んでも可笑しくないくらいの大怪我を負っているが……どうやら悪運が強いのか、何と言うか……
「いや、何と言うかじゃねぇよ。何度、原作で死にかけたと思ってんの?この作品で俺殺す気なの?ねぇ?」
あの、銀さん……地の文読むの止めてくれません?一応僕、この作品の作者なんですけど……ゴッホん!話を戻しますよ?
「おい、こっちは無視かい傷だらけの主役は……それにしてもここが異世界か?」
そう言いつつ、銀時はフラフラと起き上がり、周りを見回す。町並みは自分達の町と似ているが、古風な建物が無く周りの人間が着ている服装が異なっているのを推測し、異世界だとわかった。
「マジで異世界に来ちまったのかよ……あの女の言ってたのはデマかせじゃねぇって事か…」
銀時は自分を異世界に送った張本人……薫の言葉が嘘では無く真実だと知ると、頭を掻きながらため息をついた。
「はぁ……こうなったら、しゃあねぇ………とりあえずこの世界に馴染むためにも名物とかそういうモンでも見て回るか…」
向こうで死んだと宣告され、かぶき町に戻る手段も無いと悟った銀時はまずこの世界の事を知るために公園を出て、街へと向かった。数分街を見て回ると、自分の世界とは違うモノが多々あった。電化製品や食べ物の種類、そしてテレビなどで放映されている番組等々……自分の世界にあって無い物があると知るには十分ある。
これを知り合いの
「げっ!マジかよ、傘持ってないんだけど!?」
急いで雨宿りできる場所を探していると、町外れの廃ビルに行き着いた。
「ふぃ~ 近くに良い所があって良かったぜ……しばらくはここで雨が止むのを待……「ギャアアアアアアアアア!!」…………ッ?!?!」
そう安心していると叫び声がビル全体に響き渡る。銀時はドキッと震え上がり、大量の汗を流していた。
原作を知っている皆さんはご存知だろうが、銀時はホラー系が大の苦手であるため、こう言う廃墟+不気味+悲鳴が揃っている雰囲気だけで恐怖スイッチが入ってしまうのだ。
「は、ははは……き、気のせい……気のせいだよな?あっ!そうだ、こんな時はドラ◯もんの歌だ!!そうだ歌えば怖くないぞ!?うん!!!」
銀時も突然の悲鳴に即刻パニクり、有名猫型ロボットのテーマソングを歌い出した。
「あんな事良いな!出来たら良いな!あんな夢こんな夢いっぱいある~けど~!みんなみんなみ~んな!叶えてく~れる!不思議な道具で叶えてく~れ~る~!空を自由に……って、この続き忘れた…………」
「飛~びたいな♪じゃないの?」
「あっ、そうだ!それそ…………れ?」
銀時が歌の続きを忘れてしまい困っていると、ふと誰かが続きを教えてくれた。だが、ここには銀時以外誰も居ない…………銀時は顔を青くし首をギギギと動かすと………誰も居なかった。
「あ、あはは……き、気のせい気のせい……気のせいだよ、きっと……」
「ちょいと、お兄さん?」
「ヒッ!?」
苦笑しながら気のせいと認識する銀時だが、誰かに声をかけられて振り向くも……誰もおらず………………青かった顔が、白くなってきて汗も滝の様に早く流れていた。そして追い討ちをかけるがごとく…………
『ーピチャッ』
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!????」
たった雨の雫石一つが首元に当たると、張り詰めすぎた恐怖ゲージがMAXとなり銀時は廃ビルの上の階へ絶叫しながら疾駆した。
すると、向こうの影から一人の少女が爆笑しながら現れる。
「キャハハハ!!マジでうけるんですけどアレ!ちょっと声かけたらビビって、その後絶叫しながらダッシュって……ガリィちゃんお腹痛ぁ~い!!キャハハハハハハ!!ヒィヒィ……笑い死ぬぅ~!クヒヒ…………」
黒髪のセミロングに青を基調としたゴスロリチックな衣装を纏った少女ーガリィは、先程銀時に声をかけた人物であるが……どうにも性根が腐っているのか、銀時のビビる反応を面白がっていた様で、今でも笑い転げている。
『ガリィ、おいガリィ!聞いてるのか!?』
「はぁ……はぁ…………ハイハイ、こちらガリィですぅ~」
ガリィは笑いを抑えながら、誰かと連絡を取り始めた。
『目的地には着いた様だな?……と言うか一体何を見て大爆笑してたんだ?』
「あぁ、お気になさらずに"マスター"。ちゃぁんと遂行させて見せますからぁ~」
『そうか……今、其処にグレモリーの小娘とその眷属が向かっている………直ぐに終わらせて戻って来い。良いな?』
「りょうかーい!ガリィ、がんばりま~す☆……あぁ、かったる……サク、サクッと終わらせますか」
マスターと言う人物との連絡を終えるとガリィはやるせない態度をとった後、バレリーナの様にクルクル回り始めた。すると内部全体に水蒸気が発生したのを確認し、床を滑るかの様に上の階へと向かった。そこに残っていたのは、まるでスケート靴で走ったかのように凍った跡だけであった。
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キャスト
坂田 銀時:杉田智和
キャロル・マールス・ディーンハイム:水瀬いのり
ガリィ・トゥーマーン:村瀬迪与
叫び声:水原薫
男性:古川慎
女性:赤崎千夏