天パー侍と絶刀の少女   作:悪維持

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第拾惨話 同棲生活

 

少女との邂逅から数日……銀時は茶色の帽子を頭に被って灰色のスーツにそれと変わらないコートを纏い、黒いサングラスをかけたサラリーマンみたいな格好で駒王町へと赴いていた。

 

 

 

「ったく……何で俺がこんな格好して、行かなきゃなんねぇんだ…………っと、そろそろ時間か……」

 

 

 

銀時は文句をたれながらも、左腕の時計の時刻を確認し……ベンチへと腰をかけた。すると向かいの場所から黒髪で紫のコートを纏い、頭にはピンクの帽子をかぶり黒メガネをかけ、紙袋を持った美女がベンチ……銀時の隣へと座る。

 

 

 

「お隣……よろしいですか?」

 

 

「どうぞ……」

 

 

「良いお天気ですわね……」

 

 

「そうだな………例のブツは?」

 

 

「はい………こちらに」

 

 

 

そう言うと、黒メガネの美女は持っていた紙袋を銀時へと手渡した。銀時は紙袋の中身を一瞬見た後、コートの懐から一枚の手紙を美女に手渡した。

 

 

 

「確かに…エルフナイン様の直筆に間違いありませんわ」

 

 

「こっちもブツの確認はすんだぜ?そんじゃ俺はこれで……」

 

 

「お待ちください、よろしければこれを……」

 

 

「んあ?」

 

 

 

銀時が紙袋を持って立ち去ろうとすると、美女はポケットから一枚の紙切れを銀時のコートのポケットへとしのばせた。

 

 

 

「お困りになられた際にはそこへ訪ねてくださいまし……では…………」

 

 

 

そう言い残し、黒メガネの美女は何処かへと姿を消した。銀時は美女が行ったのを確認し、紙袋を持ってその場を後にした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

数分後、銀時は駒王町で有名な高級マンションへと足を運んでいた。エレベーターで上の階へ上がり、[1010号室 ]と記入された部屋のドアを開け、玄関に靴を脱ぎ捨ててリビングへと入室した。すると、そこにはシャトーで拘束されている筈の青髪の少女がソファーに座わりながら読書を嗜んでいた。しかし、未だに囚人服を纏ったままだが………銀時はお構い無しにコートを脱ぎ捨てる。

 

 

 

「帰ったぞ~」

 

 

「おかえりなさい」

 

 

「おぉ。ほい、プレゼント」

 

 

「あの……これは?」

 

 

「お前の服だよ。何時までもその格好だと味気ないからよ?知り合いから調達してもらったってわけ」

 

 

「すみません銀時さん……私の為に…」

 

 

「これぐらい気にすんな。それと銀時さんはよせって言ったろ?翼」

 

 

「あ……ごめんなさい。でも年上の人は敬語で話さなきゃと思って…………」

 

 

「あっそ、ふわぁ~ そんじゃ……俺は一眠りするわ……何かあったら起こしてくれ…………」

 

 

「うん……お休み、銀時///」

 

 

「あぁ」

 

 

 

何故……銀時が、件の少女ー翼と高級マンションで同棲しているのか…………それは数日前から遡る。

 

 

 

 

ーー回想ーー

 

 

 

 

『えぇ……これより被告人、坂田 銀時氏の裁判を執り行います。まずは検察官のレイア・ダラーヒム氏、被告の罪状を述べてください』

 

 

『派手に畏まりました。被告、坂田 銀時は数時間前……こちらで隔離している被害者に性的暴行を行おうとしました。よって、被告には有罪判決を……『おい、何してんだてめぇら?』……派手に見ての通り、お前の裁判だが?』

 

 

『だから、アレはワザとじゃねぇって言ってんだろが!』

 

 

『裁判長、被告には反省の態度が見えません!即刻、死刑判決を!!』

 

 

『てめぇもてめぇでなに俺を死刑にしようとしてんだ!?そもそもお前が……『被告は静粛に!ここは裁判所ですよ?』何でお前まで役になりきってんだぁ!?』

 

 

 

あの一件の後、セクハラの疑いをかけられた銀時はエルフナイン達シャトーの住人により開かれた大裁判の被告となっていた。配役はファラを裁判長、レイアが検察官、傍聴席にはガリィとレイアとあまり変わらない容姿と服装でも髪をツインテールにし、スカートを穿いた少女ーミュンツェ・ダラーヒムが座り、エルフナインとミカが警察官役で銀時を挟むように座っていた。

 

 

 

『被告に反省の態度が見られませんので、判決を言い渡します。被告人、坂田 銀時を有罪。チフォージュ・シャトーから追放する事をここに言い渡します!』

 

 

『ちょっと待てぇっ!?異議は無しかよ!せめて被告にも証言を……『以上で、法廷を終了いたします』無視すんなぁぁぁぁっ!!!(ガブッ!)ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!???』

 

 

 

むちゃくちゃな裁判に銀時は納得いかずに怒鳴るが、いつの間にかミュンツェが勢いよく銀時の頭にかぶりつくと銀時の叫び声で裁判は幕を閉じたのだった…………

 

 

 

 

ーー回想終了ーー

 

 

 

 

裁判が終了した後、必要なお金(1億円)とこの部屋の契約を受けた後にシャトーを追い出され、その後に翼がやって来てから二人の生活が始まった……因みに銀時が出会った黒メガネの美女は変装をした朱乃でエルフナインの頼みで翼の服を代わりに買ってもらったのだ。

 

 

 

「ったく、今思えばヒッデェ裁判だったよなぁ……つか、何でお前がいんの?」

 

 

「姉から銀時の見張り……頼まれた」

 

 

「あいつ、いつかぜってぇ締める……!」

 

 

 

何故かシャトーにいる筈のレイアの妹であるミュンツェがベッドの下へと潜り込んでいた事に銀時はレイアが見張らせるために寄越したのだと確信し、青筋をたてながらいつか報復をしようと拳を強く握りながら決心する。

 

だが、度重なる疲労でそんな暇は無く……銀時はゆっくりとベッドに沈む様に寝転がると、そのまま意識を手放した。

 

 

銀時が寝たのを見届けると、ミュンツェはリビングに足を運ぶ。リビングに入ると翼が囚人服から銀時が持ってきた新しい服に着替えている最中だった。

 

 

 

「キャッ!?……あ、ミュンちゃんだったんだ……ビックリした…………」

 

 

「着替え中にごめん………」

 

 

「ううん、平気……ちょっと待っててね?今、脱いだ服を片付けるから」

 

 

「そう……ッ!?」

 

 

 

新しい服を着替え終わった翼はそう言いながらソファーに置いてある囚人服を直そうと後ろを向くと、ミュンツェは彼女の首もとを凝視した。首もとには《SA-01》とナンバー形式が入れ墨の様に刻まれていたからだ。何か怪しいと考えたミュンツェはリビングを出て、部屋の一室から姉であるレイアに連絡をとった。

 

 

 

「姉、ミュンツェ……」

 

 

『どうした妹よ、銀時がまた地味にハレンチな行動をしたのか?』

 

 

「違う……翼の首もとに……ナンバーがあった」

 

 

『ナンバー……形式はわかるか?』

 

 

「うん…形式は《SA-01》………これからどうする?」

 

 

『そうか……私はエルフナインにこの事を報告する。妹よ、もうしばらく銀時と行動を共にしろ……そして翼嬢をなんとしても派手に守れ』

 

 

「わかった…姉も頑張って…………」

 

 

 

そう言ってミュンツェは連絡を終了し、翼を守る……その使命を心に刻みつけるのであった。

 

 

 

 

 

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キャスト

 

 

 

坂田 銀時:杉田智和

 

 

 

風鳴 翼:水樹奈々

 

 

 

姫島 朱乃:伊藤静

 

 

 

 

ファラ・スユーフ:田澤茉純

レイア・ダラーヒム:石上静香

ミュンツェ・ダラーヒム:佐藤利奈

ガリィ・トゥーマーン:村瀬迪与

 

 

 

 


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