麻帆良のとある一角
「なんなんだ!」
彼の乗る機体が蹂躙される。
「なんなのだ!貴様は!」
彼の前に立ちはだかるのは人間の姿をデフォルメ化した少女。
「寄越せぇ!」
「何が!」
「寄越せぇ!寄越せぇ!無間の歯車と!蛮神の心臓と!禁断の頁と!ホムンクルスベビーを!寄越せぇ!」
少女の拳が彼の機体を貫く。素手とは言いがたい破壊力を持った拳が特殊な金属で構成されている装甲を貫通した。
「この力は!統括局と!同じものか!」
「黙って素材寄越せぇ!ほらほらほら!」
「ぐはぁ!ぐっ、ゴフ!」
少女のそのなんの光も持たない目はバルバトスではなく彼を構成する素材しか映してなかったのだ。
「あわわわわ。先輩が!荒ぶってます!どうします所長!」
「わ、私たちは見守るしかないのよ!それにしてもここ世界が細かすぎるわね!」
少女の連れらしき人物(こちらもデフォルメ化しているが)達はその様子を眺めている。
マキリ・ゾォルケンinGFバルバトスはその姿を変化させた。
「『顕現せよ。牢記せよ。これに至るは七十二柱の魔神なり』」
マキリ・ゾォルケンがその姿を魔神柱に変えた。その姿を見て少女の口角はゆっくりと上がっていった。
「『恐れよ。崇めよ。我は管制塔を司る者なり!』」
魔神柱バルバトスは少女達を一掃しようと焼却式を発動させた。
「『全てを知るが故に全てを嘆くのだ……焼却式。』」
「ふふふふふ。」
焼却式を前に不適に笑う少女。
「『全てを見通す我にとって………何だ!やめろぉ!』」
全てを見通すが故に少女による自分の末路を知ってしまったバルバトス。
「ふふふふふ。ふはははは!」
ザシュ!……グチャ
少女はバルバトスの体内に腕を突き刺し、彼を構成する素材を抜き取っていく。
「『くそぉ!焼却式バルバトス!』」
咄嗟に焼却式を発動するバルバトス。焼却式は少女に確実にあたり少女を焼き付くしたはずだった。しかし、
「おい、お前。この程度で私が消えると?そんなわけないだろうが!そうだ!慰謝料をもらい受けようか!ほら!もっと素材寄越せやぁ!」
グチャ グチャ グチャ
「ガッ、グッ、ァァァ!」
焼却式を直接受けたのにもかかわらず無傷でそこに存在する少女に、慰謝料とばかり素材を奪われるバルバトスは悲惨だった。
それから死しては復活を繰り返し、復活できなくなる位素材を奪われるまで続いた。そして、最後には、
「『我はもう。顕現したくない。(せっかく搭載した
と言って消えていった。
バルバトスから素材を奪い続けた少女のもとへ、仲間の二人がきた。
「どうです先輩?満足しましたか?」
「そうよね?藤丸!」
「・・・・・」
無言で素材の数を数える少女。奪えた素材はそれぞれ50個ずつ。これ程あればこれから先困ることはあまり無いと、思うが少女は、
「ちっ!これだけか!湿気てやがる!」
満足はしていなかったようだ。
「帰るぞ!」
そう言って少女達はこの場から消えていった。
『あれは、何?』
実はモニターで確認していたダヴィンチちゃん。
『藤丸と呼ばれていた少女。マシュそっくりな少女。そして死んだ筈の所長そっくりな人物。しかも彼女ら明らかに画風が違ったような!あっ!でも、魔神柱が消えたこと報告しなくちゃ!』
そして、ダヴィンチちゃんはこちら側の藤丸に報告した。
『という訳なんだ。』
「ええっ!(素材を欲しかったなぁ)」
ということがあった。
よりにもよって彼女に狩られたバルバトス。書いて思ったことはただ一つ、可哀想に!