不死者と英霊達のネギま録   作:羽撃鬼

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章分けしましたがあくまで仮です。何か良さそうのがあるなら教えてください。


第27話 取りこぼした者との邂逅

学園某所

 

 

 

学祭一日目の売店が立ち並ぶ場所に一人の青年が立ち食いしていた。

 

 

「モグモグ、おいしい!これも!本当に学生が作ったものとは思えないな!」

 

 

その青年は白衣を着てヘタレだと思わせる声をしている者だった。

 

 

「次は向こうに行こうかな!・・・っな!」

 

 

彼が他の場所に行こうとすると進行方向から彼にとって見知った人物達が歩いてくるのが見えた。彼は咄嗟に近くの喫茶店の中に入った。喫茶店内は混雑していたが席に一人で座ることはできた。

 

 

「あれは!藤丸くん!何で!マシュがいないから他人の空似かな?でも、あれはカルデアの制服だ!隣にいるのはアルトリア・オルタくんじゃないか!」

 

 

彼は驚いた。かつて自分が所属し、共に暮らし、そして共に笑いあった家族ともいえる者がいたのだから!それに休暇で来たのか?とも思ったがそれはあり得ない。時代が異なるからだ!

 

 

「もしかして!新たに、ここが特異点になったのか?!でも、そう言うことならばマシュがいないのも説明がつく。」

 

 

彼はウ~ンと考えていた。

 

 

カチャ

 

 

音が聞こえ、何だと顔をあげると店員が頼んだケーキと紅茶を持ってきた音だった。

 

 

「ハァー、考えてもしょうがないかな。今は紅茶が冷めない内にいただこうかな!」

 

 

彼はケーキと紅茶を楽しんでいた。そこに、

 

 

「あのお客様。相席宜しいですか?」

 

 

店員が聞いてきた。思っていたよりもケーキと紅茶が美味しく上機嫌だった彼は、

 

 

「うん!いいよ!あっ!あと、ケーキと紅茶おかわりよろしく!」

 

「はい!ただいま!」

 

 

少しして、

 

 

「こちらの席です。」

 

 

相席を希望した人が来たようだ。顔をあげると、

 

 

「えっ!藤丸くん?」

 

「えっ!ドクター?」

 

 

藤丸くんがいた。向こうも僕を知っているってことは僕の知っている藤丸くんだ。

 

 

「お客様、注文の品です。」

 

「あ!ありがとう。」

 

 

店員がケーキと紅茶を持って来た。そして藤丸くん達の注文を聞いて戻っていった。

 

 

「あ!藤丸くん。みんなには内緒に・・・」

 

「すまないが、マスターは連絡しているぞ!」

 

 

ロマンはヘタレているとオルタはもう連絡していると言った。ああこれは、

 

 

『ドクター!』

 

 

この声はマシュか!

 

 

『ロマニ!』

 

 

次はダヴィンチちゃん!

 

 

『『『主任!』』』

 

 

カルデアのスタッフ一堂!

 

 

『ドクター、ロマン!』

 

 

・・・誰?

 

 

「あっ!さっきのはホームズさんです。」

 

 

藤丸くんが補足してくれた。

 

 

『ダヴィンチちゃんさん!ダヴィンチちゃんさん!ドクターが!生きてます!』

 

『ロマニ!私を悲しませた罰は受けされるよ!』

 

『『『主任!今までサボった分の仕事はしてもらいますよ!本当に大変だったんですからね!』』』

 

『アハハ、人気者だね。ロマニくん。でも、どうして存在できるんだい?』

 

 

混沌としていた。まぁ予想は出来ていたんだけど。

 

 

「そうだよ!ドクターは何故存在できているんですか?!」

 

 

藤丸くんが最もらしい質問をして来た。それに対して僕はこう答えた。

 

 

「この世界の僕ことソロモンは英霊の座だけでなくこの地にいる神の宝具いや神具に刻まれていたからかな?人としての意識があるソロモン()と人としての意識を求めるソロモン()が一つに成ったんだよ!因みに受肉しているしね!」

 

 

僕もこの地に現れた時は驚いた。僕は宝具を使い英霊の座からも存在を抹消した筈なのに肉体を持ってあの大樹の前にいた。厳つい男が歩いてくるのが見えたから逃げたけど、

 

 

「僕のことは以上かな。君の話が聞きたいな。」

 

 

彼は話してくれた。僕が消えた後、人王と成ったゲーティアとの戦いのこと、人理修復後マシュが復活したこと、人理修復の取りこぼしである新宿の特異点のことなど。

 

 

「藤丸くん!よく頑張ったね!」

 

「ド、ドクター!」

 

 

優しく誉めてあげると藤丸くんは涙ぐんでいた。そこに、

 

 

「これからは僕も手伝うよ。一緒に頑張って行こう!」

 

「うっ!」

 

 

こう言うと泣き出してしまった。彼は一通り泣くと、

 

 

「ドクター!これからもよろしくお願いします!」

 

「うん!こちらこそ!」

 

 

僕達はしっかりと握手した。しかし、それを邪魔にする様に聞こえる音が、

 

 

ガチャガチャ

 

 

音が聞こえる方を向くと、一心不乱に食べ物を食らっているオルタの姿があった。

藤丸くんは青い顔を向けて、

 

 

「実はここのお金少ししか貰ってないのに、どうしたらいいですか?!」

 

 

僕はため息を落とし笑いながら、

 

 

「お金なら僕が持っている。だけど、これ以上は難しいかな。」

 

 

っと、答えた。すると、

 

 

「ごめん、オルタ。それぐらいにして、ね?」

 

 

藤丸くんがオルタにそう言った。彼女は顔をあげるとあげると、

 

 

「仕方ないな。マスター!このケーキを私に食べさせてくれるのなら止めてやろう!ほれ!」

 

 

そう言って彼女は藤丸くんの方を向き、口を開けた。

 

 

「わかったよ。それで止めてくれるのなら。」

 

『先輩っ!』

 

 

藤丸くんはケーキを一口サイズにフォークで切りとり、ケーキをオルタに食べさせた。

 

 

『オルタさん!羨ましいです!』

 

「ふん!」

 

 

マシュが叫び、オルタが見せつけるように笑った。僕はこのやり取りを見つめていた。存在できて良かったと感じていたのだった。


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