不死者と英霊達のネギま録   作:羽撃鬼

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衝動書きです。気にしないでください。


第13話 新たな脅威

『どうする?このままでは我々は大義を果たせないぞ!』

 

『連合の紅き翼、帝国の処刑人と狂戦士。紅き翼のみなら罠にはめることはできたが、処刑人と狂戦士に限っては情報もあまりないぞ!』

 

『わかっていることと言えば狂戦士が旧世界に存在する概念である英霊と言うものであることだ。』

 

『向こうへ向かった者達が盗み出した資料の中に聖杯戦争の資料があったはずだ。それを使うのはどうだろうか?』

 

『しかし!召喚できたとしても我々に従うだろうか?』

 

『従わなくてもいい。ただ暴れてくれるものでいいのだ。故に英霊ではなく反英雄を召喚することがいいだろう。』

 

『では、そうするか。触媒はどうする?』

 

『我らが望むのは混沌!求めるのは異界の者でもいい。戦争を望み!英雄と戦うことを至高の喜びと感じるものが必要だ。故にそれを召喚の詠唱に付け加えるだけでいい。』

 

『わかりました。』

 

『では!』

 

『召喚陣を用意せよ!』

 

 

そして彼らは英霊を召喚するための陣を形成した。本来なら召喚は成功しない。特殊な条件が必要だ。しかし、召喚は成功することとなる。(邪龍)英雄(ジークフリード)を求めている。自らを討ち果たしてくれる者を求めているから。光を求めた邪龍はここに再び降臨する。

 

 

『・・・告げる。』

 

『汝が身は汝の下に、我等が命運は汝の行いに!』

 

『光の寄るべに従い、この意、この理に納得するなら応えよ!』

 

『誓いをここに!我等は常世全ての悪と成る者! 我等は常世全ての光に相対する者!』

 

『汝三大の言霊を纏わぬ一龍、異界より来たれ!平穏の崩し手よ!』

 

 

これは彼ら望みにより本来の物から外れた詠唱だ。だが、邪龍はこれに応えた!雷霆のような英雄を求めて!

 

 

『成功したぞ。我等からの要請は一つ、混沌を!』

 

『カカ、良いぜェ。見せてやるよォ!待ってろよォ!我が麗しの英雄(ジークフリード)ォォォ!』

 

 

 

紅き翼

 

 

彼らは軍からの依頼で戦場へ向かっていた。依頼は戦場で消えた部隊の捜索だ。これが敵国との戦いが招いたものなら新しく軍を派遣するだけでいい。しかし、連絡もなく突然に消えたのだ。斥候の連絡では周囲に敵国の軍も存在しない。強力な魔獣の類いも存在しない場所である。

 

 

「ナギ、今日はここに拠点を張りますか?」

 

「そうだな。もう日が落ちるか。詠春!薪を集めてくれないか?」

 

「ああ、わかった。」

 

「イアンは火を!」

 

「了解!」

 

「ナギ!わしはテントを張ろう。」

 

「おっ!ありがと。お師匠!」

 

「じゃあジャック!肉調達に行くか!」

 

「おうよ!」

 

 

彼らはそれぞれやることをし、食にありついた。食べ終わり、見張りをたてて寝ようと思った矢先に、

 

 

ガチャガチャ

 

 

と金属の擦れる音がした。それも一方向だけでない。これは、

 

 

「囲まれたか!お前ら構えろ!」

 

「来るぞ!」

 

 

暗闇から見える位置までやって来た。全身装甲の兵が向かってきた。奴らは歩きだが徐々にこちらへ三方向から近づいてくる。

 

 

「何者だ!お前ら!」

 

『・・・』ブツブツ

 

「はっ?もっと声出せや!」

 

 

すると、奴らはこちらに銃を構え、

 

 

“Zwangvolle Plage! Müh' ohne Zweck!”(ああ、苦しい。なんと無駄な徒労であろうか)

 

“Das beste Schwert, das je ich geschweisst,(心血注ぎ、命を懸けた、我が最高の剣さえ )

 nie taugt es je zu der einzigen Tat!”(竜を討つには至らぬのか)

 

 

撃ってきた!そして奴等の動きはまるで身体強化の魔法を使っているようだった。

 

 

「何だよ!コイツらは!」

 

「魔力を一切感じません!」

 

「気もな!マジでどうなってやがる。」

 

「手数が多いんだよ!俺一人では防ぎきれねぇぞ!つーかお前らもしゃべってないで防げ!」

 

「おおう。すまんすまん。」

 

 

そしてそんな彼らを遠くの高台より見ているものがいた。

 

 

「アイツラが英雄候補どもかァ? カカ、おいおい。笑わせるじゃねぇかァ!何処がァ英雄ゥ? 英雄なら意思の一つで打ち砕いてみろよォ! 駄目だな。期待外れだわァ。ここで生き残れば相手してやんよォ!クハハハァ!」

 

 

男は高笑いしながら傍観した。

 

 

紅き翼の面々は苦戦していた。銃の連射には対応は難しいからである。

 

 

「あー!もう面倒だ!大魔法をぶつける!」

 

「まぁそれしかないか!」

 

「行くぜ!雷の暴風!」

 

 

ナギが放った魔法は敵軍を貫いた。敵兵はボロボロになり倒れている。原型を保っていないものも存在した。

 

 

「良し!始めからこうしてりゃ良かったわ!」

 

「じゃあ俺も!ラカンインパクト!」

 

「ファイナル・エリシオン!」

 

 

ラカンとイアンも敵兵を打ち砕いた。が敵兵から声が聞こえた。

 

 

“Ja denn! Ich hab' ihn erschlagen!”(然り! これぞ英雄の死骸である!)

 

“Ihr Mannen, richtet mein Recht!”(傍観者よ、我が栄光を認めるがいい!)

 

 

敵兵はボロボロに成りながらも立ち上がりこちらへ向かってくる。敵兵の中には身体の一部が完全に吹き飛んでいる者もいる。それがその事を気にしていないように歩き近づいてくるのだ。

 

 

「何だよ!コイツら!正気じゃねぇ!」

 

「いや、待て!あいつら!」

 

 

敵兵の中に兜が外れたものがいた。そいつの顔が行方不明となった連合の兵士だった。そいつ以外にもちらほらと連合の兵士がいる。そして明らかに軍人じゃないものいた。

 

 

「おいおい!コイツらは!」

 

「ああ。依頼の消えた部隊の奴等だ!」

 

 

敵兵の一人がナギに掴みかかった。いきなりの戦法の変化である。故にアルは叫んだ!

 

 

「ナギ!避けてください!」

 

“Her den Ring!”(宝を寄こせ!)』『“Her den Ring!”(すべてを寄こせ!)

 

 

ドカーン

 

 

ナギは必死なアルの声に従い避けた。敵兵は自爆した。避けなければどうなっていたのかと戦慄した。

 

 

“Her den Ring!”(宝を寄こせ!)』『“Her den Ring!”(すべてを寄こせ!)

 

 

奴等は敵と共に自爆する戦法に変えただけと思ったが、

 

 

ドカーン

 

 

「おい!あいつら!動けなくなった味方を投げて爆弾としているぞ!」

 

「これはヤバイな。アル!映像での記録はしているか?」

 

「えっ?はい、一応ですが。」

 

「撤退するぞ!」

 

「何処へですか?囲まれてますよ?」

「空だ!奴等の銃は壊れている。今なら大丈夫だろ!」

 

「全員!飛んで撤退するぞ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

 

彼らは飛び去った。それを見ていた男は、

 

 

「空を飛ぶかァ。ちっ!ワーグナーは空中戦には対応してないからなァ。次の戦場に向かいますかァ!さぁ!英雄よォ!俺を討ち果たしてみろよォ!クハハハ!」


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