この思いは。   作:如月の夢

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遅くなったのに、この低クオ……


愛を込めて。

卒業、それは、誰しもが経験することである。

それまで属していたグループを解散し、新たなグループへと移り変わっていく。

別れを惜しみ、泣く者。

最後の思い出に、はしゃぐ者。

様々な表現のもと、新たな旅立ちに胸を踊らせている。

俺も、奉仕部との関係が終わる、そう思うと、感慨深い。

しかし、もっと重大なことが待っている。

「……よし、行くか。」

そう呟き、本来は鍵が掛かっているはずの、扉に手をかける。

屋上へ繋がる扉だ。

開けると、気持ちい風が吹く。

そして、目の前には、一番会いたくて、一番会いたくなかった人物。

「先輩、来てくれたんですね。」

「あぁ」

一色いろはだった。

 

 

 

 

あの日、あの図書館の日以来、ずっと考えていた。

一色いろはとの、関係をどうするか。

その答えは……

「一色、先にいいか?」

「そうですね、私の要件は、できるだけ最後がいいです。」

要件とは何か、聴くのが酷く怖い。

「一色」

「はい」

とっくに出ていたんだ。

「葉山じゃなくて」

だった、ちゃんと伝えるんだ。

「俺じゃあ、駄目なのか?」

顔を伏せ、黙り込む一色。

ダメか、そう諦めた時。

突然走る、一色

そして、正面で受け止めた。

「うぉ、どうしたんだ急に。」

「ぜんばい、私でいいんでずか?」

「良いも何も、お前がいいんだが……」

「良かった…」

「え、いや、いいのか?俺で」

「当たり前じゃないですか、私は先輩がいいんです。」

「そうか、良かった…」

「大好きですよ!先輩。」

 

 

今まで、犠牲にしてきたこと、は数え切れないほどあった。

しかし、そのお陰で、手に入れたこの関係。

「一色」

未だに抱きついてきているその背中に、腕を回す。

抱きしめたその体は、立派に生徒会長をしている様なものではなく、力を入れてしまったら折れてしまいそうなものだった。

「本当にありがとう……」

それは、心からのそこから出た言葉だった。

 

もし、もしもだ、俺が奉仕部に入っていなかったら。

一色が、相談しに来なかったら。

俺たちが、この高校に入らなかったら。

そんなIF

俺らは、すれ違うことは無く、交わることもなかったのだろう。

少しでも俺らの選択が違ったなら、2人はどうなっていたのだろう。

 

「なぁ、一色」

「何ですか?」

「お前は、どこまで付いてこれる?」

意味は、とても深い。

「どこまで、ですか……」

考える一色、

「別に、急いで答えは出さなくていい。」

「いいえ、ちゃんと出したいです。」

「そうか。」

「そうですね…いや、悩むまでもなさそうです。」

晴れ晴れとした顔で、こちらを覗く。

「先輩と同じ未来を、先輩と同じ位置から見ていたいです。だから、死ぬまでついて行きます。」

同じ未来、か

「多分、他の人生より辛いぞ?」

「さぁ、それはどうでしょうね」

どういう意味だ?

「分かってないかもしれないですけど、先輩を認めている人は、多いんですよ。」

「…知らなかった。」

「……そういう事にしときます。」

 

 

「先輩。」

「なんだ?」

あれから、あの場を離れ、帰ることになった。

自転車を押して、帰路につく。

「私、面倒臭い女ですよ。」

「あぁ。」

「…そこで肯定しちゃう先輩は流石です。」

「うっせ、俺もめんどくさいぞ。」

「面倒臭いもの同士、上手くやれますかね。」

「やってけるだろ、お前となら。」

「そういう事、さらっと言えるんですね。」

そんな会話をしながら、ふとあることに気づく。

「そう言えば、なんでお前こっちきてるんだ?」

「あれ、聞いてないですか?」

聞き方は驚いているが、表情はにやけてる。

これは罠だ!一色が俺を陥れるために仕組んだ罠だ!

「お前なぁ、わかってて言ってんだろ…」

「バレちゃいますか、てへ。」

なんだよテヘって、可愛いなこんちくしょう。

「あざとい…、で本当になんだ。」

「先輩の家で、卒業祝いするんですよ。」

「は?聞いてねーぞ、俺。」

「当たり前じゃ無いですか。」

え、何が当たり前なんですかね。我が家でやるのに、俺が仲間はずれってのが安定なんですね。わかります。

「先輩、待ってください、目がものすごく腐ってます。」

「なんだよ。」

「サプライズだったんですよ。」

サプライズ?

 

家に着いた俺は、違和感を覚える。

だか、気にしてる暇もなく、リビングへと足を運ばされる。

するとそこには。

「あら、遅かったわね、たらし谷くん?」

「ヒッキー…おめでとう!」

「あのお兄ちゃんが……」

「八幡!おかえり!」

「八幡!我もおるぞ。」

「うるさい奴らばかりだねぇ、あ、台所かりてるから。」

「はーちゃん!おかえり!」

言葉が出ない、いや、それどころか…

「ちょ!ヒッキーなんで泣くし!?」

頬を伝う、何かが止まらない。

あぁ、こんなにも

「ねぇ?先輩」

俺の周りは、暖かくて。

「認めてくれる人、いますでしょ?」

綺麗だったのか。

「だから、自信もってください。」

「あぁ。」

それから、卒業パーティは進んでいった。

 

 

数年後、結婚もした。

子供も出来た。

幸せな家庭を築けているかな、そう悩む時がある。

それでも、俺の周りは、誰一人として見捨てるこのなく、一緒に悩んでくれた。

そして、10年後のある日

 

 

「あなた、約束どおりでかけますよ。」

「あいよ」

手短に支度を済ませ、車へと乗り込む。

「あ、今日は私が運転します。」

「ん?そうか?」

助手席へ乗り込み、シートベルトを付ける。

普段なら、後ろが騒がしいものだが、何故か、前もって小町の元へ預けてある。

「じゃあ、行きますよ。」

安全運転で走る車、車内は静かだ。

「なぁ、いろは、どこへ行くんだ?」

「着いてからのお楽しみ、って言いたいところだけど、多分わかっちゃいますね。」

その数分後、確かに見慣れた道に出る。

まさかな…

 

 

しかし、予想を裏切ることなく、その場所に来ていた。

総武高校だ。

事務室へ着くと、あらかじめアポを取っていたらしく、スムーズに進み、入校証を下げて歩き出す。

見慣れた廊下を進むにつれ、様々な記憶が呼び起こされる。

そして、あの教室へと…

 

 

 

「着きました。」

「奉仕部の教室だな、今は使われてないみたいだが。」

使われてない、いや、元々使ってない教室だったはずだから、元に戻った、が正確なのか。

 

「先輩!写真撮りましょう!」

そう言って、せっせと机を運ぶ。

「何してるんだ?」

「どうせなら、あの頃と同じ配置がいいじゃないですか。ね?先輩。」

久しぶりに言われた、"先輩"に少し嬉しさを感じながら作業に入る。

あっと言う間に終わり、写真も撮った。片付けをした後、屋上へ行きましょうとの提案。

屋上へつくと、既に空は赤く染まっていた。

壁に寄りかかり、腰を落とす。

あの文化祭と同じ位置に……

「懐かしいもんだな、本当に。」

そうですね。といいながら肩に頭を預けてくる。

しばらくの沈黙。

「ねぇ、先輩。」

「なんだ?」

「今とっても幸せです、みんなが居て、子供達もいて、なによりあなたがいる。あなたの隣から見るこの景色は本当に綺麗で幸せです。

この気持ちが愛じゃないなら、なんて言うんですかね。」

そう笑う彼女は、とても綺麗だった。

「先輩、私、渡したいものがあるんです。」

「出来るだけ、お返しが楽なもので頼む。」

「相変わらず治りませんね、それ。はいどうぞ。」

手渡されたのは、花束だった。

「それしっかり考えたんですよ?」

「綺麗だな、俺にはもったいない。」

それは、色鮮やかな花が種類重なることなく集められていた。

「それ、みんなのイメージカラーなんですよ。」

そう言われれば、確かにそうだ。

その中でも、中心に咲く綺麗な花。

"白いアザレア"

「お前は、相変わらずあざといな」

「何時までも捻くれている、あなたに言われたくないですよ。」

「さいですか。」

 

 

 

 

 

「じゃあ、そろそろ帰るか。」

と踵を返した時

 

「待ってください。」

最愛の人に止められ

 

「あの日の言葉通り、私は同じ未来を、ずっと一緒に見ています。」

俺が信じた、笑顔を向け、

 

「だから、何時までも、そばにいてくださいね?」

当たり前の日常を望む、そんな彼女に言える一言は。

 

「⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎」

なんて返したと思うだろか。




これで一応終わりなんですけどね……
何かなぁ、やっつけ感が…
成長が見られませんね(断言)

次に何を書くかかなり考えてます。
と言うより、ネタはポンポン出てるんですよね。

取敢ず、今回の作品は終らせて頂きます!
ここまで。稚拙な文にご付き合い頂き、ありがとうございました!

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