この思いは。   作:如月の夢

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今回はちょっと短め。


彩加の声

あの、図書館での出来事があった翌日、つまり月曜日。

月曜日が憂鬱に感じる人も、多いと思うが、俺も同じである。

素直になれるまで待っている、そんな約束をしたばかり。

今日一色と会ったら、どんな顔をすればいいのだろう。

普段通りに?普段ってなんだっけ。

会いたいに行きたいのに、口実も無ければ、平然を保てる気がしない。

そんなことを考えていたら、既に昼休みになっていた。

 

 

ベストプレイス、ここには未だに、そしてこれからもお世話になるつもりである。

問題があるとすれば、あと数ヶ月で、3年生になる俺らの代は事実上、部活動を引退しなければならない。

つまりは。

「戸塚の舞が無くなってしまう。」

時間は残酷なものだ、そう実感する。

そこまで考え、ふと気づく。

「……今日は戸塚、いないんだな…」

自主練をしていない、それは奉仕部に来る以前から見ていたとしても、割と珍しい。

さては、戸塚の身に何かあったのでは?こうしてはいられん。

そう思った直後、突然後ろから方を叩かれる。

突然のことに驚きながらも、振り返る。

すると、頬に何かが当たる。

戸塚の指先だった

それは、あのテニスの時にやられた光景と同じだ。

「あはは、また引っかかったね。」

 

天使だ、結婚したい。

おっと、本心がダダ漏れじゃないか。

 

 

「戸塚か、丁度、自主練をしていないのは珍しいと、思っていたところだ。」

「今日はちょっとね。」

「怪我とかか?」

「違うよ。」

「じゃあ、どうしたんだ?」

真面目な戸塚のことだ、きっと、重要なことに違いない。

そう、信じて疑わなかった。

だから、次に来た言葉が、予想違いあだったことに、驚きを隠せなかった。

 

「八幡が、なにか悩んでるように見えたから、話を聞いてあげたいな、って思ったの。」

「え?」

 

 

 

「八幡、自分でも気付かなかった?」

「どういう事だ?」

「朝からね、凄い思い悩んでる顔をしていたんだよ?」

「…………そんな事ない。」

「そうかな。」

すっと、顔をのぞき込まれる。

目を合わせられるが、普段の俺ならドキドキするだろうが、今はそんな場合ではない。

心を見透かしに来ている。そんな視線だった。

「ふーん。」

「なんだよ。」

「なんでもー。」

いや、きっと、戸塚には全てわかったのだろう。

「でもね、八幡」

「なんだ?」

「直ぐじゃ無理でも、少しずつでいいからさ、僕を頼ってね?」

「…………」

「もし、八幡が道に迷うのなら、僕が君を呼んで、道を指し示してあげる。

今まで、そういう人が居なかった八幡は、助けてくれないって決めつけてるだけかもね。

一人で考えるくらいなら、すこしでも、預けてよ。

僕じゃ信用ないかな……」

「そんな事は無い…」

「それは良かった。とにかく、僕は待っているからね。じゃあね。」

そう言って戸塚は走って言ってしまった。

 

戸塚に言われるまで、気付いていなかった、そんな顔をしていたなんて。

「でも、なんで除きこまれただけで……まさか。」

ふと、頬に手をやる。

手に何か、暖かいものが触れる。

「あぁ、情けないな…俺は。」

簡単な話だった。

「最近、俺弱くなったなぁ。」

泣いていた、ただそれだけ。

「少しずつでも、頼って、か。」

友達って、こういうものなのかな……

「たまには、そういうのも、いいかもしれないな。」

よし、話そう、少し呆れられるかも知れない、でも、それでも。

頼ってと言われたんだ、存分に頼ってみようじゃないか。

何だか、暖かい気持ちになった。

 

校舎の影、風がよく吹く、人気のないその場所には、一人の少年が、幸せそうな顔をしていたそう。

 

 

 

 

side 戸塚

やっぱり、八幡は悩んでいた、僕の予想はあっていた。

本人が気づかないほど、追い込まれていたんだろうか。

でも、八幡の目を見て、悪い事ではないと思えた。

大切な、なにかを、どうすればいいのか分からない。

そんな目をしていた。

「誰だろう。」

由比ヶ浜さん?雪ノ下さん?それとも……

ううん、そんなの関係ないよね。

八幡が頼ってきてくれたら、僕は全力で対応するんだ。

僕は、八幡の友達でいることに、誇りを持っている。

「よし、」

そう呟く僕は、きっと頼ってくれる、そう信じて、教室絵と戻って行った。




3話めですね、ペースあげすぎかな……
とにかく、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回は、一斉の声でした。
読み方は「いっせいのせい」です。
夏目友人帳の曲ですね。
前回の作人にも、夏目友人帳の曲を使わせてもらいました。
いい曲ばっかですよね。
今のエンディング、茜さす
あれもいいですよね。
感想は随時まってます。

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