この思いは。   作:如月の夢

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私事ですが、やっとテストが終わりました。
さぁ、書くぞ!


2作品目って言ったけど、3作品目でした……
あっちもやらないとね……


いろは天邪鬼

「そんなこと、絶対に言わないでください。」

私は、先輩の腰元に抱きつき、そう呟く。

「なんで…」

「私が悪いんです。私、私が余りにも天邪鬼だから!」

 

 

 

 

 

何時だったんだろう、こんなにも好きになったのは。

候補は、"本物"を聞いたからだろうか、

いや、それ以前からかもしれない。

それでも私は、葉山先輩を好きだ、という事実を守り続けなければならなかった。

何故か、それは、今までの自分を否定する事と同義だからだ。

少しでもよく見られるため、そう思い、努力してきたことが、全て偽りだったかのように。

それは、耐え切ることが出来そうにない事実だ。

 

 

それに、あの三人の中にはもう入れない、そんな考えがいつまでも頭の中にいて、意地悪く攻撃をしてくる。

でもやはり、どうしても先輩に目がいってしまう。

そして、会話と言えば、裏を付く事ばかり。

 

「葉山先輩に送ってもらう練習を」

先輩と一緒に帰りたい。

「葉山先輩とのデートの参考に」

先輩とデートしたい。

 

言葉と本心の違いに、自分の心が、ひどく痛むのを感じる。

本心を言えない、まるで天邪鬼のように、言葉は捻くれてしまう。

もう、頭の中はぐちゃぐちゃだ。

 

「ずっと先輩を騙してきました。」

 

本当にひどい話だ。

葉山先輩を好きだった。

そして、今は先輩が好きだ。

こんな感情、はたして、良いのだろうか。

でも、否定することも出来ない。

 

先輩の隣にいると、落ち着く。

先輩の笑顔を見るとドキッとする。

面倒くさそうにするけど、手伝ってくれる。

辛い時に、すぐ気づいてくれる。

こんなにも、彼はすごいのに、本人はそんなことは無いと言う。

謙遜とかではない。

先輩は、本心からそう思っている。

 

 

 

「私は、葉山先輩が好きではありません。」

「は?」

 

 

先輩は、あの本物発言から、確実に人として進んでいる。

私はまだ、未だにスタートを切らない。

この、刻一刻離れていく隙は、いったいどうやって埋めればいいのだろう。

 

 

 

「でも、まだです、まだなんです。」

「……」

 

 

そんなの分からない、でも、始めないといけない。

でもどうすれば…………

 

「つまり、なんだ、俺はお前に、ずっと騙されてたのか。」

「……そういうことに、なっちゃいますね。」

 

 

空気は、酷く重たく感じる。

先輩にとって"騙される"という事は。

かなり酷なものだろう。

それが嫌で、人間関係を最小限にする人だ。

私は、先輩が一番嫌がるであろう"裏切り"を行ったと同じだ。

これを境に、私は彼に近づけなくなるのだろうか……

そんなのは嫌だ…だが、そうなっても仕方が無い。

その時は、潔く諦めよう。

 

「そうか……」

「すいません。」

 

あぁ、これで終わるのか、どうしてもっと早く素直になれなかったんだろう。

そんな後悔の気持ちで、涙が流れる。

 

 

しかし、やはり、先輩は先輩だった。

 

 

「そうか、なら、言葉の裏を読めなかった、俺が悪いな。」

「はい?」

突然の発言に、耳を疑う。

この人は、この状況でも尚、私の心をかばうのか。

「お前は、無駄なことをあまりしない奴だろ?」

言葉に詰まる。私はこんなにも見られていたのだと。

「てことは、なにか事情があるんだろ?」

この先輩には、一生勝てない気がする。

「なら、俺が言葉の裏、いや、言葉の裏の裏まで分かるように、頑張るしかないな。」

一周まわって表ではないのか、そんな冷やかしは言わない。

先輩は私の発言をしっかりと理解しようとしてくれている。

嬉しい、しかし、口に出る言葉はやはり。

「そんなめんどくさいこと、嫌いじゃないですか。」

まったく、ここまで、ひねくれた言葉が出るのは、どうかと思う。

先輩の影響だろうか。

そう思うと、嬉しいような、悲しいような。

「いや、このぐらいいいじゃないか。なにせ、期限はあと一年あるわけだし。」

 

やはり、先輩は優しい。そして、幸せにしてくれる。

先輩がくれる、この幸せを、やはり手放したくはない。

捨てるわけには行かない、譲るわけにも行かない。

私は弱虫だ、傷つくことを恐れ、自分の殻に閉じこもる。

しかし、この思いは、

 

「じゃあ、…先輩」

「ん?」

絶対に伝えたいんだ、だから、

「私が素直になるまで、待っててくれませんか?」

「分かった。」

 

 

この両手から、いや、身体中からこぼれそうな程の愛は、先輩以外には渡したくない。

だから、私も頑張るんだ。

 

 

 

 

 

今は、帰宅の道についてる。

急に飛び出したため、本はそのままだったので、一旦戻しに行き、返却を終えた後、まだ早い時間だが、お互い気が乗らなかったので、帰ることになった。

 

「先輩、どうして、私と巡り合わなかった方が良かったのか、は今は聞きません。その気持ちも、私が素直になるまで待ってください。」

「あぁ……」

「ただ、」

今日から早速、1歩進んでみようじゃないか。

 

 

「覚悟してくださいね。」




という訳で二話目でした。
今回は天ノ弱でしたね。
ボカロの中では、かなり有名な方ではないかな?(偏見)

さて、どうしよう、今後の展開。
2人以外も、出したいんですけどね……


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