《 side hachiman 》
吾郎「よっしゃ!ノックいくぞ!」
戸塚「いつでもいいよー」
材木座「うむ、我もいつでも行けるぞ!」
由比ヶ浜「みんな頑張れー!」
雪ノ下「由比ヶ浜さん、みんなの分のドリンクを作りましょう」
どうしてこうなった······
――― ――― ―――
どうしてこうなった。と俺はノックを受けながら考えた。状況を整理しよう。材木座はもうちょっと待って捕ってもいいな。戸塚は······いつも通り可愛いな。
違う、そうじゃない。何故こうなったかよく思い出してみよう。確かそれは······
――― ――― ―――
吾郎「よう、比企谷」
朝、校門をくぐった所で茂野が声をかけてきた。どうやら茂野の噂は全校中に広がっているようで、たびたび「なんで噂の茂野くんと、あんな暗そうなのが?」って声が聞こえてくる。残念だったな、生憎こいつの彼女の名前は野球って子なんだぜ。
八幡「ああ、おはよう」
吾郎「今日は昨日言ってた奴らを紹介してくれないか?」
八幡「いいけど······、戸塚や材木座はともかく田代は面識ないぞ」
吾郎「あっ、そうなの?」
八幡「ああ、たまたますれ違っただけだ」
喋りながら教室まで向かう。こんな事以前までの俺だったらかんがえられなかったな。そして教室に入ると天使が話しかけてくださった。
戸塚「おはよう、八幡!それに茂野くんもおはよう」
吾郎「ああ、おはようさん」
八幡「おはよう戸塚、愛してるぞ」
あまりにスムーズに発せられた言葉に誰も気づかない。ソースは俺のあざとい後輩。これが戸塚に愛を伝えたいが聞かれるのは恥ずかしかった俺の生み出した奥義だ。
吾郎「戸塚って言ったか?このクラスにお前の兄ちゃんか弟っているか?」
八幡「ちなみに言っておくが茂野、戸塚は1人しかいないし、戸塚は残念ながら生物学上は男性だ」
吾郎「なん…だと…」
戸塚の性別に関してはさしもの茂野も驚いたようだった。
戸塚「あははは、2人ともどうしたの?ところで茂野くん、僕に何か用?」
吾郎「あっ、ああ。そうだった。戸塚、俺たちと一緒に野球部に入ってくれねーか」
戸塚「野球部に?俺たちってことは他にも誰かいるの?」
八幡「コイツと俺は確定だ。後は材木座と田代ってやつにも声をかけてみようと思っている」
戸塚「材木座くんも?うん、もちろんいいよ。断る理由もないしね」
八幡「ありがとう戸塚。結婚してくれ」
戸塚「いーよ、八幡。そんなお礼を言われることじゃないって」
吾郎「俺からも礼を言うぜ。センキューな」
そう、確かこんな感じで朝一番に戸塚の入部が決まったんだった。くそ、やっぱり妄想の戸塚も可愛いけど、やっぱり本物には勝てねーな。これが2次元と3次元の違いか。俺は本物が欲しい。
その後はどうだったっけ······
戸塚「おっと、そろそろHRが始まるね。材木座くんのことは放課後に聞いてみない?」
八幡「そうするか」
もっとも戸塚の案に俺が反対するわけないんだけどな。
――― ――― ―――
そして放課後。俺は由比ヶ浜に部活に遅れると伝えた。一応、理由も説明してな。わかったよーと元気に走り去っていく由比ヶ浜の姿が思い出せる。
そしてそこにたまたま暑苦しい中二病患者が通りかかった。その時確か茂野は先生に張り紙を貼っていいか確認しに行っていていなかったんだよな。
八幡「ということで、材木座。野球部に入れ。返事ははいか······Yesのみだ」
材木座「どっちもYesのみではないか!」
八幡「そうだよ、お前に選択権なんかあると思ってんのか?甘ったれんじゃねーぞ」
材木座「何で今日の八幡こんなキレッキレなの!?まるで尖ったナイフのようではないか!」
八幡「ナイフなんだからそりゃ尖ってるだろ······」
おいお前、仮にも作家を志望するならその程度の言葉回しくらいしっかりしろよ。お前がそういう間違いしても何も起こらないんだよ。しいて言うなら俺のヘイトが溜まるくらいだ。
八幡「と、冗談はここまでにして。材木座、野球部に入ってくれねーか」
材木座「野球部でござるか······。八幡と戸塚殿と······」
八幡「あとここにはいないが茂野って奴がいる」
材木座「なるほど、なるほど。お主達となら楽しく野球が出来そうであるな。あいわかった。この材木座義輝、野球部に所属しようではないか」
八幡「そうか、サンキューな」
材木座「このくらいの事我と八幡の仲ではないか。それに我がやりたいのだから、今更止めても聞かんぞ」
八幡「ああ、分かってる」
コイツは喋り方と見た目がウザったいだけで、根はいい奴だからな。言葉にしたら調子に乗るから言わないが、お前と野球するのもたのしみだぜ。
そうこうしていると、茂野が帰ってきた。そして材木座が入部することを伝えた。
吾郎「そうか、お前が材木座か。よろしくな」
材木座「う、うむ。よくしてやらん······いえ、こちらこそよろしくお願いします」
その時材木座は察した。茂野はこういうノリについていけないかもしれない。というか下手したら雪ノ下みたいになるやもしれないと。
そんな材木座のビビり具合もよく覚えてる。あっ、思いだした。確かその後······
戸塚「この後みんな暇ならどこかで野球しない?」
吾郎「おっいいな。なら比企谷、昨日の公園でどうだ」
八幡「そうだな、ノックとかもするか」
材木座「なら我のゴロさばきをひろうしてやろう!」
でそこに、雪ノ下と由比ヶ浜が現れて······
由比ヶ浜「ヒッキーたちどこか行くの?公園で野球?それって私たちも行ってもいい?」
吾郎「別にいいよな、比企谷」
八幡「特に断る理由はないしな」
雪ノ下「それなら由比ヶ浜さん、私たちはスポーツドリンクの粉を買ってきて、ドリンクを作りましょう」
八幡「おい······大丈夫なのか?」
雪ノ下「別に粉を水で溶くだけだから心配はいらないわ」
八幡「そうか、しかしもしもがある。最大限の注意をはらってくれ」
雪ノ下「もちろんそのつもりよ」
由比ヶ浜「ちょっとゆきのんとヒッキー、私のことバカにしすぎだし!」
吾郎「じゃあ、行くか」
と、公園に行きキャッチボールをしてからノックをすることになりましたとさ。めでたしめでたし。
はい、思いだしました。なんなら俺が話を進めてました。まぁ、別にノックを受けるのが嫌な訳じゃないからな。
吾郎「おら、ラスト比企谷いくぞ!」
雪ノ下「その週が終わったら休憩にしましょう」
戸塚「ならこの次は何する?軽く打つ?」
材木座「ふっ、ついに我が輝く場面が来たか」
八幡「あんまり飛ばしすぎなよ」
茂野「じゃあラスト、しっかり決めろよ」
八幡「ちょっ、おまっ!」
ジャージで来て良かった。まさか飛び込ませるとは。
由比ヶ浜「ヒッキー、ナイスキャッチ!」
吾郎「マジかっ、今のも捕るのかよ」
雪ノ下「やはり彼は野球だけは凄いわね」
八幡「だけって言うな、だけって」
そして今日も日が暮れるまで野球に励む俺たちであった。
――― ――― ―――
《 side ? 》
廊下を歩いていると、掲示板に貼り紙がしてあった。
いつも気にしてはいなかったが、その貼り紙には大きく『野球部員募集!』の文字が書かれていた。そしてその隣には全校のほんの数人しか面識のないであろう人物の名前が書かれていた。
「ヒキタニ、いや比企谷。今度は野球部始めるんだな······。おそらく雪乃ちゃんも一緒に······。ハハッ············俺はいったいどうしたらいいんだろうな······」
――― ――― ―――
そしてここにも······
「先輩また野球始めるんですね。本物か······。私の本物は······、貴方なんですよ?先輩」
次回の投稿は12月26日(月)00:00の予定です
感想、評価お待ちしております
それと八幡と誰をくっつかせるかちょっとしたアンケートをとりたいのですが、参加してくださる方は私の活動報告にてお願いします。この投稿から次回の投稿までの間募集してます。宜しくお願いします