俺ガイル×MAJOR   作:疎かなろあ

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今回は少し長いです。


3話

《 side goro 》

 

寿也『吾郎君、総武に行くのかい!?』

 

俺は総武高校に行くことが決まった日、幼馴染でありライバルとなる海堂の寿也に電話をかけた。何故そうなったのか、寿也にも説明した。話しながら寿也が怒っていくのが分かった。共感してくれることは素直に嬉しいもんだ。

 

寿也『なんというか、大変な事になったね』

 

吾郎「まぁな。だけど俺としては前よりも燃えてるぜ」

 

寿也『はは、吾郎君らしいね。総武ね······、ん?確か総武には彼がいるんじゃなかったかな?』

 

吾郎「彼?何だ、中学の同級生か?」

 

寿也『いや、リトルの頃のね。彼のおかげでスターのいなかった僕たちの代が全国に行けたと言ってもいいくらいの選手だよ』

 

吾郎「お前がそういうんだから、よっぽどなんだろうな。でもなんでそんな奴が野球部の無い総武なんかに?俺みたいに怪我でもしたのか?」

 

寿也『ううん、そんな話は聞かなかったしそのままシニアに上がって活躍してたから推薦も来てたはずだよ』

 

吾郎「なるほどね、戦力は少しでも大きい方が良いからな。そいつの名前教えてくれねーか?」

 

寿也『いいけど······。その人の名前は比企谷八幡って言うんだけど』

 

吾郎「比企谷、八幡ね。よし分かった。サンキューな寿也」

 

寿也『良いんだよこれくらい。これから頑張ってね』

 

それだけ言って寿也との会話は終わった。なるほど久しぶりに早く学校に行きたくなってきたぜ。

 

ん?寿也からメールだ。なになに?

 

『総武って進学校ってことで割と有名だから勉強、頑張ってね』

 

······お前もかよ············

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

《 side goro 》

 

吾郎「俺の依頼は『比企谷八幡』という男子を探すのを手伝って欲しいってことなんだ」

 

転校初日、俺はとある空き教室に来ていた。何でこんな所でこんな事を言っているかというと、現国担当の平塚先生が俺に困っていることは無いか?と聞いてきたからだ

 

何でそんな事を?と聞いたら理事長に聞いたと言われた。あーあの人ね、良くしてくれるだけどなんか苦手なんだよな。まぁ、そんなこんなで俺のここでしたいことを先生に話すと、一瞬驚いたような顔になったがすぐそれは笑顔になった。馬鹿にしてんのかとも思ったが、学生の頃は無茶をした方がいいとどうやら肯定する気持ちだったらしい。

 

そして奉仕部という存在を知らされた。何でもお腹の空いている人に魚を渡すのではなく、魚の釣り方を教えるような部活なのだとか。奉仕と聞いてエロいことを考えた自分が恥ずかしい。ひとまず相談してみては?ということでお願いしてやって来たんだけどよ······

 

 

 

 

どうしてこうなるんだよ······

 

 

 

 

《 side hachiman 》

 

一瞬の静寂の後、そこは女性陣の笑い声で満ちた。お前ら俺の名前が出ただけで大笑いしすぎだろ。声で聞くとあの雪ノ下も笑ってんぞ。

 

決めた、なんか腹立つから思い切って教室に入ってやろう。せーの、いち、にの、さんっ!

 

ガラガラガラっ!と引き戸タイプのドアを思いっきり引き開けた。そして再度生まれる、一瞬の静寂。そして聞こえる笑い声。

 

雪ノ下「し、茂野くん······?か、彼がそ、そのふふ、比企谷、八幡君よ······っふふ······」

 

雪ノ下さん?せめて紹介する時くらい笑うのを我慢してもいいんじゃなくて?というか笑い顔可愛すぎんだろ。そのまま告って2〜3秒後には振られるくらい。結局ふられるのね。まぁ即決よりかはましか。

 

吾郎「あんたが比企谷八幡か。俺は茂野吾郎ってんだ。というかクラス一緒だよな?」

 

八幡「一応な、で俺に何の用?」

 

ようやく雪ノ下達の笑い声も収まり、話を進めようと茂野に促した。

 

吾郎「あんたがこの部活に入ってることは何となく分かった。無茶を承知でお願いする、俺が作る野球部に入ってほしい」

 

八幡「野球部、ね······。何で俺に?」

 

吾郎「人から聞いたんだよ。総武には比企谷八幡ていう野球の上手いやつがいるってな。」

 

吾郎「あんたが怪我をしてるとかだったら無理にとは言わない」

 

野球部か。わざわざこの時期に転校してまで作ろうってんだ。雰囲気といい、コイツは優秀な選手なんだろう。海堂から来たって言ってたし。

 

俺は別に怪我をしていたから野球部の無い総武に来た訳では無い。と昔のことを思い出しながらそう思う。だけどここに来て、奉仕部に入って、こいつらに会うことが出来たから昔のことにも蹴りをつけることが出来たんだけどな。

 

俺に野球部に入って欲しいと言われて、雪ノ下や由比ヶ浜、平塚先生は一瞬驚いたようだったが、直ぐ悩ましげな顔になった。3人とも俺がやってたことは夏休みの1件で知ってるからな。

 

由比ヶ浜「······ヒッキーはどうしたいの?」

 

沈黙を破るようにして由比ヶ浜は俺に問いかけた。少し乾いた喉で茂野に問う。

 

八幡「一つ聞きたいことがある。お前は野球部を作って何がしたいんだ?」

 

吾郎「何がしたいか······。俺は海堂をぶっ倒したい。そのために海堂を辞めてここに来たんだ」

 

海堂を倒すか······。

 

八幡「正直に言えば俺は野球をしたい」

 

その言葉に雪ノ下と由比ヶ浜はハッとしたような顔になる。

 

八幡「だけど、それと同じくらいこの部活に対する想いも強い」

 

八幡「だから今すぐにどうするかは決められない」

 

これが俺の本当の気持ちだ。するとそれまで沈黙を貫いていた平塚先生がおもむろに口を開いた。

 

平塚「それなら兼部すればよかろう?」

 

平塚「どちらかに絞る必要などない、そもそも奉仕部の依頼の9割は私の持ち込みだ。つまり無理にこの教室に縛られる理由もないだろう」

 

それはまさに夢のような提案だった。こんな簡単な事に気づかないなんて、自分で思っていたより奉仕部と野球の事を大切におもってたんだな。

 

1度落ち着くと周りのこともよく見えるようになってきた。何かを決めたような雪ノ下や由比ヶ浜の表情とかな。

 

雪ノ下「それなら私も提案があります。茂野くん?野球部が創部されたときには、私と由比ヶ浜さんをマネージャーとして迎え入れて欲しいのだけれど」

 

その言葉に由比ヶ浜も大きく首を頷かせている。どうやら2人の考えは同じようだった。

由比ヶ浜「ヒッキーと同じで、私たちもこの関係に想うことがあるの。だめかな?」

 

雪ノ下も由比ヶ浜も以前と比べ、はっきり自分の意見が言えるようになった。出会ってたった1年と少しだがこの関係が俺たちをいい方向に1歩も2歩も進めてくれたことは紛れもない事実だった。

 

吾郎「もちろんいいに決まってるじゃねーか。断る理由がねぇよ」

 

茂野の答えはYesだった。

 

一連の流れを聞いていた平塚先生は満足そうに呟いた。

 

平塚「雪ノ下と由比ヶ浜、比企谷も成長したな。どうやら私のしたことは間違っていなかったようで安心したよ」

 

こっちは感謝してもしきれませんよ。人生でこんなに良い先生に会えるとは夢に思っていなかった。······ん?······あっ、いいこと思いついた。

 

八幡「茂野、顧問の先生は目処が立っているのか?」

 

吾郎「いや、まだだ」

 

雪ノ下は俺の考えが分かったようだ。由比ヶ浜はまぁ······察してくれ。

 

雪ノ下「それでは茂野くん、平塚先生に顧問についてもらってはいかがかしら?」

 

八幡「雪ノ下それはいい案だな。茂野もどうだ?」

 

吾郎「そうだな、先生お願いします」

 

平塚「······ふふ、これはしてやられたな。分かった、人数が集まり、その他の条件が整ったら私が顧問を務めよう」

 

その言葉にその場にいた全員が笑顔になった。こうして茂野の依頼はすべてが丸く収まったのである。

 

 

 

 

 

 




次回の投稿は12月19日(月)00:00です

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