俺ガイル×MAJOR   作:疎かなろあ

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何とか出来た·····。それといつの間にかお気に入り500件突破してた!皆さんありがとうございます!


24話

《 side hachiman 》

 

葉山が野球部に入部することになったその日、葉山は道具を持ってきたと言うので、そのまま練習に参加することになった。

 

今日はグラウンドが使用出来る日なので、俺は葉山と連れ添ってグラウンドに出た。

 

今日は樫本コーチは用事があるらしく、グラウンドには茂野コーチしかおらず、その茂野コーチはこちらを見ると、何か納得したような顔をして俺達を手招きしていた。

 

部員達も俺の隣にある意味見知った顔がいることに驚いたようだが、何かを察したようで特に何も言わずに練習を続けている。

 

それは雪ノ下たちも同様で、何があったかを察したらしい。特に何も言ってこなかった。·····皆察し過ぎじゃね?これが日本の察する文化ってやつか。日本の文化は素敵ですね。

 

ということで、特に何も無く茂野コーチの元に行くと、コーチは葉山に話しかけた。

 

英樹「君が葉山君だね?話は平塚先生から聞いているよ」

 

やはり葉山のことを知っているようだ。それなら1から十を説明しなくていいから楽だな。

 

葉山「はい。野球部に参加させて頂きたくて、今日は来ました」

 

葉山も自分の要件だけを伝える。余計な言葉は自分の選択の言い訳のようになってしまうと思ったのだろうか。

 

英樹「俺にはそんな決定権はないよ。それに比企谷が認めたならそれでいいさ」

 

茂野コーチもすんなり認める。そして、俺に全員を集めるように言った。

 

――― ――― ―――

 

集められた部員達は葉山と茂野コーチを取り囲むように半円を描いた。

 

英樹「彼は葉山隼人君だ。今日から野球部に参加する。彼もシニア上がりなので硬球の扱いには慣れているだろう。これからお互いに切磋琢磨していってほしい」

 

そう茂野コーチは締めくくった。特に反対意見を言う者も居なかった。雪ノ下なんかは何か一言くらい言うかと思ったが、彼女なりに葉山の件は清算したらしかった。

 

吾郎「じゃあ葉山はどこを守れるんだ?」

 

茂野が葉山にポジションを聞いた。茂野にとって野球をする上で個人の事情など些細な事なのだろう。何故この時期なのかなどは何も聞かない。

 

むしろそれは葉山にとってもありがたいことでもあった。もしかして茂野が気を利かせたのか?いや、ないな。

 

葉山「基本どこでも守るよ。ただ、強いて挙げるなら外野、特にセンターかな」

 

高橋「僕と同じポジションか·····。スタメンになれるように頑張らなきゃ·····」

 

野口「お前だけじゃないよ·····。俺と山本だって危ないぜ」

 

山本「そうだな。誰がスタメン落ちしても恨みっこなしだぞ」

 

八幡「お前ら張り切るのはいいが、怪我だけはするなよ。ウチはまだ10人しかいないんだから」

 

特に山本と清水。なぜだろう、コイツらはどこかでやらかす気がする。あと茂野。

 

英樹「比企谷の言うとおりだ。まだ夏本番には時間があるとはいえ、お前達にとって長期の離脱は痛すぎる。怪我には細心の注意を払えよ」

 

「「「「はい!」」」」

 

話はそれで終わった。その後は葉山も混じって練習が行われた。葉山の加入は1年だけでなく、2年生にも良い刺激となったようだ。

 

守っては、難しい後ろのフライを簡単に捕球し、送球も安定している。打っても、フェンスを超えることはなかったが、それでもチーム内では5、6番目くらいの飛距離を出している。

 

そして練習が終わる頃には、葉山はすっかり野球部に馴染んでいた。

 

英樹「葉山もなかなかやるな。これはスタメンを決めるのにも頭を使いそうだな」

 

そういって茂野コーチは俺の方を見てくる。このチームのスタメンは俺と茂野で決めている。といっても、茂野の方が野球の偏差値は高いので、ほとんど茂野が決めている。俺は聞かれたら答えるぐらいだ。

 

八幡「そうですね。現状、外野は葉山以外はほぼ横並びですからね。まあ最終的には茂野が決めるでしょう」

 

これは別に茂野に責任を押し付けようとしているわけじゃない。ほんとだよ?嘘じゃないよ?ハチマンウソツカナイ。

 

確かに少しくらいその気持ちはあるが、元々このチームは名実ともに茂野のチームだ。かといってワンマンプレーをさせるわけではないが、基本的には奴に舵を取ってもらう。

 

もっとも当の茂野は、進行形で大河と揉めているが。今日の議題は一昨日から引き続き、どちらがより生意気か、だ。俺から言わすればどんぐりの背比べでしかないのだが、本人達は至って真剣だ。

 

コイツらの争いはいつもの事なのでほっておく。周りも完全にスルーだ。

 

ただいつもと違うのは葉山が2人を止めようとしていることくらいだ。いつもは俺がしている。まともな手段で止められた記憶が無い。

 

ならどうやって止めるかって?基本的には放置で、あまりにも目に付くようなら閻魔様(大河の姉ちゃん)を呼んで、白黒つけてもらう。ちなみに黒の方はどこかにドナドナされる。部室で帰りを待っていると、そこには涙の跡と、通常時よりも腫れ上がった顔で帰ってくる。

なので葉山は無駄な努力をしているわけだ。アイツらを一般人が止められるわけがない。葉山にもその事を教えてやるか。

 

·····待てよ。このまま放置してればあの二人のお守りから俺は解放されるのでは?

 

·····葉山··········ファイトだよ! (و'ω')و

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

八幡「いつの間にかこんな季節になったな·····」

 

雪乃「そうね·····」

 

八幡「早いもんだな、俺たちが2年生になったのが昨日のようだ。時間ってのはいつの間にか過ぎていくんだな」

 

雪乃「色々あったものね·····」

 

葉山加入から1週間が経過した。

 

今は2月の中旬。1週間後には三学期最後の試験が待っている。

 

ここ総武高校では一学期、二学期そして三学期の成績を平均して、1年間通しての成績が出る。

 

つまりその成績がある一定以上でなければ進級することは出来ない。

 

しかし学校側も鬼ではない。点数が足りない生徒は補習に参加し、追試を合格することが出来れば進級することができる。

 

補習は春休みを通して行われ、春休みの最後に追試がある。当然補習があれば練習にも試合にも出ることは出来ない。

 

俺は数学が苦手だ。自慢じゃないが数学の順位は下から数えて片手で足りる。

 

八幡「雪ノ下。今日はお前に言いたいことがあって呼び出したんだ。忙しいところ悪いとは思うんだが、俺の想いを聞いてほしい」

 

雪乃「私を呼び出すなんて、貴方のことだもの。何か大切なことなのでしょう?なら私はそれに応えるだけよ」

 

八幡「そうか·····ありがとな」

 

雪ノ下は俺の想いに応えてくれると言ってくれた。ならば俺も覚悟を決めなければならない。

 

俺は今奉仕部の部室に居る。夕暮れ時、日は沈みかけ、部室にも夕焼けが射し込んでいる。

 

目の前には雪ノ下雪乃が立っている。俺がいきなり呼び出したので怒っているのか、それとも夕焼けのせいなのか、頬が赤い。その表情からは細かい感情を読み取ることは出来ないが俺の次の言葉を待ってくれていることは確かだ。

 

雪乃「ひ、比企谷君。その·····、貴方の言いたいことって何かしら?」

 

焦れた雪ノ下が俺を急かす。

 

よし、覚悟は出来た。

 

俺は右足から鉄筋の地面に膝を着き、次に左膝を着け正座の姿勢をとり、右手、左手の順で体の正面に手を着き、最後に頭を着ける。

 

そして彼女に俺の想いを告げる────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「雪ノ下先生!僕に数学を教えてください!!」

 

雪乃「··········」

 

なにかがあるまで顔を上げないでいたら、待っていたのは雪ノ下がガラガラとドアを開け、スタスタと廊下に出て、ガラガラとドアを閉める。その一連の動作音だけだった。

 

部室に残された俺は、土下座の体制のまま二分ほどそこから動くことが出来なかった。

 

·····泣いていいっすか?


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