俺ガイル×MAJOR   作:疎かなろあ

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22話

《 side hachiman 》

 

樫本「よう、本田。それから比企谷も元気にしてたか?」

 

吾郎「あー!横浜リトルのグラサンじゃねーか!」

 

八幡「いやお前、グラサンって······」

 

英樹「あのバカっ······」

 

お前、どんな関係か知らんが、年上をグラサンと呼ぶな。茂野さんがいたたまれんわ。

 

戸塚「八幡?この人は誰?」コソッ

 

ひゃうっ。戸塚の吐息が耳にかかったでござる。何とは言わんが、アレがアレするかもしれないのでやめていただきたい。

 

八幡「あ、ああ。この人はな······」

 

英樹「んんっ。俺から説明しよう。この人は横浜リトルの監督をされている樫本さんだ」

 

田代「あの横浜リトルの······」

 

樫本「という訳で、俺が茂野さんの代わりに君たちのコーチを務める、樫本だ。リトルもあるので毎日は来れないが、どうかよろしく頼む」

 

平塚「うむ。それでは茂野さん、樫本さん。よろしくお願いします」

 

この人はやっぱり凄いと思う。生徒の為にここまでしてくれるんだから。ここまで面倒見が良いのに、どうして結婚出来ないのか······。ここまで来ると世の男性の目が腐ってることさえ疑われるまである。

 

英樹「ええ。こいつらをいっちょ前の高校球児にしてやりますよ」

 

平塚「それとあともう少ししたら、トラックでバッティングマシンやネットなんかも運ばれてくるらしい。理事長曰く、プレゼントだそうだ。今他の備品なんかはマネージャーに頼んでいるから、それを降ろすのは君たちが手伝ってくれ」

 

あの人か······。ここは素直に感謝すべきだな。

 

八幡「はい、色々ありがとうございました」

 

平塚「何気にするな。これが私の仕事だからな」

 

そう言って先生は笑った。俺はこの人に仇を返すようなことは絶対にしないと、戸塚に誓おう。

 

八幡「おい、茂野」

 

吾郎「あっ、そうだな」

 

俺たちは、茂野さん、樫本監督、それから平塚先生の前に一列に並んだ。平塚先生たちは何が嬉しいのか、笑みを浮かべている。

 

吾郎「きょうつけ!」

 

「「「「よろしくお願いします!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

樫本「よし、じゃあ今の君たちの実力が見たいから、アップをした後、ノックから入ろう」

 

「「「「はい!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちは、アップをした後それぞれが以前から守っているポジションに着いた。

 

茂野は茂野さんにどんな選手か説明するため、とりあえず外れている。

 

樫本「ショートはいないのか?」

 

八幡「えと、予定では埋まるはずです」

 

樫本「予定?」

 

八幡「はい、清水が入部する予定なので」

 

樫本「大河か······。あいつなら高校でも通用するだろうな。わかった、じゃあまずボールファーストから!」

 

戸塚「お願いします!」

 

 

――― ――― ―――

 

《 side goro 》

 

吾郎「どーだ、親父。俺達のチームは」

 

英樹「正直に言おう、想像以上だ」

 

今俺と親父の前ではグラサン監督による、ノックが繰り広げられている。その様子を見た親父は率直な感想を伝えてきた。

 

吾郎「だろ!このチームなら、海堂もぶっ倒せる!」

 

英樹「少なくとも、絵空事ではないな。それよりお前、よくこれだけの奴らを掻き集めたな」

 

吾郎「まあな。つってもほとんど俺が集めた訳じゃないんだがな」

 

英樹「何?」

 

吾郎「セカンドの奴が色々手を回してくれたんだよ。まあ本人にそういったところで、否定しそうだけどな」

 

英樹「そうか······。一応このチームは皆野球経験者なんだろう?」

 

吾郎「ああ。キャッチャーの田代って奴とセカンドの比企谷って奴はシニア出身だしな」

 

英樹「なるほどな。さっきの樫本さんの話ぶりだとショートも上手いんだろ?」

 

吾郎「ああ。中3とは思えないほど動けていたし、生意気だったわ」

 

英樹「お前がそれを言うか······。今のままだとセンターが少し弱いが、このまま練習を続けていれば、十分守れる。とりあえずセンターラインは安心だな」

 

吾郎「つまり後は俺がしっかり投げれば勝てるってことだろ?」

 

英樹「そういうこった。俺はもういいからお前もノックに参加してこい」

 

吾郎「おう!」タタッ

 

 

 

 

 

 

 

英樹「いい仲間をもったな、吾郎······」ボソッ

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

《 side hachiman 》

 

樫本「じゃあラスト一本ずつ!」

 

かれこれ、30分ほどノックは続いた。茂野さんと樫本監督は特に何も言わず、そのまま終わった。

 

樫本「よし、とりあえず集まってくれ」

 

そう言われ、監督と茂野さんを取り囲むように俺達は円になる。

 

英樹「まず初めに言わせてもらえれば、君たちのレベルは予想以上だった」

 

樫本「私も同じだな。何人かは1年ほどブランクがあるみたいだが、それを感じさせなかった」

 

その言葉に、戸塚や材木座、田代といった2年生組は顔を綻ばせる。俺もまた、恩師の評価にほっと息をつく。

 

英樹「まあもちろん穴が無いわけじゃない。しかしそれを直し、上達させていくのが俺達の役目だ。次は早速バッティングマシンに仕事をしてもらうとしようか」

 

そう言って、次の支持を受けた俺達は動き始める。

 

樫本「ああ、比企谷、少し待ってくれ」

 

すると、俺は樫本監督に呼び止められた。周りの奴らは俺をどんどん抜き去っていく。茂野さんも何かを察したのか、離れていく。

 

八幡「何ですか?」

 

樫本「お前は······、野球が嫌いになったわけではないんだな」

 

どうやら、樫本監督は俺が高校で野球をしていなかったのを、野球が嫌いになったからだと思っているらしい。

 

八幡「そんなわけ無いじゃないですか。ただ、軍隊みたいな強豪校の上下関係が嫌なだけですよ」

 

これが俺の本音だった。もちろん他に理由が無いわけではないが、そんなのはほんの少しで、アホみたいな上下関係が嫌いなだけだ。だからといって、お遊びクラブみたいなところではやりたくないし。下手でもいいんだが、ふざけられると溜まったもんじゃない。

 

我儘なのは重々承知なのだが、誰かに縛られて大好きな野球をしたくない。

 

樫本「そうか······。ならいいんだがな············」

 

それでも何かを気にして俯いている樫本監督。やっぱりあの事を気にしているのか······。特に俺の中では大きな出来事ではないんだが。葉山といい、何か勘違いしてる奴が多いな。

 

八幡「そうです。だけどここなら、俺の掲げた条件が全て一致する。最高の環境ですよ」

 

俺がそう言うと、樫本監督が俺の目を見つめてきた。そして、ふっと少し笑った。

 

樫本「そうか。ならいいんだ。楽しんでやればいいさ」

 

八幡「はい。これまでも、これからもよろしくお願いします」

 

そう言って、俺は仲間のもとに走り出した。


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