《 side hachiman 》
文化祭も無事?に終わり、今年の行事もあと僅かとなった。
しかし、俺は学校行事などどうでもいい······。
やっと野球出来るぜ!ヒャッハァァァァァ!!!!!
――― ――― ―――
大変見苦しいものを見せてしまった。反省はしていない。後悔もしていない。つまり特に何とも思ってない。まさに外道。
このようにテンションが壊れるくらい俺は野球をしていなかった。具体的には15話あたりから。ちょっと具体的すぎるね、うん。
落ち着く為にも深呼吸。吸ってー、吐いてー。吸ってー、吐いてー。ヒッヒッフー。これはラマーズ法ね。
ひとまず落ち着こう。話はそれからだ。ここはどこ?ここは教室。今はいつ?今は放課後。
この後はいつも通り河川公園で、野球をする。そう、後少しで野球が出来るんだ。移動が少しかったるいがそれでもだ。
良し、なら早く教室を出よう。
椅子を引き、席を立とうとする俺を、由比ヶ浜が呼び止める。
由比ヶ浜「ヒッキー、今日からグラウンドだよ」
············そういう事はわかったら直ぐに言おうぜ。比企谷先生との約束だよ☆
――― ――― ―――
という訳で、ここは総武高校グラウンド。決して広いグラウンドではないが、野球をするには十分な広さである。
どうやら文化祭での密告が理事長先生に高評価を頂けたらしく、優先的に使わせてもらえることになった。といっても、平日は2日しか使えないが。
それからまだ何かあるような事を平塚先生が言っていたらしいが、あのアラサー。何を企んでいるんだ?
グラウンドに出てくると、部室棟の一角には新しい看板がかかっていた。
『硬式野球部』
八幡「おおー」
思わず声が出てしまった。隣にいた由比ヶ浜がクスクス笑っている。
八幡「なんというか、感慨深いものがあるよな」
由比ヶ浜「そうだねー。なんか部活動!って感じがするしっ!」
八幡「部活動なんだけどな······」
女子達は女子更衣室で着替えるらしく、部室の入口の前で由比ヶ浜と別れた。
ん?今更当たり前のことだが俺たちは部室で着替えるんだよな。······てことは戸塚のお着替えがっ!?これは急がねば!早く入ろう!ガチャ
············俺が一番乗りか。
なんだろうな、たった数畳の狭い部屋でしかないのに、ここだけ外の世界とは繋がってないみたいだ。
入口の反対側には窓が一つ。他の学校のは知らんが、一般的なイメージと相違ないだろう。
まだものが少なく、うちは人数が少ないから1人に0.5畳くらいは与えられそうだ。
とりあえず俺は人数分の机と椅子が積まれてるところから、1組引き出し、部屋の右端に置いた。ここはぼっちの指定席だから。誰にも譲れん。
肩にかけていたエナメルを机の上に置いた。とりあえず着替えているか。
さて着替え始めようか、そう思い俺は制服のベルトに手をかけ、ベルトを外し、上の服をまとめて脱ぐ。つまりは上裸という訳だ。別に男しかいないのだから、気にすることなし。
戸塚「わあ、これが僕たちの部室かあ。あっ、八幡!先に来てたんだね!」
八幡「あ、ああ」
前言撤回。やっぱり戸塚はダメです。
しかし、戸塚は気にした様子もなく、机と椅子に手をかけていた。少し手こずっている。戸塚の身長だと少ししんどいか······。
八幡「危ねーから俺が降ろすよ」ガタッ
戸塚「あっ、ありがとう······」
見ていられなかったので、机を降ろすのを手伝った。もちろん上裸のままではない。音速で着替え、戸塚のところに向かっただけだ。
八幡「よっと」
戸塚「ごめんね、八幡」
八幡「いいよ、こんくらい。で、どこに置く?」
戸塚「い、いいよ!ここまでしてくれたら自分で出来るし······」
八幡「ついでだ、ついで。どうせ降ろすなら運んでやる」
戸塚「じゃ、じゃあ八幡の席の隣に置いてくれる?」
八幡「······おう」
あえて理由は聞かない。どうやら戸塚ルートに入ったぽいからな。
――― ――― ―――
その後、続々と部員が集まってきた。一悶着あったが無かったわけではないが、そこは省略させてもらおう。
それぞれ自分の席を決め、ユニフォームに着替え、グラウンドに向かった。
戸塚のお着替え?僕は紳士なのでそこは描写出来ませんねえ。
茂野「あれ、誰かいんぞ」
八幡「平塚先生だろ」
茂野「いや、平塚先生もいるけど、もう1人いるぞ」
茂野の視線を追いかけると、そこには平塚先生とジャージに身を包んだ男性がいた。
「よう、吾郎!」
吾郎「お、親父!」
なんとそこに居たのは元プロ野球選手の茂野選手だった。
材木座「ぬふん!まさかあの茂野英樹選手にこんな所で会えるとは······」
材木座が何か言っているが、それも仕方ない事だろう。なんたって球界を代表した投手だったのだから。俺も後でサイン貰おうかな······。
吾郎「なんで親父がここにいるんだよ!」
平塚「私が頼んだんだ」
八幡「先生が······」
平塚「君たちには仮にも高校野球の王者を倒そうとしているんだ。私は野球の経験が無いのでな。誰か指導してくださる方を探していたんだ」
英樹「まあ、そういうこった」
なるほど。確かに俺たちは完成されてる訳じゃない。それどころか、まだ殆どの部分で海堂には劣っている。そこまではわかるのだが······。
吾郎「でも親父は規定かなんかでそういうのは出来ねえとか言ってなかったか?」
そう、茂野さんはプロアマ規定でアマチュアの指導は出来ないと思うのだが······。
英樹「まあな。穴を抜けようと思えば出来なくもないんだが、そんなことして、出場停止処分喰らったら元も子も無いしな」
吾郎「なら······」
英樹「そこでこの方にコーチを依頼した」
怒涛の展開に殆どの奴がついてこれてないが、何とか茂野さんの視線をおい、後ろを振り返る。
······おい、俺の目が腐りきって視界が濁っているのだろうか。本来ここにいるはずのないさるお方がいらっしゃるのだが············。
俺たちの後ろからこちらに向かって来たのは、グラサンをかけた男性だった。
というか樫本監督だった。
今回から不定期での投稿となります。