俺ガイル×MAJOR   作:疎かなろあ

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20話

《 side hachiman 》

 

葉山の件から、数日たった今日。俺のクラスでは、文化祭に何をやるのかをHRで決めることになった。

 

ぶっちゃけて言えば、文実の俺にはあまり関係の無いことである。

 

どうやら何をするかはおおよそまとまったようだ。······目の前の黒板に『脚本 海老名姫菜』『演出 海老名姫菜』『監督 海老名姫菜』とでかでかと書き綴られているから。

 

ある意味では当然の帰結なのかもしれない。去年俺たち1ーFは葉山と戸塚のW主演で人気を博した。他のクラスから見れば、それだけ人気になる脚本を書いた、海老名さんが同じクラスなんだ。自分たちだってやってみたくなるものだろう。

 

去年の過酷さ(精神、身体共に)を知っている旧F組の男子はクラス全体の10分の1もいないかもしれない。······かもしれないというのは、俺が去年と今年のクラスメイトを把握していないだけで他意は無い。この話も由比ヶ浜から聞いた。

 

海老名「いやいや、皆さんありがとうございます。こんなに推薦を受けたからには、男子達の濃密な絡みが見れるよう最大限頑張ります。ぐ腐腐腐腐腐腐腐腐······」

 

思考を巡らせていると、海老名さんが狂気的な演説をしていた。これには女子にメイクしてもらえるかも、なんて甘い幻想を抱いていた男子達もニッコリ。女子は既に歓喜の悲鳴を上げているのもいる。······大丈夫かな、このクラス············。

 

海老名「······そうだね、もう少しで脚本は書き終わるから、先に配役を決めちゃおう」

 

おい、今あたかも海老名さんが脚本するのが当然だった、みたいな発言があったぞ。

 

しかし、これは難問だ。去年は葉山と戸塚という、認めたくはないが、ある意味完璧なヒロインと主人公がいた。しかし今年は戸塚こそいるものの、主人公となるイケメンがいない。戸塚がヒロインなら俺やろうかな············。

 

海老名「とりあえず戸塚くんは確定として······」

 

戸塚「僕は確定なんだ!?」

 

しかし、戸塚が出るのは周知の事実らしく、誰一人反対派はいない。

 

海老名「あと一人は······、ヒキタニ君は使えないし······、戸部っちは主人公にはなれないし······」

 

哀れ、戸部。しかし、海老名さんの呟きに自分の名前が出たことが嬉しいのか。気にする様子はない。

 

海老名「あっ!いるじゃん!」

 

そう声を上げた海老名さんは、後ろで寝ていた男を指さした。

 

海老名「茂野くんなら私の脚本にピッタリだわ!」

 

そう、茂野をご指名したのである。しかし当の本人は寝ているため気付かず、めんどくさいので、それで可決となった。

 

起きた茂野が騒ぐのは、また別の話。

 

その後、小道具等々が続々と決まっていき、すんなり係決めは終わった。明日から本格的には始動するようで、今日は解散となった。

 

会議まであと30分はある。余った時間をどうするか、そこに今日から部活動は停止なので、特に急ぐことのない戸塚が俺のところにやって来た。

 

これは戸塚を愛でるしかないですね、はい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

定刻になったが、会議が始まる様子もない。当たり前の事だ。なんせ委員長様が来てないんだから。

 

相模「すいませーん、遅れましたーw」

 

おう、いかにも何とも思ってません。って感じの謝罪文だな。これにはめぐり先輩もニッコリ(苦笑)。

 

城廻「さ、相模さん?もう、みんな揃ってるから、早く始めよう?」

 

相模「あっ、はーい」

 

その後、始まるには始まったが、それはもう酷いものだった。基本的にはめぐり先輩率いる生徒会役員の方々と葉山が頑張っているおかげで何とか会議の体は保っているものの、相模の姿はお飾りその物だった。

 

その日も、結局下校時間ぎりぎりまで会議室に拘束されることとなった。

 

まじでどうなるんだろうか。先が思いやられますね······。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

そんなある日事件は起きた。

 

とうとう相模が会議に顔を出さなくなった。理由は当然というかなんというか、自尊心が耐えられなくなったのだ。

 

元々、周りからチヤホヤされたい位の気持ちで始めたのだろうが、想像していた以上に積み重なる仕事に自分の無能さ、更には、自分より圧倒的に優秀な人たちが自分より下の立場で働いていること。

 

無能な上司として、これ以上働きにくい職場は無いだろう。

 

だからサボった。最初は腹が痛いだの、熱があるだの言っていたが結局二日もしたら見苦しい言い訳もしなくなった。なんて潔いのだろう。

 

当然、委員会は機能しなくなる。元々いてもいなくても同じようなヤツだったが、それでもあいつが委員長という席にいる以上、奴の判断を仰がねばならない場面もある。

 

更についていないことに、今年は平塚先生が担当では無い。とうとう若手を代偽名分に仕事すら回されなくなったのだ。······ご愁傷様です。

 

そんな訳で今年ついたのは、今年赴任したばかりの新任の先生。あまり頼りにはならない。

 

しかも委員長が休んでるならと、1人、また1人と休むようになっていった。そして遂に、機能しなくなった。

 

葉山「とうとう机が半分埋まらなくなったな」

 

八幡「なんなら俺のやる気も半分くらいねぇーよ」

 

葉山「君は元からだろ」

 

八幡「そうでこざんした」

 

葉山「しかし、このままだと文化祭の開催すら怪しいな。先生には相談したのか?」

 

八幡「したさ。ただ学生が中心だ、の一点張りだがな」

 

葉山「そうか······」

 

城廻「このまま今年は文化祭開けないのかな······」

 

少し涙ぐんでいる先輩がいた。めぐり先輩にそんな顔されると、めちゃくちゃ良心が痛むんですけど······。俺なんにも悪くないのに。仕方ない······。

 

八幡「こうなったら、最終兵器を使うしかない」

 

葉山「······ま、まさか!」

 

葉山は何か気づいたようだ。めぐり先輩はキョトンとしている。かわいい。

 

八幡「そう。理事長先生(モンスターペアレント)の発動だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

そこからはんーもう早かった。それはもう驚く程に。

 

まず相模がクビになった。そしてめぐり先輩が委員長の席に座ることになった。俺と葉山は推薦されたが丁重にお断りさせてもらった。と言うか葉山はわかるが、なぜ俺まで?

 

あと相模のクビが公になったとき、相模にめちゃくちゃ睨まれた。意味わからん。まあ思い当たる節がないわけではないが。

 

その後、担当教員が平塚先生と体育の厚木先生になった。やっぱり平塚先生ていい先生なんだよなあ······。

 

上がしっかりすると、下も頑張らなきゃと思うもので、多少の情報操作もあり、何とか文化祭当日に間に合わせることが出来た。

 

そして文化祭は数人の決して尊くはない犠牲により、無事に終了することが出来たのだ。

 

 

 




今回伝えなければならないこと
①文化祭編これにてひとまず完結です。八幡とヒロインズのラブコメとかもっと書きたかったのですが、なんか二番煎じにしかならなそうなので······。需要がありそうなら書きます。あと早く野球を書きたいし、見たいと思うので、こんな形になりました。

②最近評価を多くの人から頂いております。大変ありがたいことです。高評価もあれば、もちろん低い評価を頂くこともあります。そこでお願いなのですが、低評価なら低評価の理由を教えていただきたいのです。
低評価なら低評価なりの理由があり、そこを改善していかなければ、良い作品は作れません。僕が改善するためにもご協力をお願いします。

③もう少しでリアルの方が忙しくなります。具体的に言えば野球部の活動が増えます。なのでしばらく投稿できません。ストックもほとんど無い状態できりが良いので今回から休載?のような状態を取らせていただきます。投稿再開は春の選抜が終わる頃、四月に入ってからだと思います。私の高校は別にセンバツには出ないのですが、その裏で色々するらしいので······。なのでまた四月にお会いしましょう。

次回の投稿は、4月の1第月曜日の予定です。
感想、評価お待ちしております。

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