俺ガイル×MAJOR   作:疎かなろあ

17 / 25
UA50000突破!皆さんありがとうございます!


17話

────それは俺たちが高校通算2回目となる夏休みに起こった────

 

 

 

 

 

 

 

 

《 side hachiman 》

 

小町「おにーちゃん!ほら行くよ!」

 

······どこに?

 

八幡「おい待て、お前はどこ行く気だ?ワンニャンショーならとっくのとうに終わってるぞ」

 

小町「もう!お兄ちゃんの所にもメールが来てるでしょ?今年も行くんだよ!」

 

何も来てないんですが······。

 

八幡「いや、お前さっきから主語が一つもないから。5W1Hって知ってる?」

 

小町「5W1H?何それ、中学の頃のお兄ちゃんじゃないんだからわからないよ」

 

八幡「5W1Hを中二病患者特有の幻想にするなよ······。こいつは本当に総武に入れんのか······」

 

小町「?お兄ちゃんが何言ってんのかわかんないけど、結衣さんでも入れたし、何とかなるって!」

 

こいつはさらっと由比ヶ浜の事をディスってるよな······。まあ事実なんだけど。

 

小町「て、話を逸らさないでよ!」

 

八幡「ちっ!バレたか」

 

小町「まったく、このごみぃちゃんは······」

 

八幡「で、どこ行くって?」

 

しょうがないから俺が話を進める。なんだこれ?

 

小町「今年も千葉村に行くよ、お兄ちゃん!」

 

八幡「俺に拒否権は?」

 

小町「あると思ってんの?」

 

無いのがデフォルトなんですね、はい。

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

 

 

 

 

 

俺たちは去年も群馬県にある千葉村を訪れていた。理由は昨年同様小学生の林間学校のボランティアだ。メンバーも戸部、葉山、海老名さん、あーしさんの葉山グループと奉仕部+小町と戸塚のエンジェルズといった二年連続のメンツとなった。葉山たちはクラスも違うのに良くやるよな。

 

やる事は昨年とほとんど同じだったため、それなりにスムーズだったといえよう。葉山は小学生にもモテたし、俺はより一層不気味がられる。うん、いつも通りだな。

 

そういつも通りなのだろう。とある小学生の女の子が孤立しているのも含めて。

 

その女の子は首からデジカメをぶら下げていて、集団から少し離れた場所にいた。その子の名前は鶴見留美。整った顔立ちに年の割には落ち着いた雰囲気だった。雪ノ下をそのまま幼くしたらあんな感じなんだろうなあ。性格も含め。

 

だけど別に去年だって、クラスで孤立していた奴がいなかった訳じゃない。それでもどの場面かで別のクラスの誰かと話しているようだった。つまりそいつは俺のように意図して他人と関わっていなかったという訳だ。お前は違う?······ははっ、何いってんすか。

 

俺自身、留美の性格から最初は自らボッチの道を歩んでいるのかと思っていた。けど違った。留美は周りが子供っぽいなんて言ってたけど、実際は周期的に誰かがハブられるみたいな小学生によくあるくだらないいじめだった。

 

留美は自分の過去の過ちを認めた。しかしだからといって、全てが許される訳ではないし、この状況が打破される訳でもない。

 

それでもその光景は、俺にとっても、誰にとっても見ていて気持ちの良いものではなかった。

 

一日目の夕食時、留美の話題になった。そこで葉山が言った。『なんとかしてあげたい』と。

 

ならどうする、となった時に葉山が発案したのはおおよそ葉山が考えたとは思えない、雪ノ下曰くどこかの目の腐った男が使いそうな手段だった。いったい誰なんでしょうね。

 

葉山の発案したそれはみんな『みんな仲良く』ではなく、『グループを崩壊させ、0に戻す』といったものだった。

 

何故あの葉山が、といった思いはその場にいた誰もが思っていただろうが、何かあるらしい葉山の様子を見たら誰も何も言わなかった。

 

その後、具体的な計画が建てられた。決行するのは二日目の夜の肝試し中にということになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

雪ノ下「後は誰が彼女らに接触するかね······」

 

この作戦を実行するうえで、もっとも危険なのは実際に小学生を脅す役の奴だ。もし思惑通りに事が進まなければ、実行犯ということで問題になった時に一番責任を負うことになるだろう。やりたがる奴なんてそうそういない。

 

八幡「俺がやるわ」

 

俺を除けば。

 

葉山「な、なんで君がそんなことを!?」

 

由比ヶ浜「そうだよ!ヒッキーがやる理由なんてないじゃん!」

 

八幡「それは誰でもそうだろ?」

 

そう言うと葉山が俺に突っかかって来た。

 

葉山「なら俺がやる!発案したのは俺なんだ。責任も俺1人でとる!」

 

八幡「無理だね。なんでお前がこんな性格の悪い事を考えついたか知らねーが、お前1人では無理だね」

 

葉山「何故そう言い切れる!」

 

八幡「お前は直前まであいつらが仲直りする事を願うだろう。もちろんそうなれば、いいに越したことは無いがまず無理だ」

 

八幡「それにお前は1人でやるといった。どうしたって甘さがでる。お前は嫌な奴だが、悪い奴じゃない」

 

葉山「··················」

 

誰も何も言わなくなった。平塚先生も口を開かない。重苦しい時間だけが過ぎていく。そして誰かがポツリと呟く。

 

雪ノ下「別に貴方が······」

 

雪ノ下が呟いた。

 

八幡「はあ?」

 

雪ノ下「別に貴方がやらなくてもいいでしょう!」

 

雪ノ下の怒ったような声に驚きながらも、なるべく表情を変えないように対応する。

 

由比ヶ浜「ゆきのん······」

 

葉山「雪ノ下さん······」

 

八幡「いや、俺じゃなきゃ無理だね。俺だって葉山が発案しなければ同じような案を出してた」

 

雪ノ下「だとしても!」

 

八幡「それに俺が発案していたら葉山達にやらせていた」

 

その言葉に表情を硬くする三浦や戸部。

 

八幡「俺はそういう奴なんだ。だから今回は俺がやるべきだ。他人を簡単に切り捨ててしまうような俺が」

 

そうだ。決して悪い奴らではない奴の事も簡単に切り捨ててしまうような俺がやるべきなんだ。

 

雪ノ下「昔の貴方はそうかもしれないけど、今の貴方は違うでしょ!?」

八幡「そうかもしれないな。だけどこれは言わば一つのケジメなんだ。だから、俺にやらせてくれないか?」

 

雪ノ下も黙ってしまう。もうこうなると誰も何も言えない。また沈黙が生まれてしまう。葉山が悔しそうに言ってきた。

 

葉山「······わかった。君に······お願いするよ······」

 

八幡「おう」

 

小町「ねえお兄ちゃん?」

 

すると、ここまで黙っていた小町が口を開いた。

 

小町「別にお兄ちゃんの予定では上手くいくんでしょ?」

 

八幡「?あ、ああ。多分な」

 

この妹は何が言いたい?

 

小町「じゃあ大丈夫だね!お兄ちゃん自分にとってメリットになるのかデメリットになるのかは異様に頭が回るしね!」

 

八幡「なんだろう、褒められているはずなのに貶されてる気分だわ」

 

しかし小町が言いたいことはわかった。おかげで心配そうな顔をしていた雪ノ下や由比ヶ浜も表情が明るくなった。さすが我が妹、出来た子だぜ。

 

小町「それにお兄ちゃんの事を心配してくれてる人だっているんだよ」

 

おう、それは知ってるさ。こいつらのおかげでな。

 

小町「もちろん、小町もだけどね。あっ!今の小町的にポイント高い!」

 

八幡「その一言が無ければな······」

 

まったくこの妹は······。そんな満面の笑みでこっちをみやがって。可愛いじゃねぇかこの野郎。なんかブラコン過ぎて心配になるんだけど。······本当に可愛い出来た妹だよ、お前は。

 

雪ノ下「わかったわ、比企谷君。確かに小町さんの言う通りね。貴方リスクリターンの計算だけは得意だものね」

 

八幡「そうだな。なんなら教科書に載ることを切望してるまである」

 

小町のおかげで、なんとかまとまる事が出来た。そして俺たちは決戦の二日目を迎えようとしていた。

 

 




戸塚「八幡、僕だって心配してるんだからね!」

大天使トツカエルを召喚出来なかった······。じ、次回こそは!

次回の投稿は2月9日(木)00:00の予定です。
感想、評価お待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。