俺ガイル×MAJOR   作:疎かなろあ

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16話

《 side hachiman 》

 

俺が実行委員になった事を告げたその日、後片付けも終わり、各々が帰宅の準備をしている中、俺は雪ノ下と由比ヶ浜に集まってもらった。

 

雪ノ下「比企谷君、話とは何かしら?」

 

八幡「ああ、葉山の事なんだが······」

 

由比ヶ浜「葉山くんの事······」

 

俺は先日一色との会話で出てきた葉山についての事実を伝えた。

 

雪ノ下「そう······、そうだったのね。それだけ聞くとその、私たちを支援するような形になるわね」

 

由比ヶ浜「うん······。でもなんでそんなことをしたのかな?」

 

雪ノ下「分からないわ、彼の考える事なんて分かりたくも無いもの」

 

由比ヶ浜「ゆきのん······」

 

雪ノ下「彼は私にとって大切なものを奪おうとしたのだもの。許せるはずがないわ」

 

そう呟く雪ノ下の表情は苦々しげで、それを見ている由比ヶ浜も彼女を心配そうに見ている。無論、俺も似たような表情なんだろう。

 

野球部員はほとんど帰っていき、一色だけは暗い中1人で帰らせる訳にも行かない(小町論)ので待ってもらっている。

 

八幡「確かに雪ノ下が言いたいこともわかる。だから俺は葉山に聞いて見ようと思う」

 

雪ノ下「貴方······本気なの」

 

八幡「マジもマジ、大マジだ。いつまでもこんな風にあいつのことばっか考えてたくない」

 

海老名さんのいい餌だ。まああの人もあの一件があってから俺と葉山をかけ算の公式に当てはめようとはしなくなっているけれど。

 

由比ヶ浜「でもどうするの?」

 

八幡「あいつも実行委員なんだよ。だから様子を見て話を聞いてみる」

 

雪ノ下「話を聞いて貴方はどうするの?」

 

八幡「わからん。少なくとも殴り合いの喧嘩はしねーな。勝てないから」

 

由比ヶ浜「理由が情けないよ!?」

 

八幡「うるさい、俺は自分が一番可愛いんだよ」

 

あっこれは違う。この世で一番可愛いのは戸塚か、小町。これ常識な。

八幡「それでも多分、条件が揃わなければ話しかけられないから、今週の間だけ待っててくれ」

 

今日が水曜日なので。二日間の猶予がある。まあ話すだけなら明日で済むだろう··················。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

はいっ、大変読みがあもうこざいました。結論から言えば、話しかけるどころか目も合わせられませんけどなにか?

 

今日は金曜日。昨日何してたかって?授業受けて、かったるい会議を聞いて、部活しましたけど?だってしょうがないじゃん。あいつの周りにはいつも相模って奴とえっと············、ユッケ?とハルジオン?さんがいるんだもの。流石に八幡あそこに突撃する勇気はないよ。

 

今日も今日とて、今は会議室で一色と喋りながらあいつらが来るのを待っている状態だ。一色も事情は知っているので、少しばかり同情の念があるようだ。

 

一色「まあなんて言うんですか?ほら先輩の好きなアニメにもあるじゃないですかー。えっと、何でしたっけ?あっ思い出した!諦めたらそこで試合終了ですよ!」

 

八幡「確かに好きな作品ではあるけど············」

 

話していると、葉山たちが部屋に入ってきた。······やっぱり憑いてるなあ。

 

少しばかり視線を送ると、俺の中で目下出来れば視界からいなくなって欲しいランキングベスト3の御三方が何やらコショコショ話して、こちらに近づいてきた。まさか旅のパートナーを選べって訳じゃねーだろな。どんな御三家だよ。

 

相模「ちょっとなにさっきから見てんの?ていうか前もチラチラ見てたよね?」

 

は?別にお前らなんか興味ないんだけど······。それこそ名前がわからないくらいには。

 

相模「ゆっこと遥もわかるでしょ?」

 

ゆっこと遥って言うんだ。へー。

 

ゆっこ「てか何?葉山君に憧れてんの?そもそも住む世界が違うからwww」

 

遥「それとも何?アタシ達の事見てたの?wwマジキモイんですけどwww」

 

相模「アンタみたいな、気持ち悪いマジ無理ですからww」

 

こいつら······。やっぱり進学校にもこういう奴らはいるんだよね······。去年もいたな、こんなの。近くの奴らにしか聞こえないような声で言ってくるんだからタチが悪い。

 

でもそれよりも隣のいろはちゃんが激おこプンプン丸なんだけれど。こっちの方が怖いわ。どうしようかなあ······。

 

「さっきから聞いてれば、君たちは彼のことを知らないのに、勝手な事ばかり言うなよ······」

 

思考を遮る低い声が聞こえた。その声からは静かな怒りを感じ取れる。

低い声と言葉遣いから、一色ではない事がわかる。もちろん俺でもない。すなわちそれは━━━

 

 

 

 

 

葉山隼人の声だった。

 

 

 

 

 

突然のことに俺も含め、会話を聞いていた人は全員戸惑っている。ある者は突然の登場に驚き、ある者は何故こいつが?という疑い。そして残るは自分達側だと思っていた人物による裏切りにも似た何かである。

 

八幡「葉山······」

 

葉山「すまない、比企谷。俺に話があるんだろう?」

 

八幡「······ああ」

 

葉山「もう少し静かな場所で話すか」

 

八幡「······おう」

 

未だ唖然としている相模達を捨て置き、俺は一色に一言告げると葉山と共にその場を後にした。

 

葉山についていくと、屋上に繋がるドアの前まで来ていた。ドアは南京錠で閉ざされている。

葉山「ここなら誰にも聞かれないと思う」

 

そういって、南京錠を外した。恐らく壊れていたのだろう。一見留まっているようだったが、簡単に外れた。

 

葉山はそのまま屋上に出た。俺もそれに続いた。

 

葉山は俺と向かい合うと深々と頭を下げた。

 

八幡「なんの真似だ······」

 

葉山「すまなかった」

 

そして口にしたのは謝罪の言葉だった。

 

八幡「それはどの事についてだ?」

 

葉山「夏休みの千葉村のことについてだ」

 

八幡「さっきのは?」

 

葉山「彼女達の失態に俺が関わっていたとしてもそれだけで謝る理由にはならない。そう言ったのは君だし、なにより君はそういうのが嫌いだろう」

 

八幡「良くわかってるじゃねえか。とりあえず頭を上げろ。そのままじゃ話にもならん」

 

葉山「ああ······」

 

こいつの真意を確かめるためにも、俺の考えをまとめるためにも、ここではっきりとさせておくか。

 

八幡「何故謝る?」

 

葉山「それは······、俺が、君を、陥れるようなことになってしまったからだ」

 

八幡「その言いぶりだと狙っていた訳じゃないんだな?」

 

葉山「すまない、言い方が悪かった」

 

八幡「そんなことよりどうなんだ。お前はわざとやったのか?」

 

葉山「······信じて貰えないだろうが、わざとやった訳ではない。だけど俺は罪を受けるには充分過ぎる程の事をしてしまった」

 

八幡「なら、いいわ」

 

葉山「は?」

 

八幡「わざとじゃないんだろ?」

 

葉山「あ、ああ······」

 

八幡「じゃあいいじゃねえか。あの件についてはこれで終わり。雪ノ下達には俺から説明しておくから」

 

それだけ伝えると俺は屋上からでていこうとした。

 

葉山「待ってくれ!」

 

八幡「んだよ?」

 

葉山「どうしてそんな簡単に許すことが出来るんだ!?俺は君を陥れかけたんだぞ!?」

 

八幡「結果だけ見ればな。後俺自身あの件について思うところがなかった訳じゃない。おかげで今日はゆっくり眠れそうだ」

 

皮肉のように聞こえるかも知れないが、これが俺の精一杯の譲歩だ。あいつもこの件では苦しんでいたのてあろう。なら早くケリをつけるべきだ。お互いの利益のためにもな。

 

葉山「だからって······」

 

八幡「なあ、もういいだろ、これ以上何を話すことがある」

 

本当はまだ聞かなければならない事はある。どうして俺たちの事を助けるようなことをしたのか。それは葉山にとってマイナスになることはあっても、プラスにはならないはずだ。

だが俺としては一刻も早く、ここから立ち去りたい。今のこいつは見ていたくない。

 

葉山「······鶴見さんとは連絡とっているのかい?」

 

八幡「とるわけねーだろ。番号も知らんし、もう関わることもねーだろうな」

 

俺はあの一件の中心であった、1人の少女の事を思い出していた。




次回の投稿は2月6日(月)00:00の予定です。
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