俺ガイル×MAJOR   作:疎かなろあ

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15話

《 side hachiman 》

 

今日は文化祭の実行委員他、様々な係を決めることになっているらしく、朝俺が学校に登校するとクラスのそこらかしこでその話題が持ち上がっていた。

 

文化祭か······。終わってみたら、良い思い出としての記憶が強いが、ふと細かい部分まで思い出してみようとすると、脳が『ほんとにいいの?』と問いかけてくる。まあ問いかけられてる時点でだいたい思い出しちゃってるんだけどね。

 

あの時は俺の社畜としての才能が垣間見えたと思う。ほんとは垣間どころか、コンクリートのように固く閉ざされていて欲しいところだが。あっでもコンクリも割と簡単に割れるんだよなあ。じゃあだめですね。

 

それでも去年はまだいいと思う。なぜなら実行委員長が現生徒会長のめぐり先輩だからね。なんどあの笑顔に癒されたことか。次のプリティでキュアキュアのアニメに採用すべきだと思う。

 

しかしながら、問題はつきものなので色んなことが起きたよなあ。······もうだめだ。これ以上考えると帰りたくなる。そもそも去年も俺が寝坊したのがすべての始まりなわけで、今年こそはと思いしっかり起きてきた。

 

これでとりあえずは安泰かな。ただし脚本が海老名さんじゃなければだけど······。

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

 

 

寝坊しなければ大丈夫だと言ってな。あれは嘘だ。

 

目の前の黒板には『男子実行委員 比企谷八幡』とか白いチョークで書き込まれている。どうしてこうなったか、俺が自らやる訳はないし、推薦もありえない。残された選択肢はそう··················。

 

ジャンケンで負けました。

 

まさか、あの人数から負け残るとは思わなかった。俺が最後に負けて、一人になった時。すなわち実行委員になることが決定した時、茂野と戸部が吹き出していた。あいつら······。戸塚は心配そうな目で見てくれた。可愛いかった。

一応、平塚先生に野球部があるんですけど······と控えめに言ってみたのだが、

 

平塚「すまんなあ、確かに考慮してやりたいがほかの奴らも同じ条件なんでな。君だけに肩入れするわけにはいかんのさ。すまないが、ひとつやってはくれんかね」

 

と逆にお願いされてしまった。確かに平塚先生の言うことはもっともだし、もしほかの部のやつが俺と同じことを言っていたら、先生と同じような考えを持つだろう。あっ、別に知らない奴ばっかだからそもそも気にしないかも。てか気にしねえな。うん。

 

負けてしまったものはしょうがない。今年は少しでもまともな奴がいることを切に願おう。

 

ちなみに女子は良く知らん人になりました。由比ヶ浜がやろうか?みたいなことを言っていたが、部の事を考えるとあまり得策では無いような気がしたので、断っておいた。

 

ただ、もし助けが必要になったら手を貸してくれ。と一言だけ付け足しながら。

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

その後は比較的スムーズに係は決まっていった。しかし海老名さんが脚本担当になった時、 戸部を除いた男子の半数の目が死んでた。仲間が増えたよ、やったねはーちゃん。

 

それから時は経ち、放課後となった。今日は顔合わせだけだからあまり遅くならないと茂野と戸塚に告げ、俺は会議室に向かった。

俺が入ると既にいくつかのグループが出来ているようで、教室の端に人が集まっていた。俺は始まる時間までもうまもなくだということを確認して、角の席に座った。うちのクラスの女子はすぐ後ろでほかのクラスのやつと話してる。議題はなにかって?察してください。

 

俺がスマホをいじって時間を潰していると少しすると、教室に1人の女子生徒が入ってきた。彼女は知り合いでも探しているのかきょろきょろしている。俺は既にスマホに目を戻していた。見つけたのだろう、『せんぱーい』とあざとく呼んでいる。ほら先輩呼んでるぞ。するとこちらの方に向かって歩いていることが分かる。

 

一色「先輩!呼んでるじゃないですか!」

 

耳元で叫ばれた。

 

もちろん鼓膜が云々という程ではないが、俺の意識を向けるには充分だった。

 

八幡「すいません、なんのようですか?」

 

一色「さっきから先輩って呼んでるじゃないですか!どうして無視するんです!?」

 

八幡「いや、お前。先輩なんて呼び方だけで俺は特定出来んぞ」

 

一色「私は先輩の事しか先輩って読んでないんですよ」

 

それはお前なんかの名前なんて知らねーよってことですか、そうですか。

 

八幡「てかなんでお前いんだよ。部活行けよ」

 

一色「私も実行委員なんですよ!」

 

八幡「は?何?推薦かなんかか?」

 

一色「いえ、ジャンケンで負けました」

 

同じ境遇の奴がいた。嬉しくない事実である。

 

一色「どうせ先輩も似たようなもんですよね?」

 

八幡「お前はエスパーか」

 

一色「消去法ですけどね」

 

一色と話して時間を潰していると、少し周りが騒然としていた。一色から目を離し、そちらの方を向くと1人の男子を囲むように数人の女子が連なっていた。その男子は俺とは正反対に位置する奴だった。そう葉山隼人だ。なんというかこれも縁なのか。······やっぱり大変な未来には変わりはないようですね············。

 

 

 

 

 

 

 

その日の会議は自己紹介と担当部署決めが中心だった。俺と一色は記録雑務にした。俺たちは基本的には当日以外はほとんど仕事がないので今日は解散、ということになった。そう、本来は当日以外仕事は無いはずなんだけどなあ······。ちなみに委員長は葉山と一緒に入ってきた相模といういかにもカースト意識の高そうな奴が立候補し、そのまま委員長になった。八幡、ちょっと心配······。

 

葉山もどこかの部署に決まっていたらしく、こちらを少しだけ見ると、早々と出ていってしまった。用事でもあるのだろうか、いやあの相模って奴の相手がめんどくさかったんだろうな。

 

俺も長居をする理由はないので部屋を出て、部活に行こうとすると後ろから一色が追いかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

 

その後俺と一色はいつもの如く河川公園で練習している奴らと合流し、練習を行った。練習を終え、ベンチの前に集まる。最近、後片付けをする前に少し集まってミーティングをする事が多くなっている。なので俺はそこで実行委員になったことを伝えた。

 

八幡「俺と一色は、文化祭の実行委員になった。これから文化祭が終わるまでの間、平日の練習には出たり出れなかったりなると思う。迷惑をかけてすまない」

 

それだけ言うと俺は軽く頭を下げた。それに釣られるように一色も慌てて下げる。

 

戸塚「別に頭なんか下げなくてもいいのに。八幡達が謝ることじゃないでしょ?」

 

八幡「でもこの人数だと一人減るだけでも大変だろ」

 

材木座「それはそうだが、お前に無茶をされてもたまらん。お前が倒れてしまっては我たちも困るのでな。手伝えることがあれば遠慮なく言うが良い!」

 

八幡「お前ら······」

 

見ると、田代や1年生達もうなづいてくれてる。

 

雪ノ下「比企谷君それに一色さん、私は今年委員ではないけれど、私たちは奉仕部でもあるのだから手助けはいくらでもするわ」

 

由比ヶ浜「そうだよ!また去年みたいになられても嫌だし、いつでも頼ってよ!」

 

吾郎「まあそういうこった。別に無理にとは言わねーが、うちは1人1人がエースで主軸なんだ。そんな大切な奴のためならいくらでも手を貸すぜ」

 

ほんとにこいつらは······。人生の中でこんなにも多くの人から必要とされるとは思わなかった。少なくとも入学した頃の俺ならまずありえない状況だ。こいつらには感謝しても感謝しきれんな。

 

八幡「おう······、まあ、そのなんだ············、ありがとう·····な·············」

 

少し恥ずかしかったので、若干俯きながら俺は感謝の言葉を述べた。




次回の投稿は2月2日(木)00:00の予定です。
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