俺ガイル×MAJOR   作:疎かなろあ

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13話

《 side hachiman 》

 

その日はもうなんか大変だった。

 

朝茂野の登校すると、普段は嘲笑や蔑みの声が聞こえんばかりの視線が、今日は一般論的にはいい意味で視線を集めてしまった。

 

もちろんその中には蔑みなどなく、むしろ妬みの視線さえ感じた。それもそうだろう。いかにもトップカーストな茂野や由比ヶ浜と一緒に登校しているのだから。

 

平塚先生には驚かれすぎて1発もらったし、材木座にも校舎裏で1発もらった。あれ?やっぱりいじめられてない?当然材木座はただではすませなかったがな。今頃保健室で寝ていることだろう。

 

そんななか、戸塚や一部のヤツらはそれでも普段通り接してくれた。しなしながら、相対的に見るとやはり疲れの方が大きい。割と大差で。しかもまだおおきくなっているときた。もう勘弁してくれ······

 

俺は安直な考えだったと今朝の自分を呪いながら、2度と学校では目に光をともさないことを戸塚に誓った······。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ――― ―――

 

 

 

 

 

 

なんやかんやでいつも通り?授業は進み、放課後となった。

 

俺は依頼人を待たせるのもあれか、と思い未だにクラスで喋っている茂野や戸塚に奉仕部に行くことを告げ、足早に教室をでた。

 

その様子を見てたのか、由比ヶ浜も同様に三浦たちとのおしゃべりを切り上げ、教室から出てきた。

 

いつの間にか俺の隣には由比ヶ浜がいる。昔こそ、慌てふためいたものだが、今の俺はこの程度では動揺しない。もしくはそれだけこいつの存在に対して気を許しているとも言えるのだろう。

 

由比ヶ浜といえば、朝のことはすっかり忘れたのかいつも通りに話してくる。こいつがアホの子で助かった。

 

喋っていると奉仕部に着いた。まだ空いてなかったのでしばらく待つと、鍵を持った雪ノ下が歩いてきた。

 

雪ノ下「ごめんなさい、少し遅れてしまっ············」

 

謝りながらこちらをみた雪ノ下が一時停止をした。どうやら俺は朝と同じ説明をしないと行けないらしい······。

 

雪ノ下「なるほど、事情は分かったわ」

 

結局俺は朝と同じことをして同じような反応を頂いた。······お互い照れて気まずくなるという特典つきでな。

 

雪ノ下「もうすぐ依頼者も来るだろうから、······その比企谷君も座ったら?」

 

八幡「······おう」

 

俺達がいつもの位置に腰を下ろすと、それを待っていたかのように、コンコンと部室のドア2回ノックされた。ノックを2回するのはトイレだぞ?こういう場合は3回が正しい。······このことを説明するのは何回目だろうか。

 

雪ノ下「はい」

 

「失礼しまーす······」

 

不安げな少し間延びした声とともに部室に入ってきたのは、整った顔に亜麻色の髪がセミロングに切りそろえられている女子。制服は今風に若干着崩している。いかにも男ウケの良さそうでリア充って感じだ。

 

入ったはいいがどこに入ればいいのか分からず、借りてきた猫のようになっている彼女を見かねた由比ヶ浜が椅子を出してきて、声をかけた。

 

由比ヶ浜「いらっしゃい!とりあえず座ってよ!」

 

やはりこういう人を気遣うことに関しては由比ヶ浜には頭が挙がらない。雪ノ下がいれた紅茶が彼女に差し出され、1口飲んだところで相談が始まった。

 

雪ノ下「とりあえず貴方の学年と名前を教えていただけないでしょうか」

 

「あっ、はい。1年の一色いろはっていいます」

 

························。1年の一色いろはさんね。はい。

 

雪ノ下「そう、一色さんね。一色さんの依頼は人探しだったわよね」

 

一色「そうです、あっでも多分解決しました」

 

由比ヶ浜「えっ?」

 

雪ノ下「どういう事かしら?」

 

あー、本人の力で解決したならそれが1番だよねっ!よし、お引き取り願おう!

 

一色「多分、その男性(ヒト)が私の探している人だと思います」

 

八幡「いえ、私は貴方の事なんて知りませんよ(裏声)」

 

どうだ、乗り切れたか······?

 

一色「··················『本物』············」ボソッ

 

八幡「やあ!これはこれは一色いろはくんじゃないか!」

 

後輩を忘れたフリをし、しかしその後輩に出し抜かれ、手のひらを返す、情けない先輩の姿がそこにはあった。というか、俺だった。

 

こんな簡単に見破られると俺が早起きまでして、変装してきた意味とは······。

 

俺の音速の手のひら返しをみて、奉仕部部員がドン引いている。

 

一色「やっぱり先輩じゃないですか!どうして名乗り出てくれないんですか!」

 

その一方、一色はさっきまでの大人しさはどこへ行ったのか、お返しとばかりに噛みついてくる。

 

八幡「いや、なんだその。あれがアレだから」

 

一色「なんの説明にもなってないじゃないですか!」

 

雪ノ下「ちょっといいかしら」

 

頭が痛いのか、こめかみを抑えた雪ノ下が、会話を止める。どうした、風邪か?あなたの風邪に狙いを決めてベン〇ブロック、いるか?あっ、俺が持ってんの黄色だったわ。

 

雪ノ下「まず貴方達はどういった関係なのかしら?」

 

由比ヶ浜「そ、そうだよ!なんか妙に仲いいし······」

その問いに対し、俺が答える前に一色が口を開く。

 

一色「私と先輩の関係なんて決まってるじゃないですかー······」

 

そう言って涙目+上目遣いのコンボでこちらを見てくる一色。ふっ、甘いな。確かに中学時代の俺ならそれでも多少心が揺れたがこの1年間、戸塚(天然物)と接しづけた俺は一色(養殖物)なんかに騙されない!

 

八幡「あざとい。つかただの中学の先輩、後輩だろ」

 

俺がしっかり訂正を入れるとなんだかホットしたような顔になる2人。それとは対称的にあざとく頬を膨らませる一色の姿があった。

 

八幡「······なんだよ」

 

一色「何でもないです。それより先輩がどうしてこんな綺麗な方達と同じ空間にいるんですか?」

 

八幡「聞き方に棘がありすぎんだろ······」

 

恐らく一色は何を言っても引き下がらないので、今まで何があったかを簡単に説明した。そして俺と一色にどういう事があったか、ということも一緒に。

 

話しているうちに一色と由比ヶ浜は元のカースト位置が近いせいか、すっかり意気投合してしまった。

 

一色「なるほど、先輩たちは野球部に所属してるんですね······。まあ知ってましたけど······」

 

最後に何かポツリと呟くと、何か決心したような表情を浮かべる。······なんとなく先が読める。

 

一色「なら私もマネージャーしてもいいですか?」

 

ほらな。

 

八幡「お前できんのか?」

 

一色「なっ!失礼なことを言いますね、先輩。私こう見えてもお菓子とか作れるんですからね」

 

八幡「いや、そういう事じゃないんだが······」

 

雪ノ下「茂野くんに聞いてみてだけど、別に断る理由も無いんじゃなくて?」

 

由比ヶ浜「いんじゃない、ヒッキー」

 

まあ確かにそうなんだが······。

 

一色がここぞとばかりに、攻めてくる。

 

一色「せんぱい······。駄目······ですか············?」

 

うっ······。このパターンは······。はぁ、小町に『お兄ちゃんっていろはさんには甘いよね』とか言われるわけだ。もう断る気すら失せた。

 

八幡「一応もう1人代表がいるから、そいつに聞いてみてだな」

 

一色「やったー!ありがとうございます、先輩!」

 

そう言って右腕に抱き着いてくる、一色。お前、女の子が簡単にそういうことしてはいけないって、小学校で習ってないの?おかげで今にもこのチェリーのハートがブレイクしそうだよ?

 

由比ヶ浜「なっ!」

 

由比ヶ浜も驚きでこえが出ないようだ。雪ノ下は······、おっかないから見ないでおこうかな。

 

雪ノ下「比企谷君?こっちを見てもらえるかしら?」

 

あっ、僕は今日死ぬんだな。

 

俺が辞世の句を考えていると、救世主が現れた。

 

吾郎「おい、比企谷。終わったらキャッチボールしよう

、ぜ······」

 

現れたのは、救世主でも女神でもなく、オンリーワンの野球馬鹿でした。

 

そして、彼は部室を眺めてそっとドアを閉めた。

 

············Come back goro!

 

 

 




次回の投稿は1月26日(木)00:00予定です。
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