俺が階段を下り終えると共に視界に嫌な奴が入った。
『待ってたぜぇぇ!いつかの悪魔ちゃんよぉぉぉ!』
「グ、グレンデル!?頭だけにしたのにもう治ったのかよ!?」
『そういうことだ!やろうぜ、この前の続きをよぉぉぉ!』
グレンデルだ。あの魔法使い襲撃の時に俺が頭だけにした邪龍……いくらなんでも回復が速すぎる。
グレンデルが俺に対して突撃の態勢に入った瞬間、イッセー、木場、ゼノヴィアが攻撃を仕掛けていく。だがどれも大きなダメージにはなっていない。
「リッパー、今のうちだ!小猫をこっちに!」
「わかった!」
俺はアザゼルの指示で小猫を後衛のアーシアとギャスパーの後ろに寝かせる。そして俺はアザゼルの横につく。
アザゼルはそれを確認すると後ろの三人を囲むように防御結界を張った。
「それで、作戦は?」
「リアスがデカい一撃を撃つから、溜め終わるまでの時間稼ぎだ」
「了解!」
そうこう言っているうちに木場とゼノヴィアがイッセーからの譲渡を受けてオーラが膨れ上がっていた。
「……よし、これなら!」
「ああ、いこう!
「そんじゃ、俺もいくぜ!」
俺たちは同時に動きだし速度を上げていく!
前回は大剣でも柔らかい腹部だからか刺さったが、斬りまくるならナイフのほうがいいな。
グレンデルの固さは異常の一言だ。下手したらブレードでも斬れないかもしれない。
俺がそう考えナイフを両手に構える。それと同時に俺たち三人はトップスピードに到達する!
『おほっ!速ぇっ!クソ速ぇじゃなねぇかよ!』
グレンデルは俺たちの速度を追いきれていないのか、攻撃を誰もいない場所にばかり繰り出すばかりだ。
俺たち三人は音を置き去りにして攻撃をしていく。
グレンデルは異様なまでに打たれ強い。前回やったあれもいいが時間がかかるし俺もボロボロになる。グレンデルが警戒してやらせてもらえない可能性も高い、やれないな。
俺たちの攻撃で少しずつではあるが鱗が剥がれていく。
速度が俺や木場よりも遅いゼノヴィアが俺たちについてこれてるのはエクス・デュランダルの鞘になっている
『当たらねぇ!当たらねぇぞ!?』
さすがのグレンデルも焦り始めていた。
グレンデルの傷跡から煙が上がり始めている。おそらく木場が使っている
グレンデルは舌打ちをすると後ろに飛び腹部を膨らませる。
「あれはどう見ても火炎を吐く気だな。いくぞ二人とも!」
「はい!」
「わかった!」
二人は返事をするとそれぞれの得物にオーラを溜めていく。俺もブレードを大剣に変えてオーラを溜める。
グレンデルが火炎を吐き出すと同時に俺たち三人は得物を振り下ろす!
伝説の剣とともに斬撃を打てるとは!いいもんだな!
俺たちの放った波動とグレンデルの火炎球が正面から衝突する!ぶつかった瞬間、空気がうねり激しい余波が室内に広がっていった。
俺たちの波動はグレンデルの火炎球を振り払い、そのままグレンデルを包み込んだ!
『グオオオオオオオ!』
グレンデルの悲鳴が響き渡る。今の一撃でも倒れなかったらホントにあいつ何なんだと言いたくなる。
煙が晴れグレンデルがいた場所を確認するとそこには……
『いいじゃねぇか……こんなに傷ついたのは久しぶりだ!』
全身から煙と血を出しているグレンデルが立っていた。正確には片膝をついてはいるが、死んでいないのは同じだ。
それにしても……あれをくらっても笑ってやがるのか。
「……このダメージで立つのか!」
「心底楽しそうだ。死ぬのも笑って受け入れるというのか、この邪龍は!」
木場とゼノヴィアが顔を強張らせていた。
「んじゃ、こいつも喰らっておけ」
アザゼルが特大サイズの光の槍をグレンデルの腹部に投げつける。
『おほっ!来いやぁぁぁ!』
グレンデルは真っ正面から受けてたとうとするが、光の槍が当たる寸前に四散し、無数の細かい光の矢となって襲いかかる!
グレンデルの腹部に数え切れないほどの光の矢が突き刺さり明らかに大ダメージなことが見てとれた。
『チッ!ちょこざいな堕天使だぜ!』
グレンデルはそれも気にせずに毒づいていた。
「だったらこっちもどうだ?」
俺はブレードをグレンデルを囲むように展開し一気に打ち出す!
『はっ!そんなもんが効くわけねぇだろぉ!』
グレンデル回避も防御もせずにそれも受け止める態勢に入った。
確かにブレードじゃ、あいつには傷をつけられない。だが今の傷だらけのあいつになら……。
俺が打ち出したブレードはグレンデルの傷口に突き刺さり、肉を抉っていった!
俺の狙いは元よりこれだ。鱗に当てても通らないなら、傷口に打ち込み傷を抉っていく。これならダメージが通る!
『……ッ!いいねぇ!こういう攻撃も悪くないぜぇぇ!』
それでもグレンデルは笑っていた。
あそこまで戦いを楽しめたら、それはそれですごいな。俺はあんなにはなりたくないが………。
その後もグレンデルとの戦闘が続き、こちらも俺とアザゼル、木場以外のメンバーの被弾が増えてきた。
どうにかして余力を残して下に行きたい俺たちはグレンデルを攻めきれずにいた。
どうにかしてアザゼルだけでも下に行かせようにもグレンデルがそれだけは許さずに阻止してくる。
「とりあえず右目はいただくぜ」
「俺は左目だ!」
アザゼルの投げた光の槍が右目を貫き、俺のナイフで左目を潰す。
『ぐおっ!おおおおおお!』
両目を失いグレンデルは地団駄を踏み、ふらつき倒れかける。だがすぐに態勢を立て直し、狂喜の笑みを浮かべた。
『いいねぇ!こうだよこう!こうこなくっちゃよ!いいぜぇぇ!目が見えなくても何人殺せるか試してみたかったところだ!』
ホントに狂ってる。あの状況すら楽しんでるのかよ!
俺たちが次の一手を考えているときだ。
「……ありがとう。ものは出来上がったわ」
リアスの声が届いた。
振り返るとそこには強大な滅びの球体が生み出されていた。
リアスが滅びの球体と共にこちらに移動しながら嘆息する。
「私の攻撃が効かない相手ばかりで嫌になるわ。けれど、いつまでも眷属に格好悪いところを見せてはいられないものね。だから、私も作ってみたの。必殺技っていうのを」
「皆、離れて!リアスの後ろに下がりなさい!」
朱乃の一言で全員がグレンデルから離れ、リアスの後方に後退した。
「吹き飛びなさい!」
リアスが強大な滅びの球体を前方に放った!
異常なまでにゆっくりと進んでいくそれは当たってもいない床さえも削るほどの威力の余波を見せてくれた。
『ん?なんじそりゃ。おっそいじゃねぇか!』
グレンデルも間の抜けた声を発しているほどだ。
しかし、その球体は徐々に紅と黒の魔力のオーラを渦巻かせていく。よく見ると少しずつグレンデルが球体に引き寄せられていっていた。
グレンデルも其をすぐさま理解して抵抗しているが、体をよろめかせていた。
床に膝をついてまで抗おうとするが、ついには体全体が動きだした。
『ぐぉっ!なんつー吸引力だ!』
ついにグレンデルと球体が接触した。
その瞬間、グレンデルの鱗が弾けとんだ!
『グオホォォォォォォォォォォ!』
絶叫をあげるグレンデル。強大な滅びの球体は無慈悲にグレンデルの全身に襲いかかる!
あのグレンデルをあそこまで……リアス恐るべし。
『チィ!』
グレンデルは舌打ちをして翼を広げ逃げようとするが、朱乃が雷光でできた龍を飛ばした!
『グァァァァァァァァァ!』
盛大に痺れ動けなくなったグレンデル。朱乃はそれを見てSの笑みを浮かべていた。
「あなたはそこで消し飛ばないとダメですわよ?」
リアスが言う。
「イッセーの力が私にも影響を与えたようなの。
巨大な滅びの球体がいっそう輝きを増していき、グレンデルを包み込んでいった。
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