客室に結界を張り作戦を確認していた。
例の魔方陣を堂々と展開した以上、城の中でも外でも臨戦態勢になっているはず。そしてこの部屋にも攻撃が飛んできてもおかしくないため、念のために結界を張ってから確認してしてわけだ。
さっきから爆音とかが聞こえてはいるんだがな。
アザゼルはそんな爆音を気にせずに懐から一枚の図面を床に広げる。
「くすねてきた城の見取り図だ。これを見ろ。城の地下深くに広大な空間が存在する。階層は四つ。ツェペシュ派は大事な儀式を一番下の階層でおこなっていたそうだ。聖杯の取り出しもおそらく……」
「そんで、そこに
俺の言葉にアザゼルは頷く。
「クーデターに関与している上役やその近衛兵たちもここにいるだろう。んで、俺たちの目的地もこことなる」
アザゼルが見取り図の最下層にあたる場所を指差しながら言った。そして木場が見取り図に印をつけていく。
「この二日間で城に待機している兵士の活動範囲はだいたい把握しました。"いちおう"、地下まで、できるだけ兵士と遭遇しないルートは用意できそうです。"いちおう"というのはこの非常事態で配置が変わっていると思うからです」
本来俺がやるべきことを木場にやらせてしまったが、流石は木場だ。
木場が不敵に笑みながら続けた。
「どちらにしても、地下で必然的に強敵と遭遇するのは僕たちということですね」
そういうことだな。いつもこんなんだから慣れてるけどさ。
イッセーも同じことを思ったのか頭をポリポリかいていた。
「俺たち、こういうのばかりですね」
「そう言うなよイッセー。そのおかげで著しい成長を遂げてるわけなんだし」
「そ、それもそうですけど……」
俺とイッセーのやり取りがそこで終わったのを確認してアザゼルが告げる。
「今回の目的は聖杯の抜き出しを阻止すること。最悪の場合はマリウスを捕縛する。マリウス以外は……できるだけ生き残らせろ。テロリストどもは問答無用で始末していい。それは俺が許す。危なくなったら、ヴァレリーと聖杯だけでも取り戻して逃げの一手だ」
もとよりそのつもりだ。イッセーから聞いたあの黒ずくめの男の正体……
そんなやつを相手にするほどの余裕も戦力もない。
「ぼ、僕はヴァレリーを取り戻します!」
ギャスパーが立ち上がり、気合いの一声。
それに全員がいい笑顔となった。
『もちろん!』
異口同音で意見が一致した。さてやることは決まった。
全員が立ち上がり客室を勢いよく飛び出した。
今回は短いですが、きりがいいのでここまでにします。
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