グレモリー家の次男   作:EGO

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本日二話目、どうぞ


life08 いやになってくるぜ

グオオオオオオオオ!

この空間を震わせる程の咆哮を放ったのは、浅黒い鱗をした二足歩行のドラゴンだった。太い手足、鋭い爪と牙と角、そして大きな翼と尾を持ったこれぞドラゴンと言った感じの見た目だ。

「………伝説のドラゴン、大罪の暴龍(クライム・フォース・ドラゴン)グレンデル」

ローブの男はそう呟くとグレンデルも口を開く。

『グハハハハ。久しぶりに龍門(ドラゴン・ゲート)なんてものを潜ったぞ!さーて俺の相手はどいつだ?いるんだろう?俺好みのくそ強ぇ野郎がよ!』

グレンデルの登場に絶句しているイッセーたち。

「グレンデルはとっくの昔に滅ぼされたはずだ!」

俺が叫ぶと匙の影から人間サイズの黒い蛇、ヴリトラが出てきた。

『ああ、初代ベオウルフによって完膚なきまでに滅ぼされたはずだ』

ヴリトラもそう言ってくれるが現にそいつは目の前にいる。

するとグレンデルがヴリトラとイッセーに視線を配らせる。

『こいつはまたおもしれぇ。天龍の赤い方とヴリトラか!なんだその格好は?』

興味深そうに銀の瞳を細めていた。

「二天龍はすでに滅ぼされ、神器(セイクリッド・ギア)に封印されていますよ」

ローブの男の言葉にグレンデルは哄笑をあげた。

『グハハハハ!んだよ、おめぇらもやられたのかよ!ざまぁねぇな!なーにが、天龍だ!滅びやがってよ!だが、目覚めにはいい相手だ!』

グレンデルはそう言うと翼を広げ姿勢を低くした。

「やるしかないな。お前ら構えろ!」

「で、でもシドウさん。伝説のドラゴンと戦うの初めてです!」

「私もだ。ロキ戦でもどきやフェンリルの子供たちとはやったが……こいつは龍王クラスかそれ以上だ!」

「それでもやるしかないだろ。イッセー!鎧纏え!」

「そうしたいんですけど丁度ドライグが寝てる時間なんです!」

「なに?」

参ったな、丁度か………

現在ドライグはイッセーの復活のために力を使いすぎてしまい、眠ってしまう時間が多くなっているのだ。そして今が丁度その眠っている時間というわけだ。

「それは困りました。本題の一つがあなたとグレンデルの戦いてましたから」

フードの男がそう言ってくるがこっちとしてもイッセーが戦えないのはキツいな。

「イッセー、ドライグに声をかけてみてくれ」

「はい。ドライグ、ドライグ?ちょっとヤバそうだから起きてくれ。おい、ドライグ!頼むよ!」

しばらくイッセーの様子を見ていると

「ドライグ?おい、どうした?」

お!反応ありかな?

俺が期待して待っていると宝玉から声が聞こえてきた。

『………お兄ちゃんは誰?』

………今なんて言った?イッセーに向かって誰だと

「ド、ドライグさん?」

イッセーも困惑しながら再度問いかける。

『うん、僕はドライグ。ドラゴンの子供なの』

「「………………………」」

それを聞いて俺とイッセーは固まってしまった。

どうしてこうなった!?いや待てよ……

「もしかしたら……」

「何かわかりますか?シドウさん!」

イッセーが俺に訊いてくる。

「あくまで俺の予想だが、前からドライグはイッセーのおっぱい関連のことで精神的にまいってたろ。プラスでお前の復活のために力を使ってしまった。そのせいでドライグが軽く壊れたのかもしれん」

「ちょ!シドウさん!?壊れたとか言わないでくださいよ!」

「……単にイッセー先輩のおっぱい関連のもので疲れきって壊れてしまったのでは」

小猫も俺に続いて言う。その発言とともにドライグが震えた声音になった。

『おっぱい……こわいよ……』

「ほれ見ろ、怖いって言ってるぞ」

「そ、そんな!?ドライグくん!おっぱいは怖くない!おっぱいはいいものだ!」

イッセーがドライグを落ち着かせようと頑張っているが余計にドライグの声は余計に震えだした。

『ずむずむいやーんって、心の奥にまでずーっと残ってるの……』

これは駄目だ。とりあえずドラゴンのことはドラゴンにだな。

「ヴリトラ、どうにかならないか?」

俺が訊くとヴリトラは答えた。

『もう一体、龍王がいればどうにかできるやもしれん』

「………龍王がもう一体か」

『おい!俺はまだ戦えないのか?というよりドライグの野郎どうなってやがる?』

グレンデルが何か言ってきたので先に言っておこう。

「グレンデル!」

『何だ!お前がやるのか?』

「いや…………作戦タイム!」

『認める!』

そりゃどーも、即答で認めてくれたよあいつ。まぁあいつ的にもドライグと戦いたいんだろう。

俺は警戒しながら考える。

もう一体龍王が必要か……だったら頼らしてもらおう。

俺は考えがまとまるとアーシアに視線を送る。

「アーシア、例のあれ行けるか?」

「はい!お任せください!」

俺の質問に自信満々に答えてくれるアーシア。なら大丈夫だろう。

「シドウ様、あれをやらせるのですね」

「ああ、ソーナ。その通りだ」

俺たちが話を進めていくなかでイッセーはわかってない感じだが、アーシアはそんなイッセーをよそに呪文を唱え始めた。すると彼女の前方に金色の魔方陣が出現した。

「我が呼び声に応えたまえ、黄金の王よ。地を這い、我が褒美を受けよ」

アーシアの呪文を受けて、魔方陣の光が強くなった。すると再び龍門(ドラゴン・ゲート)が展開される。この金色の光、忘れるはずがない!

「お出でください!黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)!ファーブニルさん!」

アーシアが呪文を唱え終えると黄金の魔方陣から、金色の鱗を持つ、四足歩行のドラゴンが出てくる。翼がないぶんグレンデルより小さく見えるが、実際はグレンデルと同じぐらいの大きさだ。

アーシアが呼び出したドラゴン、五大龍王の一角ファーブニル。前まではアザゼルが契約して人工神器(セイクリッド・ギア)にしてたやつだ。あの金色の光を忘れないのはそのためだ。

イッセーが驚いているので解説するかね。

「イッセー、アザゼルはもう前線を引いた身だ。それに伴ってファーブニルとの契約も解除した。ただ、そのまま返すのも何だからってことでアーシアとの契約を促したってわけだ」

「な、なるほど」

「俺はその契約にあんまり関わってなかったら心配してたが、先日契約成功と言われて安心したもんだよ。オーフィスの加護を受けられたのも納得だ」

「………オーフィスの加護ですか?ああ!先生が別れ際に言ってた!」

「そう、それそれ。アザゼル曰くオーフィスが無自覚にやっていたらしい。そのおかげで運勢とかドラゴンとの相性が底上げされていたとのことだ。ちなみにイリナも加護を受けてるぞ」

「この間もショッピングセンターのくじ引きで二等が当たったわ!」

イリナはそういいながら右手でサムズアップをしてくるが二等ってまた微妙な……

「ちなみにイッセーお前は加護ってよりも憑かれてるに近い。どんな神でも祓いけれない業を背負ったな……」

俺の一言でイッセーはなんか複雑な表情になってしまった。

「そういえばアーシア、契約したってことは対価が必要だったんじゃないか?俺は詳しくは知らないが一体何を?」

「そ、そうなんですか!?アーシア、一体何を対価に?」

リアスに訊いてもはぐらかされ、アザゼルからは"本人に聞け"って返されたわけで俺は詳しく知らないのだ。

というわけで聞いてみたわけだがアーシアは恥ずかしさ全開の表情になってしまった。それでもアーシアは口を開く。

「………ツです」

「「?」」

俺もイッセーもしっかり聞き取れなかった。もう一度訊く。

「すまん、アーシア。今なんて?」

するとアーシアが顔を真っ赤にしながら叫んだ。

「パンツです!」

「「……………はぁぁぁぁ!?」」

俺とイッセーは同時に声を出した。パ、パンツだと!?

よく見たらファーブニルの角に何か布がくるまっている!それをさらによく見ると………パンツだ。女物のパンツだ……

俺とイッセーがまた固まっているとファーブニルが口を開いた。

『お宝、おパンティー、いただきました。俺様、おパンティー、うれしい』

……………駄目だこりゃ。どうしてこう強いやつは変なのが多いんだよ!

「アザゼルは確か貴重な道具とかだったよな!?なのに何でパンツなんだよ!」

俺がファーブニルに訊くが彼は無視してアーシアに視線を向けている。

そんなアーシアは恥ずかしさに耐えながら訊く。

「ファーブニルさん!ドライグさんの精神が弱まっているんです!どうにか助けてあげることはできないんですか!?」

『………できるよ』

とりあえず仕事はしてくれるんだな!なら助かる!

「本当ですか!?お願いします!ドライグさんを元に戻してください!」

『お宝、ちょーだい』

デスヨネー。まぁこんなこったろうとは思ったけどさ!

「わ、わかりました。対価ですね………」

アーシアは恥ずかしさに耐えながらポシェットから水色のパンツを取り出した。

何か目を背けたくなってきたよ!こんなことになるなら他の龍王クラスに頼めばよかったんじゃないか!?

俺がそんな事を考えているとゼノヴィアとイリナが叫ぶ!

「あれはアーシアのお気に入りのものだぞ!」

「アーシアさん、まさかそれを!?」

アーシアのお気に入りなのね。

「やめろ、アーシア!アーシアがそこまでする必要は……。おい!龍王!何でおパンティーが欲しいんだよ!?」

イッセーが問うがファーブニルは顔色ひとつ変えずに言い放つ。

『おパンティー、お宝』

「だぁぁぁ!わからねぇ!おいヴリトラ!こいつを説得してくれ!」

俺がヴリトラに頼むがその返答は

『知らん』

その一言だけだった!すると今度はゼノヴィアが叫ぶ!

「待て!だったら私のを!」

そんなゼノヴィアをイリナが止める。

「ゼノヴィア忘れたの!その戦闘服って下にパンツ穿いてなしじゃないの!」

「だったら私の戦闘服じゃ不服か!?」

教会トリオの友情が凄まじい!いわゆる自己犠牲の精神ってやつなのか!?

『俺様、金髪美少女のおパンティーがいい。パンツシスターのお宝欲しい』

「「誰がパンツシスターだ!!」」

俺とイッセーは同時にファーブニルの頭を叩いた。全く動じないけどな!

するとグレンデルが口を開く。

『おい!まだなのか?』

「もう少しだから待っててくれ!今大事なとこなんだ!」

『お、おう』

俺が一歩前に出てグレンデルに一言言った瞬間。俺は風を感じた。

何もない空間に風?何でだ?

俺が疑問を感じながら振り向くと

『くんかくんか』

ファーブニルがアーシアのパンツのニオイを嗅いでいた!

「「なにやってんだ!テメェェェェ!」」

再び俺とイッセーは同時にファーブニルの頭を叩く!

くそ!さっきから叫びまくりだよ!

「もう、お嫁に行けません!」

アーシアは恥ずかしさで顔を両手で覆い叫んでいた。

『おパンティー、いただきました。ドライグ治れ!』

ファーブニルはそう言うと黄金のオーラをイッセーの籠手に放った。

『くっ!何て様だ!』

ヴリトラも文句を言いつつも黒いオーラをイッセーの籠手に放った。

その光が籠手に送りきられると籠手の宝玉から赤い光が発せられた。

『…………は!お、俺は一体何を!?あ、相棒じゃないか!』

よ、ようやくか~、なんか疲れた……

「とにかく行くぞ!」

「はい!その前にアーシア!」

「は、はい!?」

「嫁にいけないなんてないから安心しろ!俺がきちんと責任持つからな!」

「よろしくお願いします!!」

イッセーの一言にアーシアは嗚咽を漏らしていた。

『くんかくんか』

まだやってんのかよあいつは!

「「いつまでやってんだ!変態龍王が!」」

俺とイッセーがまた同時にツッコミをいれる。

「とにかく禁手化(バランス・ブレイク)!」

イッセーの叫びに応じるように赤いオーラが鎧となりイッセーを包み込んだ!

『よくやくかよ!ドライグさんよぉぉぉ!』

グレンデルの声にドライグは驚きの声を出した。

『グレンデル!?どうなっている?どうやって甦った!?』

『別にどうでもいいだろそんな事はよぉ。ぶっ殺しあおうぜぇぇぇ!』

グレンデルはそう言うと再び姿勢を低くして構える。

『相棒、やるなら徹底的にやれ。微塵も情けをかけるなよ』

あのドライグがそこまで言うのか……流石邪龍と呼ばれるだけはあるな。

『言うじゃねぇかよ!おい、お前ら。ここまで待たされたんだ、ドライグと一対一でやらせろ』

グレンデルの一言にイッセーは

「俺に任せてください!」

自信満々の声で返してくれた。

「いいぜ、好きにやれ。だが何かあったら問答無用で助けるからな」

「リアスの代わりに言ってもいいでしょうか?………おやりなさい、イッセーくん!」

俺とソーナの一言を聞いてイッセーはグレンデルに突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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