life01 契約と新たな問題だぜ
魔獣騒動からしばらく経ったある日の放課後、俺は職員会議を終えていつも通り部室に来ていた。
全員が集合したことを確認してリアスが話始める。
「今日集まってもらったのは他でもないの。今日から魔法使いとの契約期間に入っていくわ」
魔法使いとの契約か、古来より魔法使いと悪魔は深い関係がある。その関係ってのが
「魔法使いが悪魔と契約する理由は大きく三つ。一つ目は用心棒として、二つ目は悪魔の技術、知識を得るため、最後は己のステータスにするためよ。魔法使いと契約することは上級悪魔及びその眷属の義務の一つになっているわ」
軽く解説しておくと、一つ目は有事の際の抑止力がほしいから。二つ目は悪魔経由でアイテムが欲しいから。三つ目はリアスが言った通りだ。
「まさか、魔法使いに呼び出される側になるとは、人生とはおもしろいものだ」
ゼノヴィアが複雑そうな顔で言っていた。
ゼノヴィアは教会側の人間だったからな仕方ないことだろ。
「まぁ、異能に携わる人間なら普通は呼び寄せる側だ。そんで呼び出される側は悪魔とか魔物だろうからな。だから契約は大事にしとけよ。一回やっちまうと簡単には反故にはできん。契約したらしたできちんと仕事しろ。だからって変な奴と契約したら評判に関わるからな相手はしっかり選べ。悪魔的にはビズネスだ。普通の契約と魔法使いとの契約、しっかり両立してこそ一人前だ」
『はい!』
俺が言ったことに皆が返事をしたところでリアスが時計を確認していた。
「そろそろ時間ね。魔法使いの協会のトップが連絡をくださるの。きちんとしていてね」
俺も念のために服装を正してっと。
その瞬間部室の床に魔法陣が出現する。
「メフィスト・フェレスの紋様」
木場がそう言うが正解だ。
メフィスト・フェレス、英雄派のゲオルグの先祖が契約した悪魔。
俺がそんな事を思い出していると、魔方陣が椅子に優雅に座った中年男性を映し出す。
赤色と青色が入り乱れた頭髪に、右目が赤、左目が青のオッドアイの強面の男性。その男性はニッコリと笑った。
『リアスちゃん、シドウくんも。久しいねぇ』
相変わらずの軽い声音だ。イッセーたちも意外そうな顔をしている。
リアスが先に挨拶におうじる。
「お久しぶりです、メフィスト・フェレス様」
『いやー、お母さんに似て美しくなるねぇ』
「ありがとうございます」
次は俺だな。
「お久しぶりです。メフィスト様」
『うん、シドウくんも久しぶり、契約のために連絡したら任務でいないって返されたときは驚いたけど無事に契約出来たみたいで安心したよ』
「あの時はお世話になりました」
俺の挨拶もすんだところでリアスが紹介を始める。
「こちらの方が
『どうも、メフィスト・フェレスです。詳しくは関連書物でご確認ください』
メタいなこのヒトはまったく。
「因みにイッセー。メフィスト様はタイニーンの
「ほ、本当ですか!」
『そうだよー。タイニーンくんには
するとレイヴェル嬢がイッセーに何かを耳打ちしていた。
『そうそう、その通りだよ。僕は昔の魔王たちがだいっ嫌いだったからねぇ。今の魔王の皆は大好きさ。僕のやってることを容認してくれるからね。アジュカくんとは思想の違いがあるけど嫌いってわけでもない』
じゃなきゃこんなこと出来ないと思うんだがな。
「ところでメフィスト様。ソーナたちとはお話しましたか?」
『残念ながら後になってしまったよ。なんでも新しい眷属を迎えてからお話をしたいっ言われたからね。キミたちが先になったんだ。サイラオーグくんとシーグヴァイラちゃんとは話したけどね』
「ソーナに新しい眷属か。話は聞いてます」
ソーナの眷属に新しく
『それにしてもキミたち
リアス、ソーナ、サイラオーグ、シーグヴァイラの若手四人がそんな風に呼ばれてるらしいな。
俺がそんな事を考えているとアザゼルが部室に入ってきた。
「わりぃわりぃ、俺だけ会議が長引いてな。お、メフィストじゃねぇかよ!」
魔方陣の映像を見てすぐさま笑顔になるアザゼル。メフィスト様はそれに手をあげて答えていた。
『やーやーアザゼル。久しぶりだねぇ。先に話をさせてもらっていたよ』
「そっちも大変そうだな。今度飲まないか?いいのが手に入ったんだ」
「お知り合いですか?」
仲良さそうに話している二人にイッセーが訊く。
「まぁな、長い付き合いだ。昔グリゴリが独自に接触させてもらった」
『グリゴリの情報網は役に立ったよ。今でもお世話になってるしね』
「お互い様さ、メフィスト。グリゴリ的にも魔法使いの協会とのパイプを持っていて損はなかったわけだしな」
アザゼルとメフィスト様はそこから二人で話し込んでしまった。
その後話が一段落したのかようやく本題に入ることになった。
『長くなってしまって悪かったね。それでは魔法使いの詳細データを送るよ』
メフィスト様がそう言ったので俺は後ろに下がる。
そんな俺を見てイッセーが訊いてくる。
「シドウさん、何で下がるんですか?」
「すぐにわかるよ」
俺が言った瞬間宙に魔方陣が展開されそこから書類が大量に降ってくる。
「な!?」
「だから下がったんだよ」
それを皆で集め仕分けしていくわけだ。俺の時は急だったことそして俺一人だったってこともあってそこまで多くなかったんだが今回はリアスの眷属全員分だから余計に多い。
イッセーは作業しながら書面を凝視していた。
「イッセー、今じゃこれが主流だ。まずは書類選考だ。しっかり選べよ」
「は、はい!」
その後無事に仕分けを終えた。
一番多かったのがリアス。二番目がロスヴァイセ。三番目はアーシア。そこからは、イッセー、木場、朱乃、ゼノヴィア、小猫、ギャスパー、の順だった。
「まぁこうなるわな。リアスは
「リッパーの言うとおりだ。この大半は雑兵もいいところだろ」
アザゼルが散々なことを言っているが
『アザゼルの言うとおりさ。大半は雑兵だよ』
メフィスト様もそう言うってことはそうなんだろうな。
『赤龍帝くんの指名率が思いの外伸びなかったねぇ。とは言っても多いほうだけどさ』
「魔法使いの連中はステータスも重視するが、体裁をそれ以上に気にするからな。イッセーは俗すぎると判断したのかもな」
アザゼルが言ったことにイッセーは何か言いたげだったが我慢していた。
どうせ、おっぱいドラゴンが流行る冥界がおかしい。とか思ったんだろ。
『そんなわけで今回のはそれで全部だよ。めぼしい子がいたら連絡してくれるとありがたいねぇ』
メフィスト様の発言にイッセーは疑問符を浮かべていた。
「今回ってことはまたあるんですか?」
イッセーの質問にリアスが答える。
「それはそうよ。今回で決まるとは限らないし、契約しても魔法使いは悪魔のように長生きではないのよ。今回のでいい相手がいなければまた書類を送ってもらえばいいのよ。契約相手が亡くなったらまた新規契約することになるわ」
俺はそこに追加情報をおくる。
「期間限定の契約もあるし、途中で解約ってこともあったりする」
それを聞いてまた何か考えて始めるイッセー。するとメフィスト様がレイヴェル嬢に話しかける。
『そこの子はフェニックス家の者かな?』
「は、はい。レイヴェル・フェニックスと申しますわ」
丁寧に挨拶をするレイヴェル嬢。
それを確認したメフィスト様はあごに手でさすりながら言い始める。
『これは極秘の情報なのだけれどね。どうにも"はぐれ魔法使い"が
イヤな予感しかないな。面倒事は勘弁してもほしいぜ。
「ですがメフィスト様、フェニックスの涙の流出はもう無くなったはずでは」
『いや、闇のマーケットでフェニックス産ではない涙が流れているんだよ』
『ッ!?』
それを聞いて全員が驚いているとメフィスト様が小瓶を取り出す。
『これだよ。どうやっているかはわからないけど事実フェニックス関係者に何かしら接触している。それでそこのお嬢さんも狙われているかもしれないから、気をつけてくれ』
それを聞いたレイヴェル嬢は表情を陰らせていた。
「俺もグリゴリでどうなっているか調べさせる。なーに心配すんな。お前には王子さまがいるからな。それに結界もある。大丈夫だよ」
アザゼルがイッセーの肩を叩きながら言う。だが
「最近
俺の発言でまた重い空気になってしまった。
あれ?言うタイミング間違えたか?
するとメフィスト様が一度咳払いをして話始める。
『話がそれてしまったね。ということでうちの魔法使いをよろしく頼むよ。それじゃ良い契約をー』
そう言うと魔方陣が消え話が終わった。
とりあえず、フェニックスの件には警戒しておこう。
契約のは相談ぐらいになら持って乗ってやるかな。
今日はここで解散となったのだった。
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