グレモリー家の次男   作:EGO

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life12 脱出だぜ

あれからも俺とプルートは戦っていたんだが、その後も続いたイッセーの砲撃でそれどころじゃなくなってきてしまった。

するとプルートが俺から距離を取りジークフリートたちの方に着地する。それを確認して俺もイッセーたちの方に着地する。

それと同時に気付いたことがある。

リアスの胸が小さくなっている!

いや、今までそこを気にしたことは無かったんだがここまで小さくなるとなぁ。まるで小猫みたいだ。

ゴンッ!

後衛のいるところから何か飛んできたんだが……避けたけどさ!

「とりあえず、ゲオルグ、ジークフリート、チェックメイトだな」

俺はそう言いながらブレードを奴らに向ける。

「…………バカげた攻撃力だな。赤龍帝」

そう言いながら肩で息をするゲオルグ。

例の装置はまだ健在なのはありったけを防御に費やしたからだろう。

このまま押していけば勝てるか。

さすがのジークフリートも少し焦りの表情になってきていた。それを確認したその時

バチッ!バチッ!

この空間に聞き覚えのある音が響いた。空間に穴が空くときに聞くこの音、上を見ると空間に穴が空き始めていた。まさか増援か!状況的に来ても向こう側だろうが今来るのか!?

そう思ってジークフリートたちの方を見るがあちらも予想外の出来事なのか怪しんでその穴を見ていた。

そして穴から軽鎧(ライト・アーマー)にマントという出で立ちの男が出てきた。

あいつは!あの顔は顔は忘れるはずがねぇ!

その男は俺たちとジークフリートの間に降り立つ。

「久しいな、赤龍帝、ヴァーリ。そして"ジャック"いやシドウ・グレモリー!!」

横にいたイッセー、後衛のヴァーリと睨んで、その後にすごい殺気のこもった目で俺を睨んできた。

「シャルバか……久しぶりだな」

俺も憎々しげに言うが二度と会いたくなかったよまったくよ。生きてたのかよまったく。

するとジークフリートが前に出る。

「シャルバ、報告は受けていたけど、本当に独断で動いているとはね」

「貴公らには世話になった。礼を言おう。おかげで傷も癒えた。"蛇"を失い、多少パワーダウンしてしまったがな」

「それで、ここに来た理由は?」

「なーに、宣戦布告をと思ってね」

シャルバが言うと醜悪な笑みを浮かべてマントを翻すと……そこに一人の少年が出てきた。見た感じだと、操られている感じだな。

その少年を見てジークフリートとゲオルグが驚愕していた。

「レオナルド!」

「シャルバ、その子をなぜここに?いや、なぜ貴様と一緒にいるのだ!?連れ出してきたのか!?」

レオナルドって誰だっけな?確か魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)の持ち主だったか?

俺が思い出そうと必死の中でシャルバは大胆不敵に言い放った。

「少し協力してもらおうと思ったのだよ。………こんな風にね!」

ブゥゥゥン!

シャルバが手元に小型魔方陣を展開させ、レオナルドとか言う少年に近づける。魔方陣の悪魔文字が高速で動き始める。途端にレオナルドが叫んだ!

「うわぁぁぁぁぁあああああ!」

絶叫しながら苦悶の表情を浮かべる!

それと同時にフィールド全体を包むほどの影が広がり始める。

あの野郎!何する気だ!

空中に浮き始めたシャルバが哄笑をあげる。

「ふはははは!魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)とはとても素晴らしい!しかも彼はアンチモンスターを作るのに特化していると言うではないか!英雄派の行動を調べあげ彼を拉致してきたのだよ!抵抗してきた奴らは殺してしまったがね!それでは作ってもらおうか!現悪魔どもを滅ぼせるだけの怪物を!」

ズオォォォォォ………

影から何かが生まれてくる。影を大きく波立たせて巨大なものが頭部から姿を現していく!

デカイ頭、デカイ胴体、太い腕、それを支える圧倒的な脚!

少年の影から生まれてきたもの………それは

『ゴガァァァアアア!』

鼓膜が破れそうなほどの咆哮を上げる超巨大なモンスターだった!

デカイ……何もかもがデカすぎるだろこれは!

あの少年が百メートル以上のデカさのモンスターを何体も生みだしたのか!

するとそのモンスターたちの足元に巨大な転移魔方陣が出現した!

シャルバはそれを見て哄笑しながら叫んだ!

「ふはははは!今からこの魔獣たちを冥界に転移させて、暴れてもらう予定なのだよ!」

魔方陣が輝き、そのモンスターどもが転移の光に包まれていく!

このままだと、ヤバイ!

「「とめろぉぉぉ!」」

俺とアザぜルの指示で全員が攻撃していくが効果無しか!

俺がブレードを大剣に変え魔力を込めていこうとした瞬間

ドォォォォン!

俺を魔力弾が襲った!

それはどうにか避けたがその後も魔力弾が飛んでくる!リアスたちに攻撃がいかないように離れ魔力弾を打ち出してくる奴を睨む!

「ジャックゥゥゥゥ!貴様がいなければぁぁぁ!」

「くそ!シャルバテメェ!」

俺はそのままシャルバと戦闘をしていくがその間にモンスターの転位が済んでしまった!

それを確認すると今度はオーフィスの方に手を向ける。するとオーフィスの体に悪魔文字を表した螺旋状の魔力が浮かび、オーフィスを縄のように縛る。シャルバはそのオーフィスに近づいていく。

オーフィスも狙いなのか!

「情報通りだ!今のオーフィスなら私でも捕らえられると!パワーダウンした私に再び"蛇"を与えてもらおうか!」

「やらせるかよ!」

俺は奴を追うが、シャルバは言い放った!

「これは呪いだ!私自身が毒となって冥界を覆い尽くしてやる!私を拒絶したものなどに用はない!このシャルバ・ベルゼブブ、最後の力を持って、魔獣たちと共にこの冥界を滅ぼす!」

狂ってやがるなこいつ!

シャルバはイッセーに指を突きつけてきた!

「貴殿が大切にしている冥界の子供も我が呪いで全滅だよ、赤龍帝!苦しめ!もがけ!ふはははは!傑作だな!階級関係なく平等に死んでいく!これがお前たちの宣う"差別のない冥界"なのだろう?ふはははは!」

なんて野郎だよ!復讐に憑かれてやがるな!

するとフィールドの崩壊が進んでいた!

あれ!?いつの間に崩壊し始めてたの!?

そんな事を考えていると黒歌が叫ぶ!

「もう限界にゃん!今なら転移も可能だろうから、ここからおさらばするよ!

それを聞いて素早く黒歌の元に集合するが

「ふはははは!」

シャルバはまだ笑っていた。ソシテオーフィスも捕らえられている。

どうにかしたいが今は!あの魔獣どもをどうにかしないといけない!てか次元の狭間じゃ活動できん!くそ!

「俺、オーフィスを救います。ついでにシャルバもぶっ倒します」

イッセーが笑顔で告げてくる。

「だったら僕も!」

「私も戦いますわ!」

木場と朱乃がそう言うがイッセーは首を横に振る。

「いや、俺だけで十分だ。皆はあの魔獣どものことを伝えてくれ。この鎧があれば次元の狭間でも活動できるはずだ。今シャルバを見逃すことも、オーフィスを誰かに手渡すわけにもいきません」

イッセー……お前は本当にお人好しだよ。

「もう限界にゃん!今転移しないとチャンスはないわ!」

黒歌がそう叫ぶ!

「イッセー!」

アザぜルが話しかける。ヴァーリも何か手伝おうとしているがアザぜルの肩を貸してもらっているあたり限界なのだろう。

「後で龍門(ドラゴン・ゲート)を開き、お前とオーフィスを召喚するつもりだ!それでいいんだな?」

アザぜルの言葉にイッセーは頷く。

「イッセー!」

そしてリアスも話しかける。

「必ず私のところに戻ってきなさい」

「ええ、必ず戻ります!」

それを告げてイッセーは飛び出していった。それどころじゃ同時に俺たちを転移の光に包まれた。

イッセー………死ぬなよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから無事転移は成功、先程俺は兄さんたちに今の状況を伝えた。

そして今はアザぜルがイッセーたちの召喚の準備を始めているところだ。タイニーンに協力を仰ぎ中級悪魔の昇格試験センターの転移魔方陣を借りて龍門(ドラゴン・ゲート)の魔方陣を展開させていく。

あの魔獣たちは現在進行形で進撃してきている。

同盟関係の勢力から救援部隊が派遣されているようだ。だが神クラスの方々は動けない。

曹操が、聖槍が邪魔すぎる!あのとき刺し違え覚悟で殺ればよかったのか?いや、過ぎたことは考えてもしかたねぇ……今は!

「よし、繋がった!」

アザぜルが叫んだ!魔方陣が輝きその閃光がフロア全体を包みこんでいく。

強烈な光を手で遮り、止むのを待った。そして光が止んだ瞬間出現したのは……………紅い八つの兵士(ポーン)の駒だけだった。

「……………バカ野郎が」

それを見て俺は壁を殴った。

ガン!

乾いた音がフロアに響いた。

それに続くように誰かの嗚咽が聞こえてくる。

駒だけが帰ってくる。これはつまりその駒を使われた者の"死"を意味する。

つまり俺たちはイッセーを失った………

 

 

 

 

 

 

 

 




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