俺はナイフを逆手に構え、曹操に突っ込む。
それを曹操はまた嬉々として受け入れてくる。
俺が右手のナイフを振れば奴は槍で防ぎ、奴が左から槍で凪ぎ払うように振ってくれば俺が左手のナイフで防ぐ。
そのまま斬り合いになるが前回よりも格段に速くなっている。それだけでも俺を焦らせてくるが、今は落ち着いていかないと負ける!
俺はそう思うと一旦距離を取る。
「いや~いいね♪貴方に弱点があれば火力の無さでしょうか。鎧装着型のようにオーラが迸ることがないので反応がしにくい。だからこそ楽しい!」
「ああ、そうかい!」
俺は再び突っ込んでいくが
「
曹操が呟いくと足下に球体が移動しそのまま曹操ごと宙に飛び出した!
あれが飛行能力ってやつか!
急に飛ばれたため俺は曹操の下をとうりすぎるが、悪魔の翼を展開して曹操を追う!
今度は空中で攻防を繰り広げていくがお互い攻めきれずにいた。再び距離をとるが曹操はまだ余裕そうだ。
遠距離に切り替えたいが受け流されても困るし、まず防がれて終わりだな。
俺はそう判断しナイフを構え曹操に向かうが
「
曹操が球体を前方に移動させるとそれが弾けて人型の何かが複数発生した。これが分身とかいうやつか!
俺はそれを斬りながら突き進むが、そのせいで速度が落ちてしまう。そんな事お構いなし全てを斬り捨てたが肝心の曹操がいない!
その瞬間俺はその場を飛び退いた!するとそこに聖槍のオーラが飛んでくる!
あぶねぇー、曹操は……あそこか。
俺から少し離れたところに曹操がいた。その近くには球体がある。あれで転移でもしたんだろう。……多分
さて、どうするかね。
俺が考えていた瞬間、木場が曹操に向かう!……が曹操に難なく受け止められる。
「あなたは強すぎる!しかし、一太刀入れたいのが剣士としての心情だ!」
「いい剣だ。将来ジークフリートにも届くだろう。相性だけで言えば、リッパーとキミが無難に俺と戦えるだろう。だが成長途中の今のキミでは俺には勝てないさ」
曹操が言うと聖槍を凪ぎ払い、それを木場が避ける。聖魔剣を聖剣に変え、騎士団を出現させる。
「新しい
曹操はそれを球体を縦横無尽に動かして迎え撃つ。まるで兄さんの滅びの球体みたいだな!
俺はその騎士団に紛れて曹操に仕掛ける!
キィィン!
俺のナイフと曹操の槍がぶつかり激しい金属音がロビーに響き渡る。
そこで再び攻防を繰り広げていくが、結果は変わらないか!
俺がそう思うと曹操が構えを変えて攻撃してきた!
槍のリーチを活かすように突きを中心とした攻撃をしてくる。
なるほどな、俺はナイフでないと攻撃を受けれない!そのナイフのリーチだと攻撃に移れない!
そのまま防戦一方になってしまうが、俺は右手のナイフで槍を受け止め、左手のナイフを大剣に変え片手で強引に振る!
曹操は一瞬驚いた顔になっていたが、素早く槍を戻し大剣を砕いた。
だが、計算どうりだ!
俺はその隙に空いた左手にナイフを構え直し一気に距離を詰め攻勢に出る!
三回目の攻防、このままじゃ埒があかねぇな!
俺は一旦距離を取り、ブレードを"サマエルに"飛ばしていく!
例の球体でこちらに受け流されるが、そのブレードを曹操のほうに弾き飛ばし、同時にブレードを展開し曹操に向けて飛ばす!
それを曹操は防いでいくが、再びブレードをサマエルに飛ばし、同時に曹操にもブレードを飛ばしていく!
少しだが球体の動きが遅くなったな、今なら!
ブレードは返って来るが再び曹操のほうに弾き返していく。その瞬間にサマエルを全方位囲いこむようにブレードを展開する。
「しまっ!」
「この数は受け流せるか?」
ドオォォン!
サマエルにブレードは直撃し爆発した!
これならどうよ!
「チッ!ゲオルグ!サマエルは!」
「今のは堪えたな。時間が余計に短くなった!」
「どのくらい取れた!」
「四分の三には届かないがそのぐらいだ!」
「………ならいい」
もう少し早くやればよかったよ!だが、今はまだ!
再び曹操に向かい突撃していく!今度は不規則に動いて背後から行くぜ!
それに曹操は槍を背後に回し防ぎ、そのまま上に向かう。
「逃がすかよ!」
俺はそのまま曹操を追いかけていき、ナイフを振ろうとした瞬間
「
曹操はカウンター気味に槍で球体を撃ち出してくる!
ヤバイ!近すぎる!
俺は咄嗟にナイフを盾に変えありったけの魔力を込めるが
ドン!
凄まじい衝撃が俺を襲った!
盾でどうにか防げたがその勢いでロビーの床に叩きつけられる!
「ごはっ!」
その衝撃だけで血を吐いちまった。あれが威力重視のやつだったか!
その瞬間、再び木場が騎士団を生み出し曹操に向かわせるが、結果は同じに終わる。
わかってるよ。木場は俺たちを守るためにやってんだろ。
そこで曹操は構えを解いた。
「これ以上やる意味はないな。その
それを聞いた木場は怒りの形相になっていた。
今の言葉は仲間を守るために戦う奴にこれ以上ない屈辱になっただろう。
そこで曹操が指を鳴らす。するとオーフィスを包んでいた塊が消えた。その瞬間にサマエルは魔方陣に沈んでいく。
『オオオオォォォォォ……』
苦悶の声を発しながらサマエルは魔方陣に消えていった。
パッと見ただけではオーフィスに変化はないが何をされたんだ?
するとオーフィスが曹操を見る。
「力、奪われた。これが目的?」
それを聞いて驚く俺たちを曹操は笑いながら見ていた。
「そうだ。オーフィス。あなたが俺たちの思いどうりに動いてはくれないだろう。だから俺たちはあることを思いついた」
曹操は槍の切っ先を天に向けた。
「新しい"ウロボロス"を創りだす」
血を吐きながらアザぜルが言う。
「………そうか!サマエルを使ったのはそのためにオーフィスの力を削るためか!」
「その通りですよ、総督。我々は都合のいいウロボロスが欲しかった。正直グレートレッドなんてどうでも良くなってね。そこで俺たちは"無限を倒せるのか"という英雄派の超常の存在に挑む理念も試すことができた」
「こんな形で無限を消し去るとはな……」
「いや、リッパー。消し去るとはまた違う。やはり、力を集めるにはオーフィスのような存在が必要だ。だが考えが読めない龍神を傀儡にするには不向きだ」
「………人間らしい、実に人間らしい、回りくどい考え方だ」
「お褒めいただき光栄の至りです。堕天使の総督殿。……俺は人間ですよ」
俺とアザぜルの言葉に笑みを見せる曹操。
新しいオーフィスを作るね……物騒だなほんと
ゲオルグが満身創痍の俺たちを見る。
「ヴァーリと兵藤一誠をやるなら今だと思うけど?」
「それもそうだが最近もったいないと思えてなぁ。データとしてはかなり希少な存在だし……」
そこで曹操は輪後光と球体を消失させ、踵を返す。
「やっぱり止めだ。ゲオルグ、オーフィスの力はどこに転送される予定だ?」
「本部の研究施設に流れるようにしてある」
「そうか、俺は先に戻る」
俺はフラフラになりながら立ち上がる。
「曹操、なぜ殺らない?あの力を使えば俺たちを簡単に全滅させられただろ?」
少しでも情報が欲しいのでね。こいつの考えがわかるようになる情報を!
曹操は一旦立ち止まり言った。
「誰も殺さずに御す。という縛りをしていた。では納得出来ないですかね?あれはまだ調整が必要でしてね。データを取りたかったこともあります」
「舐めきってくれるな」
「そうでもないですよ、リッパー。ヴァーリもよくやることです。それに少なくとも貴方は殺そうとしましたから」
そこで曹操はイッセーに指を指す。
「兵藤一誠。何年かかってもいい。俺と戦えるようになってくれ。
イッセーはそれを聞いて戦意をたぎらせていた。
曹操はゲオルグに言う。
「ゲオルグ、
「見ただけだからできるかわからないが、やってみよう」
「流石、伝説の悪魔メフィスト・フェレスと契約した。ゲオルグ・ファウスト博士の子孫だ」
「先祖が偉大すぎてプレッシャーを感じるけども……あとさっき来た情報なのだが」
ゲオルグが紙切れを曹操に渡し、それを見た曹操も目が細くなっていく。
「恩をこうやってかえすのが"旧魔王"のやり方か。わかってはいたが」
何があったかはよくわからんが旧魔王ってことは面倒なことなんだろうな。
するとゲオルグが何処かに転移した。
「ゲオルグはホテルの外に出た。俺とジークフリートの入れ替え転移の準備をしている」
ルフェイと黒歌がやったあれか……
「ヴァーリチーム、グレモリーチーム。一つゲームといこう。ここにもうすぐハーデスの命令で死神ご一行がオーフィスを回収にやってくる。ジークフリートも参加させよう。キミたちが無事脱出できるかがゲームの肝だ。二天龍には生き残ってほしいが、それを仲間に強制する気はないのでね」
そう言うと曹操も去っていった。
………ゲームだと?ふざけやがって!
俺たちは敗北を噛み締めながら行動を開始した。
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