サマエルの舌にオーフィスが包み込まれたことを確認したイッセーは叫ぶ。
「おい、オーフィス!返事しろ!」
それにオーフィスの返事は来ない。
これはヤバイな。
そう判断した俺はオーフィスを包み込んだ黒い塊にブレードで斬りかかった。
が、黒い塊は俺のブレードを飲み込み消失させた。
「滅びのブレードを逆に消すとは恐れ入る」
塊がダメだったら舌の方はどうだ!
俺は再び斬りかかったが、結果は同じだ。
『ハーフ・ディメンション!』
ヴァーリが
白龍皇にそんな能力もあったな、そういえば。
だが黒い塊と舌には効果がなかった。
「これならどうだ?」
ヴァーリは効果無しと見ると魔力攻撃に切り替えるがこちらも効いてない。
これは固いとかじゃなくて、攻撃自体が通ってないな。
ゴクンゴクン……
不気味な音を立てて塊に繋がる舌が盛り上がって、サマエルの口元に運ばれていく。見た感じオーフィスから何かを吸いだしているのか?曹操もさっき"喰らえ"なんて言ってたしな。
するとイッセーが
「イッセーストップだ!」
「何でですかシドウさん!オーフィスを助けないと!」
「聞いてなかったのか!それは最強の
「じゃあどうすればいいんですか!」
その瞬間ゼノヴィアが飛び出しデュランダルのオーラをサマエルに飛ばす。
が、曹操に防がれてしまう。
「二度も同じ事をやらせないさ」
チッチッと指を振る曹操。
「タイミングはよかった気がするが……わかりやすすぎるか?」
ゼノヴィアはそう言うが、俺はいいタイミングだったと思うぜ。けど通用するのは一回までだろそういうのは。
そこでヴァーリも
「相手はサマエルと上位
その一言で黒歌とルフェイも戦闘態勢を取っていた。それに続くようにこの場にいる全員が戦闘態勢を取る。アザぜルも擬似
黒い塊と舌には攻撃が効かない、だったら本体をやるしかないが……相手が相手だ簡単にはやらせてくれないだろ。
「レイヴェル嬢、君は下がっててくれ。大事な客分だ、死なせるわけにはいかない」
俺の頼みにレイヴェルは頷き後方に下がってくれた。
その後、改めて戦闘態勢を取ったのを見て曹操は笑っていた。
「このメンバーだと本気でいかなければ危ないな。ハーデスからは一度しかサマエルの許可は貰っていないんだ。ここで決めれないと計画が頓挫する。ゲオルグ!サマエルの制御を頼む。俺がこいつらの相手をする」
ゲオルグはサマエルの制御をしながら言う。
「一人でやれるのか?」
「やってみるよ。できなければこの槍を持つ資格なんてないにも等しい」
そう言った瞬間曹操の聖槍が光を放った。
「
曹操が呟いた瞬間、神々しく輝く輪後光が曹操の背後に現れ、その曹操を囲むようにボウリングの球ほどの大きさの七つの球体が空中に出現した。
静かな
曹操が一歩前に出ると球体も合わせて動く。
「これが俺の
それを聞いてアザぜルが叫ぶ。
「亜種か!その聖槍の
なんだと!?亜種なのかよ!参ったねこりゃ…
するとヴァーリが口を開く。
「気をつけろ。あの
それを聞いてイッセーが困惑ぎみに応える。
「七つ!?二つとか三つじゃなくてか!?」
「ああ、七つだ。と言っても俺も三つしか知らないがな。一応言っておくか、攻撃力重視と浮遊能力、それと分身を作るものだ」
「とりあえずそれがわかれば何となくやれなくはないか。他の四つはわかってからじゃなきゃ何とも言えないが」
ヴァーリの情報に感謝しながら俺が返す。
何もわからないじゃ余計にキツかっただろうからな。
すると曹操が手を前に突き出した。一つの球体が反応し曹操の手の前に移動する。
「七宝が一つ。
曹操が呟いたとき、球体が消えた。
ガシャン!
その瞬間何かが破壊される音がロビーに響いた。
音のしたほうを見るとゼノヴィアが持っていたエクス・デュランダルが破壊されていた。
「……ッ!エクス・デュランダルが!」
いきなりゼノヴィアの武器を壊しやがったのか!あれも伝説の聖剣しかも二本分のものだぞ!
俺含め誰も反応できていないとき、曹操が呟いた。
「まずは一つ。それの持つ能力は武器破壊だ。相当の手練れでなければ逆らえない」
俺たちがその言葉に呆気にとられていた瞬間
「ごふっ」
ゼノヴィアが血を吐いだし倒れこんだ。
「武器破壊ついでに腹を貫いておいた。今のが見えないようでは俺には勝てないよ」
俺たちはその言葉を聞き、散開した。
「アーシア!ゼノヴィアの回復を!速く!」
リアスの指示を聞いてアーシアがハッとしてゼノヴィアに駆け寄った。
その瞬間イッセーと木場が曹操に飛びかかっていく。
くそ!仲間やられたからって焦りすぎだよまったく!
二人の攻撃を軽々とさばいた曹操は再び球体を手元に寄せた。
「
その球体はリアスと朱乃、そして俺のほうに向かっていく。俺は二人のカバーに入るために前に出て球体に攻撃しようとした瞬間
「弾けろ!」
曹操の言葉に反応した球体は輝きを発し、俺たち三人を包み込む。
「くっ!」
「こんかもので!」
「しゃらくせぇ!」
俺たちは攻撃するがおかしい……俺しか攻撃してない。その攻撃も避けられているわけだが、リアスと朱乃は何で攻撃しなかったんだ?振り返ると二人とも自分の手を見ている。二人は手を突き出すが何も出ない。まさか
「それの能力は女性が持つ異能を一定時間封じる。これも相当の手練れでなければ逆らえない。これで三人」
それを聞いて俺たちは驚いた!冗談キツイぜまったく!てか何で女性だけ?じゃないわ!今アーシアにそれされたら完全にアウトじゃないかよ!
曹操が高笑いした。あの表情は完全に戦いを楽しんでいるものだ。
「この限られた空間でサマエルとゲオルグを防衛しつつキミたち全員を倒す!最高難度のミッションだ!だが……」
曹操の言葉を遮るように黒歌とルフェイが手にオーラを集めていき、ゲオルグとサマエルのほうを狙った。
だがそこにも曹操の球体が向かう。
「ちょこざいにゃん!」
黒歌が空いている手で球体を迎撃しようとしているが
「
曹操の言葉と共に二人は転移させられてしまい攻撃の矛先をゼノヴィアとアーシアのほうにずらされてしまった!今まさに放とうとしていた攻撃を止められず、そのまま発射されてしまう。
「ふざけんな!
イッセーが飛び出してどうにか間に入れたが
ドドドドドドドォォォォォン!
爆発がイッセーを包み込んだ!
防御が間に合わなかったな……防御が低いあれでくらったのか………そのままイッセーは血を吐いて倒れこむ。
曹操はそのイッセーを嘲笑するように見ていた。
「キミの弱点はわかりきっている。駒の変更にタイムラグがあることだ。そこをつけば数手でキミを詰められるよ」
それを聞いてイッセーは悔しそうな表情で曹操を睨むことしかできない。
アーシアが回復しようとしているが
「アーシア回復は後でいい!ゼノヴィアを頼む」
「イッセーさん!しかし!」
そう言ってアーシアを止める。その瞬間
「ヴァーリ!合わせろ!」
「俺は単独でやりたいんだがな…」
アザぜルが光の槍を構え、ヴァーリは魔力を拳に込め、俺は両手にナイフを逆手で構え曹操に打ち込んでいく!
「堕天使総督と白龍皇そして競演!これを御せれば俺はもっと高みを目指せるな!」
曹操はそれを嬉々として受け入れ全ての攻撃を避けていく。
こいつホントに人間なのか!?軽く超上の存在を越えてるじゃねぇかよ!
「鎧装着型の弱点はオーラが迸りすぎることだ!そのオーラを注視すればどこから攻撃が来るか把握できる!」
二人の攻撃を避けながら解説をしてくる。あいつ余裕じゃないかよ!
「
そう言うと曹操が視線を下に向けた。その瞬間アザぜルの足元が石化していく。
「メデューサの眼か!」
見たものを石に変える能力を持ったモンスターの眼か!
ドズン!
アザぜルの腹部に聖槍が突き刺さった。
「ぐはっ!……なんだ、こいつの強さは!」
アザぜルは血を吐きながらくずれおちた。
「あなたの弱点はその人工
「アザぜル!おのれ!曹操ぉぉぉ!」
ヴァーリが怒りながら極大の魔力の塊を撃ちだした!
そこに再び球体が飛来してくる。
「
曹操がそう言うとヴァーリの魔力弾が球体の前方に発生した渦に吸い込まれた。
すると今度は小猫の前方に渦が発生した!
曹操の言うとうりならつまり!
俺が反応し小猫の元に向かっていく!その間に渦からヴァーリの魔力弾が放たれてしまう!
「バカ、なんで避けないの!白音!」
黒歌が小猫の前に立ち盾になるが
「やらせるかよ!」
その黒歌の前に俺が立ちナイフを大剣に変え魔力弾を叩き斬る!
あぶねぇ~間に合った。
「ね、姉様?」
「あ、危なかったにゃ~」
なんで助けようとしたのか疑問だらけ何だろうな。だが今は
「俺の攻撃で仲間をやろうとしてくれたなっ!」
ヴァーリは更に怒りでオーラが高まっていく!切っ掛けはアザぜルと黒歌か。
「キミは仲間想いすぎる。そこにいる赤龍帝のようだ。二天龍もずいぶんヤワくなったものだ」
「では、これならどうだ!我、目覚めるは、…」
ヴァーリのやつ
「ゲオルグ!今だ!」
「わかっている!サマエルよ!」
ゲオルグが魔方陣を展開させるとサマエルの右手の拘束具が外れ自由になる!
『オオオオォォォォォン』
その叫びと共にサマエルの右手がヴァーリに向けられる!
その瞬間ヴァーリを何かが包み込んだ!まるでオーフィスを包み込んだ塊みたいだ。
『オオオオォォォォォン』
再びサマエルが叫ぶと黒い塊が弾け飛んだ!
「ゴハッ!」
その中からボロボロになったヴァーリが出てきた。そのままヴァーリは倒れこむ。
あの白龍皇をあっさりと……サマエルをどうにかしないと
俺が考えを巡らせていると曹操は息を吐いた。
「どうだ、ヴァーリ?神の毒の味は?ここで覇龍を使わせるわけにはいかないのでね、これでカンベンしてくれ。俺は弱っちぃ人間だから、弱点攻撃しかできないんだ」
「…曹操!」
憎々しげに曹操を睨むヴァーリ。
「オーフィスもサマエルには何もできない。サマエルはオーフィスにも効く。俺たちの読みは当たったてことだ」
曹操は槍を肩でとんとんとやりながら言ってくる。
今もオーフィスを包む黒い塊。まだ何かを吸いだしている様子だ。
「これであと何人だ?まぁあと大きな脅威はリッパーだけかな。あとは木場祐斗、塔城小猫、ミカエルの天使、そしてルフェイと黒歌と言ったところか……」
俺以外はどうすればいいかわかっていない感じだな。
俺がやるしかないか!
そう覚悟を決め俺はナイフを逆手に構え、曹操に突っ込んでいった!
長くなってしまったのでここできります。
今回使い始めたばかりのルビ振りが一番キツかった気がします。
誤字脱字、アドバイス、感想などよろしくお願いします