では、一話目どうぞ
俺たちが異変を察知しレストランを飛び出した。
おかしい、俺たち以外誰もいない。これはあれだな、京都とかで体験したあるだろうな。
俺がそう考えていると、ロビーに設置してあるソファに座った二人の男性を発見する。
その瞬間俺たちのほうにに火球が飛んでくる!狙いはアーシアとイリナか!
俺が防御しようと動きだしたとき、火球が飛散した。
オーフィスが打ち消したからだ。
「あ、ありがとうございます」
「……………」
アーシアがお礼を言っているがオーフィスは無反応だ。
それを確認して視線をソファに戻す。
学生服ぽいものにローブを羽織った青年と同じ学生服ぽいものに漢服を着た青年がこちらを見ていた。
そして漢服の青年が口を開く。
「やぁ、久しいな。赤龍帝、アザぜル総督。お二人とは京都以来だな。リッパーはつい先日ぶりだ。いきなりのあいさつをさせてもらった。デュランダルのお返しだ」
「曹操!」
俺が奴の名を叫ぶ。
またあいつか。三回目だなまったく。そういえば前回は気にしてなかったがイッセーがつけた目の傷が無くなってるんだな。
すると曹操は拍手をし始める。
「前回のバアル戦、いい試合だったじゃないか。とある事情で生では見れなかったが、
「テロリストの幹部に褒めてもらえるなんて、光栄なのかしら?複雑なところね。ごきげんよう、曹操」
リアスは皮肉げな笑みを見せていた。
「ああ、ごきげんよう。京都では一応会ったが、あれは何とも言えないからな。初めまして、と言っておこうかな。あのときは驚いたが。なかなか刺激的だった」
「言わないで!思い出しただけでも恥ずかしいのだから!」
やっぱりあれはリアスからしてみれば、黒歴史ってやつなのかな?
「それで、またこんなフィールドを作ってまで俺たちを転移させた理由は?ろくでもないことは確かだと思うが」
俺が訊くと曹操は視線を俺たちの後方に向けた。オーフィスを見ているようだ。
「やぁ、オーフィス。ヴァーリとどこかに出かけたと思ったら、こっちにいるとは。少々虚を突かれたよ」
それを聞いてオーフィスの前に黒歌が立つ。
「にゃはは、それはこっちもにゃ。ヴァーリのほうに向かったと思ったんだけどね」
「あちらには別部隊を送った。今頃そちらの相手をしているんじゃないかな」
するとルフェイが笑顔で挙手している。
一度咳払いをすると説明をし始める。それと同時にフェンリルも影から出て来て曹操たちを睨む。
「えーとですね。事の発端は二つありました。一つ目はオーフィス様が赤龍帝さんに大変ご興味をお持ちだったこと。それを知ったヴァーリ様が独自のルートで出会いの場を提供されたのです」
それは前に聞いたな。おかげでこんなことになってる気がするのだが。
「二つ目は、オーフィス様を陰で付け狙っている方がいるという情報があったのでいぶりだすことにしたのです。運が良ければオーフィス様を囮役にして私たちのチームの障害となる方々とも対決できる。つまりですね」
そこでルフェイは曹操たちに指を突きつけた。
「そちらの方々がオーフィス様と私たちを狙っているので一気にお片付けしようとしたのです。オーフィス様に危険がないようにヴァーリ様のほうに美猴様が変化した偽物のオーフィス様を連れて、本物は赤龍帝さんのお家にお連れしたのです」
俺の予想が大体当たっててよかったよ。にしてもその曹操が本物の方に来てしまっているがどうするつもりだ?
俺が考えを巡らせている間に曹操が口を開く。
「ヴァーリのことだ、オーフィスをむやみやたらと連れ回すわけもないと踏んでいた。そこでオーフィスが赤龍帝と白龍皇に興味を懐いていることを知っていたから、もしやと思って二手に別れて俺はこっちに来てみたらこれだ。それで、このような形でご対面を果たしたわけだ」
それを聞いてイッセーはわかってない感じだな。ざっくり言うとヴァーリの予想が外れたってことだな。
オーフィスが口を開く。
「曹操、我を狙う?」
首をかしげて訊くオーフィス。
「ああ、オーフィス。俺たちにはオーフィスが必要だが、今のあなたは必要ではないと判断した」
「わからない。けど、我、曹操に若手負けない」
「そのとうりだ。でもちょっとやってみるか」
曹操がそう言うと槍の先端が開き光の刃が現れる。
フッ!
曹操が俺たちを無視してオーフィスの元に向かう。
前より速くなってやがるな!予備動作なくあの速度か!
ズン!
次の瞬間曹操の槍がオーフィスの腹部を貫いていた。
曹操は槍を持つ手に力を込めて叫ぶ。
「輝け、神を滅ぼす槍よ!」
その瞬間槍から膨大な閃光があふれだす。
「これはマズイにゃ。ルフェイ」
黒歌が言うとルフェイと共に何かを呟きだした。すると俺たちを黒い霧が包み込んだ。
「光を大きく軽減する闇の霧です。かなりの濃さなのであまり吸い込まないでくださいね!これくらいにしないと聖槍の光は軽減できません!」
「しかも私とルフェイの二重にゃ」
説明をくれた瞬間、聖槍の光がホテルに広がっていく。
霧の中でも光のスゴさがわかる。霧なしだったらやばかったなこれは。
聖槍の光が止むと同時に闇の霧も消え去った。オーフィスの方を見るが大してどころか全くダメージを受けた様子はない。
それを確認して曹操は呆れ顔で言う。
「悪魔なら瞬殺、それ以外でも余裕で消し飛ぶほどの力を込めたんだがな、神仏でも力の半分を奪えるほどだった」
曹操がイッセーを見る。
「見たか、これがオーフィスだ。最強の
流石は
曹操は肩に槍をとんとんとしながら続ける。
「俺に反撃もしてこない。簡単なことだ。いつでも俺を殺せるから。だからなにもしてこない。グレートレッド以外に基本的に興味が無いんだよ。グレートレッドを抜かした、全勢力のなかで五指に入る強者……その一番がオーフィスであり二番とは別次元とも言えるほどの差がある。無限の体現者とはこういうことだ」
曹操の言うとうり、オーフィスを倒せるやつなんてグレートレッド以外にいるとは考えられない。だがそのオーフィスを曹操は狙っているわけだろ。何故だ
俺が疑問を胸の内に感じ始めた瞬間黒歌とルフェイの足下に転移魔方陣が展開されていた。黒歌がにんまりと笑みながら言った。
「にゃはは、余興をしてくれている間に繋がったにゃ。そろそろあいつも呼んでやらにゃーダメっしょ」
魔方陣の中心にフェンリルが位置すると、魔方陣の光が強くなっていった。
その光が止むとフェンリルが消え、代わりにあいつが出現していた。
「ご苦労だった、二人とも。面と向かって会うのは久しぶりだな、曹操」
「ヴァーリか、これはまた驚きだ」
ルフェイが杖で円を描きながら言う。
「フェンリルちゃんと入れ替わりによる転移法でヴァーリ様をこちらに呼びました」
なるほど、ヴァーリとフェンリル入れ替えたのか。
ヴァーリがルフェイに続き口を開く。
「フェンリルには向こうのメンバーと英雄派と戦ってもらっている。念のため保険をつけておいて正解だったな。それにしても曹操とゲオルグの二人だけか」
それを聞いて曹操は不敵に笑った。
「いや、二人で十分と思っただけだよ」
「例の
ヴァーリと俺、アザぜルの意見が一致しているな。
だが曹操は首を横に振った。
「それは違うさ、ヴァーリ
ゲオルグがそれを聞いて曹操に訊く。
「曹操、いいのか?」
「ああ、頃合いだ。無限の龍神に二天龍がいる。これ以上ない組み合わせだ」
「了解だ」
すると口の端を吊り上げたゲオルグがロビー全体に巨大な魔方陣を出現させた。
ズォォォォォ……
ホテル全体に激しい揺れが襲う。そしてドス黒く禍々しいオーラが魔方陣から発生していく。
イヤなプレッシャーを感じるな。何なんだこれ!
魔方陣から何かが少しずつ何が出てくる。
頭部、胴体、黒い羽に十字架。いや正確には十字架に磔になっている何か。体を強烈に締め付けられていそうな拘束具、それにも何か文字が浮かんでいる。目にも拘束具がつけられ、隙間から血涙が流れている。
そして下半身も出てきたがそこには鱗がある。
拘束具をつけられた磔の堕天使ドラゴン、とかイッセーは思っているのだろうが
『オオオオォォォォォォォォォォ………』
磔の堕天使ドラゴンの口から不気味な声が発せられロビーに響き渡る。様々な負の感情を感じる声音だった。
すると曹操が詩を詠むように口を開く。
「曰く、"神の毒"。曰く"神の悪意"。エデンにいた者に知恵の実を食わせた禁忌の存在。今は亡き聖書の神の呪いがいまだ渦巻く原初の罪。"サマエル"。蛇とドラゴンを嫌った神の呪いを一身に受けた天使であり、ドラゴンだ。存在を抹消されたドラゴン」
『!?』
サマエルだと!?なんでこいつが!?
俺と同じ事を思ったのかイッセー以外の全員が驚愕の表情になった。
「アザぜル、サマエルってことはこいつが…」
「ああ、リッパー。そのとうりだ」
「なんなんですか……あれ」
俺とアザぜルが確認しているときイッセーが訊いてくる。
「アダムとイブは知っているな?その二人に知恵の実を食わせたのがあれだ。そのせいで聖書の神は極度のドラゴン嫌いになった。その神の悪意、毒、呪いをすべて受けた存在。神の負の感情は本来あり得ないことだ。ゆえにそれだけでも猛毒。ドラゴン以外にも影響が出る上にドラゴンが絶滅してもおかしくないことから、コキュートスのさらに深くに封じられたはずのもの。あいつにかれられた神の呪いは究極の龍殺し。それだけにこいつの存在自体が凶悪な龍殺しなんだよ!」
「ハーデスはなに考えてやがる!まさか!」
俺とアザぜルは一番最悪の結果を想像した。冥府の神がテロリストに手を貸す。なんてことを
俺とアザぜルを見て曹操が笑った。
「そう、ハーデス殿と交渉した結果、何重もの制限を設けた上で召喚を許可してもらったのさ」
「……野郎!」
「ゼウスが協力態勢に入ったのがそんなに気にくわなかったかよ!」
俺たちが吐き捨てる中で曹操が再び口を開く。
「というわけで、彼はドラゴンを確実に殺せる。龍殺しの聖剣なんて比べるに値しないほどだ」
「それを使ってどうするつもりだ!?まさかオーフィスを?」
アザぜルの問いに曹操は口の端を吊り上げ指を鳴らす。
「喰らえ……」
曹操の声を合図に俺たちの横を何かがとうりすぎた。サマエルが舌を延ばしたのだ。狙いは俺たちは後方にいたオーフィス。
確認しようと振り返った瞬間俺たちは絶句した。
サマエルの舌がオーフィスを包み込んでいたからだ。
何かすごい長くなってしまった。
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