では、一話目どうぞ
次の日の朝、さっそくインターホンがなり俺たちは玄関に出迎えに行った。すると目の前にゴスロリ衣装の女の子が立っている。てかこいつは!
「久しい。ドライグ」
「オ、オ、オ、オーフィス!?」
イッセーが驚いているがそれはそうだろう。今俺たちの目の前には、テロリスト禍の団《カオス・ブリゲード》のトップだからな。
この場にいる全員が戦闘態勢に入るなかアザぜルが割ってはいる。
「ほらほらほら!昨夜言ったろ!誰が来ても攻撃は無しだ!てかやっても倒せねぇよ!」
「そんなことはわかってる、アザぜルどういうつもりだ!」
「そうよ!どういうつもりなの!そのドラゴンはテロリストの親玉なのよ!それなのにどうして同盟にとって重要な場所になっているこの町の、この家に!ここを警備している者たちも騙したってことよね!?どうして!」
俺とリアスが声を荒げるが当たり前だろ。だってこれは
「協定違反もいいとこだぞ!これじゃなに言われても何も言い返せねぇ!各勢力の協力を誰よりも訴えいたあんたが…」
そこで俺はある結論が出た。リアスも同じく事を考えていたのか口を開く。
「協力態勢を誰よりも説いていたあなたですものね。オーフィスの訪問にそれがかかっていると判断したってことね?」
俺もそう思ったところだ。
今までの事を考えてもアザぜルが今さら裏切るわけないだろう。なんだかんだ言ってもアザぜルは面倒見いいからな。
「ああ、すまんな、リアス、リッパー。俺はこいつをここに招き入れるために現在進行で色々な奴を騙している。だが、こいつの願いは、もしかしたら禍の団の存在を揺るがすほどのものになるかもしれないんだ。無駄な血を流さないために、それが必要だと俺は判断した。改めて頼む。こいつの話だけでも聞いてやってくれないだろうか?」
アザぜルが昨日に続きまた頭を下げる。こいつがここまでするなら何か大きな意味があるのだろう。
みんなが同じ事を思ってくれたのか、戦闘態勢を解いてくれたが
「アザぜル、後でしっかり説明してもらうぞ。特に俺とイリナに」
立場上一番複雑なのは多分俺かイリナだ。俺は魔王の眷属、イリナはミカエルつまり今の天界トップの御使い《ブレイブ・セイント》のAだからな
「ああ、わかってる。すまんな」
「もうなっちまったことは仕方ないさ。で、どうすりゃいいんだ?上にあげてお茶でも出すか?てかこいつだけなのか?ヴァーリチームは?」
俺が訊くと玄関前に光が円形に走りだし、魔方陣が出現する。
そこから現れたのは、とんがり帽子にマントというベタな魔法使いの格好をした女の子と一匹の狼てか犬か?
あの女の子はイッセーが京都で会ったという"ルフェイ"というアーサの妹だろう。問題は犬の方だ。あの犬から感じるプレッシャーは忘れられないな。フェンリルだろあれは、そういえばフェンリルがヴァーリチームに行ったなんて報告があったような。
「ごきげんよう、皆さん。ルフェイ・ペンドラゴンです。京都ではお世話になりました。こちらはフェンリルちゃんです」
ご丁寧にどうも、かなりフェンリルに懐かれているようだな。てかフェンリル"ちゃん"ってどうなんだ。
さらにもうひとつ魔方陣が展開されそこから今度は猫耳を生やした女性が出てきた。と思ったらイッセーに抱きついた。
「おひさ~。赤龍帝ちん!」
あれは小猫の姉、黒歌だったな。
「お前かよ!どういう組み合わせだ!」
イッセーが抱きつかれながら文句を言ってるが、黒歌は聞いてないなあれ。
するとオーフィスがイッセーを真っ直ぐ見つめ一言だけ漏らした。
「話、したい」
アザぜルもそれを聞いて念を押してくる。
「お茶してやれ。このために俺は他の勢力を騙しまくってだからな。これがバレて悪い方向に進んだら、俺の首が本当の意味で飛ぶんだよ」
はいはい、わかってますよ。ここまで来ればヤケクソだ。お茶でも何でもやってやるよ。
いつものVIPルームに集まった、異様とも取れるメンバー。
リアス眷属(小猫とそれに着いてくれているギャスパー、北欧に行ったロスヴァイセ意外)、イリナ、レイヴェル嬢、アザぜル、俺、そしてヴァーリチームのルフェイ、黒歌、フェンリル最後にオーフィスという何も知らない奴が聞いたらぶっ倒れそうな集まりだ。
「お茶ですわ」
朱乃が警戒しつつもヴァーリチームとオーフィスにお茶を淹れる。ルフェイはそれを飲み、黒歌はお菓子を食っていた。フェンリルはルフェイの近くで寝ている。
こいつら緊張感ゼロだな。こっちは感覚を研ぎ澄ましまくってるのによ。イッセーも不安そうにしているし、オーフィスは黙ってイッセーを見てるし、どうしたものか。
するとイッセーが無理矢理笑顔を作って話しかける。
「そ、それで、俺に用ってなんでしょうか?」
がんばれイッセー、お前の一言にこの場にいるメンバーの命が懸かってる。それに下手したら嫌な方で歴史に名が残すことになるかもしれないしな。
俺が心の中でイッセーを応援しているとオーフィスが口を開いた。
「ドライグ、天龍をやめる?」
駄目だな、俺たちじゃフォロー出来ない話題だわこれは。
「いや…言っている意味が」
イッセーもよくわかってない感じだな。
「宿主の人間、今までと違う成長してる。とても不思議、今までの天龍と違う。ヴァーリも同じ。とても不思議」
俺らが訳わからない感じになってきていているが、オーフィスは続ける。
「曹操との戦い、バアルとの戦い。ドライグ、紅になった。初めて。我が知っている限り、初めてのこと」
イッセーのパワーアップも筒抜けなのか、曹操と戦う時が怖いな。
俺がそう考えているなか、オーフィスはさらに続ける。
「だから、訊きたい。ドライグ、何になる?」
イッセーが話についていけてないところでドライグが気を利かせてくれたのか左腕に籠手が出現し、俺たちにも聞こえるように声を発した。
『わからんよ、オーフィス。こいつが何になりたいかなんてな。だが、面白い成長をしようとしてるのは確かだ』
このままドライグに任せるかね。イッセーもそう思ったのか黙りこんだ。
その後も天龍と龍神(オーフィスのことだ)の会話が進んでいったのだが、突然オーフィスがあることを言った。
「ドライグ、乳龍帝になる?ドライグ、乳を司るドラゴンになる?」
最近繊細なドライグはそれを聞き過呼吸ぎみになる。
『うぅ…こいつにまでそんなことを……。うっ!意識が途切れそうだ!カウンセラーを!カウンセラーを呼んでくれ!』
イッセーは懐から薬を出して籠手の宝玉に振りかけた。
「ドライグ、落ち着け!ほら、薬だ!」
その薬の効果があったのか少しずつドライグの呼吸が落ち着いていく。
『す、すまない。やはり効くなぁ…』
ドライグが軽く薬漬けになってるんだが大丈夫なのか?
「我、見ていたい。ドライグ、この所有者、もっと見たい」
オーフィスはそう言ってイッセーをじっと見る。
それを確認したアザぜルが息を吐いてイッセーの肩に手を置いた。
「てなわけだから、しばらくこいつを置いてやってくれないか?理由があるかまではわかないが、見ているだけなら問題ないだろ?」
それを聞いてイッセーは驚いていた。
だよね、テロリストの親玉を家に置いてくれって言われてるわけだからね。
イッセーは助けを乞うように俺とリアスを見てくるが
「俺はイッセーがいいならそれでいいさ」
「ええ、警戒は最大にさせてもらうわ」
「そういうわけだから俺たちは呑むぜ、アザぜル」
イッセーには悪いがこれでテロリストどもが瓦解する糸口を掴めるかもしれないからな。
「わかりました。俺もOKですよ。試験が近いからその邪魔だけはしないでくれるなら」
イッセーも許可してくれたところでアザぜルが喋り出す。
「毎度悪いな、イッセー。大切な試験前だってのに、お前に負担を増やしちまって。だがこれはチャンスなんだ。うまくいけば各勢力を襲う脅威が緩和されるかもしれん」
出来ればそうなってほしいな。
「俺が言えた義理じゃないが、オーフィス、黒歌、こいつらに迷惑かけるなよ」
ルフェイには言わないあたり、あの娘は大丈夫だとわかってる感じだな。
で、言われた二人は
「わかった」
「適当にくつろいでるにゃん♪」
返事はしたがわかってるのだろうか?
するとルフェイがイッセーに何かを突きだした。
あれはサイン色紙かな?
「この間のバアル戦!感動しました!できればサインください!」
そういえばあの娘イッセーのファンらしいな
「へいへい」
イッセーも適当に返事をしながらもしっかりサインに応じていた。
そういうわけでしばらくオーフィスとヴァーリチームを預かることになったのだった。
「ところでアザぜル」
「なんだ、リッパー」
「これどう報告すればいい。てかいつ報告すればいいんだ?」
「俺に考えがある、そのタイミングで俺が報告とかはやるから今は黙っててくれないか」
「はぁ、了解だ。今度なんか奢れよ」
「お安い御用だ」
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