では、どうぞ
あれから日にちが経ちある事がわかった。
「猫又の発情期ってことか」
事情を聞いたアザぜルが開口一番に言う。
まぁそう言うことだな。今の小猫は"発情期"つまり子孫を残したいという本能の状態になっているらしい。
今は魔物使いの少女から貰った薬で落ち着いたのか眠っている。
「発情期…ですか?」
イッセーが呟くとアザぜルが再び口を開く。
「猫又は体が成熟すると一定周期で発情期に入る。で、猫又の女は特性上、相手は気に入ってる異種族の男だ。つまりイッセー、お前だ。」
それを聞いてイッセーは自分を指差しているが俺が続ける。
「小猫は確か"猫しょう"だろ?なかなか希少な猫又だからな子孫を残すのはいいことだが、今はな」
俺の言葉にアザぜルは息を吐いたあとに言う。
「小猫はまだ小さい」
「イッセー、一応言っとくが胸じゃないぞ。ある意味間違いではないかもだが」
「わ、わかってますよ!小猫ちゃんが小柄ってことですよね!」
イッセーが答えたところで再びアザぜルが口を開く。
「ああ、人間同様出産は母子共に負担が大きい。今の小猫だと出産に耐えれん、下手したら死ぬぞ」
そのとうり、今の小猫が出産したなら多分死ぬ。そうならないために発情期はある程度成熟しなきゃ来ないはずなんだがな。
イッセーも同じ事を考えていたのかアザぜルに訊く。
「それなら本能で子作りできないと判断するのでは?」
「その筈なんだがな」
俺もそこはわからんな。
すると朱乃が喋り出す。
「ここに住んでいる女としてはわからなくもないですわね」
朱乃の発言にみんなが反応し視線を向ける。
「きっと小猫ちゃんはイッセーくんとリアスを見て"私も負けられない"、"次は私だ"と強く思ってしまったのでしょうね」
なるほどね。それなら何となくです合点がいくな。
「私とイッセーの影響で発情期に入ってしまったのかしら…」
朱乃の言葉にリアスが少し動揺しているようだ。
アザぜルがこの何とも言えない空気を察したのか口を開く。
「何はともあれ、発情期を無理矢理抑えても今度は発情期が来なくなるかもしれない」
「確かにアザぜルの言うとうりだ。体が成熟しても発情期が来ないんじゃ小猫が子孫を残さなくなるかもしれん。というわけだがら、イッセー」
「は、はい!」
「お前は小猫が落ち着くまで耐えろ。万年発情期のお前にはキツいかもしれないが何としても耐えろ。小猫を死なせたくないだろ?」
「わ、わかりました!小猫ちゃんのためにもがんばります」
「無事に耐えてくれたら私がご褒美あげるわ。ね?」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ、本当よ」
「だったら俺、ご褒美のためにも頑張ります!」
俺の言葉よりリアスの言葉に強く反応したな。
そのまま二人とも見つめ合い黙ってしまった。
「おらおら、バカップルが暑苦しいぞ」
アザぜルの言葉に二人とも顔を真っ赤にしていた。
「まったく…二人きりの時にやれよ。なぁみんな?」
「「「いいえ、見てて安心します(するわ)(だ)」」」
アーシア、イリナ、ゼノヴィアがそう返してきた。
「浮気へのポイントがまたひとつ高まりましたわ」
朱乃もどこか楽しげな様子で返し
「ライザー兄様に見せたら悶死しそうですわね」
レイヴェル嬢は兄を大事にしてあげて!
そんなリアス眷属女性チームを見てアザぜルが息を吐きながら口を開く。
「……たくよ、いい女に恵まれてんな、イッセーは。それとついでに連絡だ。朱乃、バラキエルは承諾した。俺もそれでいいと思っている。あとはお前次第だ」
「そうですか。わかりました。近くに必ず」
何か朱乃からすごい覚悟を感じるんだが、そっか決めたか。
それを聞いてアザぜルは頷いた。
「わかった。他のみんなにも連絡がある」
「ん?なんだアザぜル。聞いてないぞ」
「ああ、ちょいと急に決まったことでな。明日この家に訪問者を呼ぶ予定だ。リアスとリッパーに了解を取りたい」
「で、誰が来るんだ?」
俺が訊くとアザぜルはいつになく真剣な顔になった。
「お前らはその訪問者に殺意を向ける、そうなってもおかしくない」
「殺意ってお前な。誰だ?ヴァーリチームか?」
「リッパー、半分正解だ」
俺の質問にアザぜルが答えてくれたが、半分てのはなんだ?まだ俺たちが知らないメンバーがいるのか?
「ヴァーリはテロリストですもの。戦う準備はするわ。けれど殺意を向ける程でもないと思うのだけど、京都でもイッセーたちを助けて助けてくれたみたいだし、私個人の見解では、英雄派ほどの危険性はないと思うわ」
「俺も同じくだ。警戒は最大に行うがな」
俺とリアスの意見は一致していたようだな。ここで違うといらない話し合いになるかもしれんからな、よかった。
俺たちの意見を聞いてアザぜルは頬をかいた。
「今言ってもしょうがない部分もあってな。明日の朝まで待ってくれ。それでわかる。俺の願いはその訪問者に攻撃を加えないでほしい。それだけだ。うまくやれば今の情勢が変化するかもしれない。俺も明日の朝一にまた来る。だからこそ、頼む」
そう言ってアザぜルは頭を下げる。
それほどの相手が来るのか一体誰がいや、何が来るんだ?
今日はここで解散となり、その明日に備えみんな早めに眠りにつくのだった。
猫しょうの"しょう"の字が変換で出なかったのでそのまま平仮名にしました。誤字ではないので気にしないでください。
誤字脱字、アドバイス、感想などよろしくお願いします