グレモリー家の次男   作:EGO

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Extra life 66 家族旅行!? ①

映画撮影を終え、夏休み終了まであと3週間程。

例のごとく、暇を持て余しているときに限って面倒事になる。現にリリスに会いに帰って来た俺とロセの目の前には、

「シドウ!旅行に行くわよ☆」

何てことを言ってポーズを決めるセラがいるわけだ。彼女が唐突に話題を振ってきたり、俺を巻き込んだりするのはいつものことだが、今回は俺だけではない。

「もちろん、ロスヴァイセちゃんとリリスちゃんも!」

「え?」

「リリスも!」

俺の横に座っていたロセは間の抜けた声を出し、膝に座るリリスは喜んで万歳しながらピョコピョコ跳ねている。

ロセとリリスも巻き込まれるようだ。ロセは問題ないだろう。だが、リリスを連れて歩くのは問題がありまくる気がする。

一旦リリスをロセの膝の上に移動させてセラに近づく。そして、リリスには聞こえないように訊いた。

「俺とロセはいいとして、リリスは大丈夫なのか?一応、テロリストのトップってことになっているだろ?」

「そんなあの子を日本と冥界各地に連れ回したのは誰だったかしら?」

と、逆に聞き返されてしまった。た、確かに、リリスを連れて色々な所に行った。今考えれば、結界とかはどうやってすり抜けていたんだろう?

俺が難しい顔をしていたのか、セラが言った。

「結界とかのことを考えていたでしょ?」

「あ?ああ。リリスを連れてどうやって通ったのかなってな」

心のうちを読まれるのはいつのもことなので気にしない。だが、念のため訊いておいた。外交担当のセラなら何か知っているかもしれない。

「多分だけど、あなたがあなたの駒を持っていたからじゃないかしら?各勢力に『D×D』として通達してあるあなたの駒があったから通れたのかもしれないわ」

セラはそう言うとリリスに目を向けた。俺もつられてそちらを見ると、ロセとリリスが談笑していた。

「リリスちゃんは、そのころからあなたにオーラを分けていたのかもしれないわ。そのせいでシドウとリリスちゃんで1セットとして見られていたのかも……」

俺とリリスがオーラで繋がっていたから1人としてしか関知されなかったと。トライヘキサのせいで大変だったとはいえ、随分ザル警備だな。

俺は心の中で溜め息を吐いて、セラに訊いた。

「それはいいとして、リリスをどうやって連れ回すんだ?さすがにバレるだろ?」

俺の鎧形成にオーラを分けてもらっているが、燃費もだいぶ良くなったからか、俺に流れてくるオーラが減っているように思える。証拠のように、最近リリスのオーラを強く感じるようになってきた。逆に言えば、オーラの察知がうまい奴に会うとオーフィスの半身だとバレる可能性もある。

俺はそれを危惧して言ったのだが、セラはなぜかドヤ顔をして腕を組んでいた。

「そこは安心して☆アザゼルからいいものを貰ってきたの☆」

セラが取り出したのは、腕輪だ。独特な魔法文字が書かれ、光輝いている。何となく、任務中に俺がつけていたものに似ている。ってことは!

俺はひとつの答えを導きだしてセラに訊いた。

「リリスのオーラを誤魔化す腕輪か。俺が使っていたやつの改良品ってやつだな」

「そういうこと」

セラはウンウンと頷いていた。てことは、アジュカ様が作ってくれたのか。あのヒトには世話になりっぱなしだな。

俺が心の中でお礼を言ってからセラに訊いた。

「で、仕事は大丈夫なのか?」

一番の心配所だ。セラはよく仕事をサボるからな。

俺の心配を他所にセラは言った。

「大丈夫よ☆サーゼクスちゃんにも、アジュカちゃんにも、ファルビーにも、もっと言うと堕天使と天使のトップのヒトたちにも言ってあるわ☆」

再びのドヤ顔。まぁ、かわいいから許す。

珍しく計画的なセラに俺は笑みを浮かべて言った。

「りょーかい。それじゃ、準備するかね。リアスたちは誘わない方向で?」

「リアスちゃんには言ってあるわ。『シドウお兄様とロスヴァイセの気分転換になるのでありがたいです』って返してくれたわ☆」

リアスは了解してくれたんだな。忘れていたが、ロセに確認しないとな。

「ロセ、おまえはどうす……」

「行きます!」

俺が言い終わる前に即答で返してきた。ロセも行く気満々のようだ。

「リリスは?って訊くのも……」

「リリスも行く!リリスも行く!」

俺が訊いたことに不安を感じたのか、ロセの膝から降りて俺に飛び付いてくるリリス。相変わらずと言いますか、俺の日常の一部と言いますか。

「わかったわかった。で、出発はいつだ?」

「3日後よ☆準備しておいてね☆」

3日後って割りとすぐじゃねぇかよ。準備しないと。

俺は準備に取りかかろうとしたが、その前にセラから腕輪を受け取ってリリスに見せる。

「リリス、これからこの腕輪をつけるが、いいか?」

「うん」

リリス本人の許可を貰ってから腕輪をつける。腕輪の魔法文字がいっそう強く輝くと、少しずつ光が弱くなっていく。光が完全に止むと、リリスの右手首に腕輪がはまっていた。

リリスは興味深そうに腕輪をツンツン突っついている。

「リリス、どうだ?問題ない?」

「うん、大丈夫」

リリスは笑顔でそう返してきた。ほとんどオーラは感じられなくなった。これならバレないだろう。

「よっしゃ、決まりだ。で、何日の予定だ?」

「1週間よ」

「オーライ。買い物行ってくるが、ついてくるヒト?」

俺がわざとらしく訊くと、

「「「はい!」」」

元気一杯の3人が挙手してきた。まぁ、予想通りだ。

こうして、旅行の準備のために4人で町に繰り出したのだった。

 

 

 

 

 

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シドウたちが旅行の準備に動きだした頃、ある恐ろしい組織が日本侵略を再開しようとしていた。

 

 

 

 

 




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