グレモリー家の次男   作:EGO

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Extra life 64 映画出演 リアスたちと共演編 ⑥

休憩を済ませた俺、兵藤一誠はヘルキャットこと小猫ちゃんと共に玉座へと続く扉の前にいた。

龍を思わせるレリーフが刻まれている重厚な扉だ。昔の俺ならともかく、紅の鎧の俺なら!

俺は意気込んでその扉を殴り抜いた!爽快な破壊音と共に扉は粉砕され、中に入れるようになった。俺とヘルキャットは頷きあって中に入っていく。

等間隔に並べられた柱には不気味な青い炎が灯された松明が部屋を照らしていた。そして、部屋の奥にある一段高いところには、

「……………………」

足を組み、頬杖をつきながら無言でこちらを睨んでくるブラックことシドウさん。斬魔刀は床に突き刺さっている。

「おっぱいドラゴン!ヘルキャット!」

「少し静かにしていてください……」

魔方陣に拘束されながら俺たちを心配してくれているスイッチ姫ことリアスと、それを黙らせるシャドウことロスヴァイセさんが少し離れたところにいた。

ブラックが笑みを浮かべながら言う。

「あいつらを倒したか。それは重畳(ちょうじょう)。そう来なくてはな」

ブラックは立ち上がり、斬魔刀を床から引き抜いた。そしてその切っ先を俺に向けてくる。深緑色の刀身が、青い炎に照らされて不気味な光を放っている。そして、ブラックが放っている殺気は本物だ。あのヒトは本気で殺気を放っている。

「さぁ、乳龍帝。ここで決着をつけよう。おまえが勝てば世界は終わらないが、俺が勝てば……」

ブラックはそう言うと挑発するように笑みを浮かべた。

その後の言葉はわかっている。なら、俺はそれを全力で阻止するだけだ!

俺はゆっくりと構え、ブラックの出方を見る。ブラックは一歩、また一歩とこちらに近づいてくる。

俺は一歩後ろにいるヘルキャットに小声で言う。

「ヘルキャット。スイッチ姫を助けてシャドウを抑えてくれ。ブラックは俺が倒す」

「……わかりました」

その返事を聞いたと同時に飛び出し、ブラックに殴りかかる!ブラックはそれを冷静に見切り、半歩右にステップするだけでそれを避け、空を切った拳の勢いで態勢が少し崩れた俺の背中に裏拳を入れてきた!

俺は自分から前に跳ぶことで衝撃を逃がし、地面を転がることで素早く態勢を整える。ヘルキャットも移動を開始してシャドウと戦闘に入ろうとしていた。

俺が横目でそれを確認していると、

「無視は困るな……」

その声に反応して視線をブラックに戻すと、すでに拳が俺の眼前に迫ってきていた!俺は反射的に身を屈めてそれを避けるが、ブラックの拳の余波で壁にヒビが入った!

諸々の影響もあるとはいえ、パワーはサイラオーグさん並ってことか!あれからもシドウさんは俺たちに混ざってよく体を鍛えているからな!

そんなことを思いつつ、屈んだ勢いで足払いをするが、ブラックが放った前蹴りのパワーに負けて俺が宙に浮いた!そこに、

「ハッ!」

ブラックの気合いと共に放たれた左ストレートが俺の腹部を捉えようとしていた!俺はとっさにオーラを防御に回すが、

ガギャンッ!

ブラックの拳は問答無用で鎧を破壊し、生身の俺を捉えた!体の芯に響く一撃!一撃が重すぎるっ!

「かはっ!」

俺は肺の空気を一気に吐き出して、先程ヒビが入った壁に激突する!勢いはそれでは止まらず、そのまま壁をぶち抜いて隣の部屋まで吹き飛ばされた!

「はぁ……はぁ……。まだだっ!」

俺は息を整えながら立ち上がり、突撃の姿勢をつくる。

どうせカウンターを狙ってもテクニック寄りのシドウさんには効果が薄いだろう。逆にカウンターを狙われて終わりだ。なら、愚直に正面から攻める!

俺は「ふーっ」と息を吐き、緊張を紛らわす。映画撮影だけど戦闘は本気だ。相手がシドウさんだからなおさら。あのヒトに勝てないと、いざっていうときに俺はリアスたちを守れない!

俺は意を決して穴の向こうにいるブラックに突撃した!ブラックは嬉々とした笑顔でそれを受け入れてくる!

一気に懐に飛び込んだ俺は、助走の勢いのままボディーブローを放つ!が、ブラックが右手に持つ斬魔刀を盾代わりにしてそれを防いだ!

ガキンッ!

固い金属音が俺の耳にこだまし、火花が視界に映った。それに構うことなく、俺は連続で拳を、蹴りを放っていく!だが、俺がいくら打ち込んでもブラックはあっさりといなし、的確にカウンターを打ってくる!それが当たる度に鎧が砕けるが、すぐさま修復して勢いを殺さずにラッシュをかけていく!少しずつだけど、ブラックの動きに慣れてきた!

俺がそう思った瞬間、ブラックが俺を蹴り飛ばして斬魔刀をあらぬ方向へと投げた!?俺はその斬魔刀を行き先を目で追うと、そこにはシャドウと戦っているヘルキャットの姿が!

「ヘルキャット、危ない!」

「ッ!」

ヘルキャットは俺の叫びに反応して紙一重で避けたが、その回避で生まれた隙にシャドウは容赦なくフルバーストを放った!ヘルキャットはそれをもろにくらい、吹き飛ばされて壁に激突する。斬魔刀は勢いのまま壁に突き刺さった。

俺は怒りを込めた眼差しでブラックを睨む。ブラックは両腕を横に広げながらニヤリと笑った。

「これで拳同士の勝負だ。案外、殴りあいも好きでな」

ブラックはそう言うと拳を構えた。即興でやったであろう構えだが、まるで隙が見つからない。

俺は再び息を吐き、ブラックに突撃した!俺がブラックの顔面に右フックを放つと、向こうは同じように右フックを放ってきた!タイミング、高さを見るとこれは!

俺は衝撃に備えた。当たり前だ。これは確実に!

俺とブラック、二人の放ったフックが、同時に顔面を捉えた!凄まじい衝撃が俺に襲いかかり一瞬ぐらついたところに、ブラックは左ストレートを放ってきた!俺はとっさに腕をクロスして防御の態勢にはいるが、その一撃はその防御をあっさり突破して俺を殴り飛ばした!

再び吹き飛ばされ、地面を転がる。やっぱり……強い!

ふと見ると、ヘルキャットも苦戦を強いられているようだ。先程のダメージを引きずって、動きが悪くなってしまっているようだ。

俺は足を踏ん張って立ち上がり、ブラックを睨む。だが、

「乳龍帝、もう終わりだ。今度こそ、散れ………!」

ブラックは宣告するように言うと、漆黒の籠手がつけられている右手で魔方陣を展開し、こちらに向けてきた。

少しずつ魔方陣の輝きが強まり、それが最高潮に達した瞬間、砲撃のようにオーラが放たれた!

まっすぐにこちらに飛んで来るオーラ。あれを食らえば確実に倒れる。避けないとっ!

俺は避けようとするが、足に力が入らず、尻餅をついてしまった。ああ、くそ、ここまでなのか!?

「おっぱいドラゴンッ!」

「避けてください!」

スイッチ姫とヘルキャットの悲痛な叫びが聞こえたが、もう間に合わない、ダメージ覚悟で耐えるしかない!

俺は防御の態勢に入った瞬間、ブラックが放ったオーラが両断され、Y字の軌跡を残して後ろの壁に当たって爆発した。

俺の前には聖と魔が入り交じった澄みきった刀身の剣を持つ一人の騎士が立っていた。

「乳龍帝、貴殿はここで倒れる器ではない。そうだろ?」

「ダークネスナイト・ファング…………」

「おまえか………。死んでいなかったのか」

ダークネスナイト・ファングの突然の登場にブラックも驚いている様子だ。だが、「フッ」と笑うと言葉を続けた。

「乳龍帝を倒すのは俺だ。邪魔をするな」

「いいや、私だ」

二人は睨みあい、二人の間の空間が歪んで見えるほどだ。その間に回復した俺は、ダークネスナイト・ファングの横に並ぶ。

「そんなことはどうでもいい。俺はあいつを倒したい。おまえもあいつを倒したい。だろ?」

俺が訊くと、ダークネスナイト・ファングは笑みを浮かべて頷いた。

「ああ、利害の一致程度の認識でいいさ。今だけは、手を組もう」

「そうこないとな!」

俺とダークネスナイト・ファングが構えると、ブラックは右手を先ほど斬魔刀を投げた方向へと向ける。すると、引き付けられるように斬魔刀がブラックの手元に戻ってきた。そして、シャドウもその横につく。俺はハッとしてヘルキャットを見ると、気絶したように項垂れて魔方陣に拘束されていた。

「さぁ、行くぜ!」

俺の掛け声で、再び俺たちは戦闘に突入した!

 

 

 

 

 

 




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