グレモリー家の次男   作:EGO

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Extra life 52 シドーとリリス 元龍王の領地へ

シドーとリリスは、あのあとすぐに森の中で野宿する準備を始めた。やることといっても、落ち葉を集めてベッドのようにするだけだ。リリスは、いつも仰向けに寝るシドーの胸の上で寝るので準備するのは一つだけで良い。

なぜいつも自分に乗って寝るのか。シドーは前までそう思っていたが、別に重いわけでもなく、くっついていると暖かいのでむしろ歓迎し始めていた。

そんな事を思っているうちに寝る準備は終了し、シドーはいつものように寝転んだ。そしていつものようにリリスが彼の上に乗っかる。

慣れた重みを感じながらシドーはため息混じりに言った。

「リリス、次はどこに行こうか。人間界(こっち)には何もなさそうだ」

「そうだね……」

リリスは眠そうに頷いた。シドーは続ける。

「やっぱり冥界(あっち)の方が効率がいいかもな。問題はどうやって行くか何だが……」

シドーはそう言うと黙りこんだ。彼がどうするか知恵を絞っていると、リリスが言った。

「シドーは……リリスが連れてく………。リリスならできる」

シドーはリリスの言葉を聞いて目を見開いて驚いた。体を起こそうとしたが、リリスが落ちてしまうと思い踏みとどまった。

寝転んだままシドーが訊く。

「そ、そんな事できるのか!?なんで今までやってくれなかったんだ!?」

「あれやると疲れる……」

眠そうにリリスはそう言うと、そのままシドーの胸に顔を埋めて眠り始めてしまった。シドーはそれを見てため息を吐くと目を閉じた。

まぶたの裏には冥界で見た眼鏡をかけた女性悪魔と、先程会った悪魔の男女が映った。一目見ただけなのになぜか印象に残っている彼らのことが気になっていた。攻撃してきたから敵の可能性も高い。

シドーはそう考えていると、疲労がたかったためかあっさりと睡魔に負け、あっさりと意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

翌日の未明。

日も昇らない時間にシドーとリリスは起床し、冥界に行くための準備を始めていた。

「♪~♪~」

リリスはなぜか楽しそうに魔方陣を展開していた。旅の間に娯楽が全くといっていいほどなかったからかもしれない。もう少しリリスが楽しめるところにも行ってあげれば良かったかもしれない。

一歩下がったところからそれを見ていたシドーはそう考えるとため息を吐いた。

「シドー、できた!」

リリスは魔方陣を展開したリリスは『褒めて!』と言わんばかりにシドーを見つめた。シドーは笑みを浮かべながらリリスに近づき、彼女の頭を撫でた。

「よくやったな。早速使いたいが、これは冥界のどこ行きだ?」

シドーが訊くとリリスは首を傾げた。

「どこだろ?」

彼女のものはあくまで見よう見まねだ。細かい座標指定は出来ていない。シドウを助けるためにやったときはとりあえず日本に飛び、後は足で移動していたのだ。それでも速かったのはさすがの一言である。

それを知らないシドーは再びため息を吐いた。

「まぁ、行けばわかるか。それじゃ頼むぜ。リリス」

「わかった!」

リリスは頷くと魔方陣にオーラを込めて起動すると、その中央に立っていた二人を眩い光が包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

光が止むと、空の色が紫になっていた。つまり冥界に到着したのだ。二人が出てきた場所は冥界の森の真ん中だった。

シドーはいつもの通りに周囲の気配を探って安全を確かめるとリリスに言った。

「ありがとうな、リリス。無事に到着出来たみたいだ。で、ここどこだ?」

シドーの質問にリリスは首を傾げるだけだ。シドー自身もなぜこんな質問をしたのか疑問に思ったが、今さらなので気にしないことにした。

「そんじゃ、行くか。適当に歩いていればどこかにつくだろう」

「うん」

二人は頷きあうと、どこかを目指して歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

歩くこと数時間。

シドーとリリスは黙々と冥界の森を歩いていた。別に喧嘩をしたわけではなく、もう話題がないのだ。

そんな二人を5つの影が囲んだが、シドーは慣れた様子でそれを瞬殺すると、リリスをおんぶして歩きだした。だが、

グゥゥ~………。

シドーの耳にリリスの腹の虫の鳴き声が聞こえた。シドーは苦笑しながらリリスを見る。リリスは数時間前のテンションが嘘のように低くなった。

「シドー、お腹すいた」

「確かに、ちゃんとしたものを食べた記憶がないな」

二人は長らく野宿をしている。食べ物は森で獲った獣肉や魚などだ。彼らは琴が振る舞ってくれた料理が懐かしく思えていた。

「とりあえず、あっち行ってみるか」

「……うん」

「大丈夫?」

「……うん」

シドーはリリスを心配しながら歩き出すが、彼の前にある立て札があった。

長々と何かが書いてあるが読めない。

シドーは首をひねりながらしばらく考えると、リリスが心配だし、何かあったらその時に対処するようにして、立て札の横を通りすぎていった。

 

 

 

こうして、シドーとリリスは『タンニーン』の領地に入り込み、後に『D×D』と出会うこととなった。

シドーとリリスの旅はそのまま巻き込まれた戦いの後に終了となり、駒王町の兵藤宅に二人ともお世話になるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 




シドーとリリスの旅は今回で終了ですが、おまけはもう少し続きます。
誤字脱字、アドバイス、感想など、よろしくお願いします。

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