グレモリー家の次男   作:EGO

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Extra life 26 仲間が強いと色々と楽 ②

次の休日。

俺は独り、転移室に来ていた。正確には来させられていた。

理由は、もうわかっていると思うが、あの『アザゼルクエスト』に参加するためだ。アザゼル曰く、幸彦くんが選んだジョブに俺が合致したとのこと。

イッセーを生け贄にしたつもりが、まさかこんな形で関わることになるとは、残念だ。

なんて思っていると、俺の前にある転移魔方陣が輝きだした。どうやら、お仕事開始の時間のようだ。さて、頑張りますかね~っと。

俺は軽い感じで覚悟を決めて、転移魔方陣に乗り、光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

光が晴れると、そこは緑広がる草原だった。広いな~、地平線まで見渡せるぞ。

「シドウさん!なんでシドウさんが!?」

俺の後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。振り向くと、そこには制服姿のイッセーと、シスター服姿のアーシア、軽鎧(ライト・アーマー)に帯刀という姿の幸彦くんがいた。

『一人目のメンバーは、戦士のシドウだ!』

どこからかアザゼルの野郎の声が聞こえた。どこにもいないし、多分別室でニヤニヤしながら、俺たちのことを観察しているのだろう。

「まぁ、そういうことだから、戦士、シドウ・グレモリーだ。よろしく!」

軽く右手を挙げて二人に言う。

「よろしくお願いします!」

幸彦くんが元気よく礼をしてくれた。うん、冒険するなら元気でないとな。

『次に魔法使い!』

アザゼルの声と共に、転移魔方陣が展開され輝きだした。

魔法使いだろ?オカ研メンバーでそれっぽいのは朱乃副部長か、ロスヴァイセか、はたまたリアスか。

なんて思慮していた俺は、すぐにその考えの甘さを痛感した!

「はーい!魔法使いのレヴィアたんでーす☆」

現れたのはセラだったからだ!何やってんだ!?仕事は!?

俺が目を丸くして固まっていると、セラは俺に飛び付いてきた!

「シドォォォォウ!久しぶりぃぃぃぃぃ!」

「ごうはっ!」

突然飛び付いてきたセラに反応できず、そのまま押し倒される俺。すると、

『シドウは500のダメージを受けた』

アザゼルがそんなことを言ってきた!セラの体当たりが地味に強い気がするんだが!?

驚愕しながらも、俺の胸に顔を埋めてくるセラの頭を撫でる。やれやれ、これは、退屈しないだろうな。

俺は一度セラに退いてもらい、立ち上がると、小さく溜め息を吐いた。すると、再び転移魔方陣が展開される。

『最後は………これだ!』

アザゼルが言い終わると同時に、魔方陣が輝き、そこから現れたのは!

「フハハハハ!私は遊び人ことサタンレッドだ!」

「「…………………」」

俺とイッセーは、最後に現れたヒトを見て、目を見開いたまま固まってしまった。

現れたのがサタンレッドの格好をした兄さんだったからだ!また、サタンレンジャーか!って、何やってんだよ!?セラといい、兄さんといい、仕事はどうしたんだよ!眷属に任せてきたのか!?てか『遊び人』!?なんか、アザゼルの人選がベストすぎるだろ!

「幸彦くん!遊び人って、なんで?何で選んだ!?」

「いやー、冒険に遊びも大事かなって」

なんて返してくる幸彦くん!確かに息抜きは大事だよ!でも、こう、他になかったのか!?

「回復職がいない気がするんだけど……」

イッセーが幸彦くんに不安げにそう言うが、

「なんか、こう勢いで押すことも大事だと思うんです!」

幸彦くんは右手でガッツポーズをしながら、そう言った。

俺はイッセーに言う。

「このパーティだったら、ノーダメージでクリア出来ると思うぞ。てか、出来なかったら難易度の問題だ。それに、アーシアがいるから大丈夫だろ」

俺がそう言うと、アザゼルが告げた。

『おっと、アーシアとイッセーは、万が一のデバッカーだ。あまり頼りにするなよ?まぁ、幸彦くんに危険があったら、回復してやるぐらいならいいがな』

なるほど、イッセーとアーシアはあまり頼りに出来ないと。頼ることがあるかも分からないがな。

俺たちがそんなことを話していると、

「あら、サタンレッドじゃないの☆」

「ふふふ、そういうキミこそ、マジカル☆レヴィアたんじゃないか。今日はよろしく頼む。今日の私は遊び人なのだ!」

「私こそ、魔法使いよ☆うふふ、お互い楽しそうなゲームにお呼ばれされちゃったものね☆私、アジュカちゃんのゲームにとても参加してみたかったのよね!」

「全くその通りだ。アジュカの技術もすごいが、ここまでのものを作り上げるアザゼルもなかなかのものだ」

楽しげに話す魔王二人組!

最強の遊び人と最強の魔法使いって、俺の出る幕なくね!?戦士だけど後ろにいろと!?それはそれで切なくなるわ!

『よし、パーティが全員揃ったな。軽く説明するぞ』

さすがはアザゼル。このメンツを揃えただけはある。一切気にしていないぞ!てか、どうやって呼んだ!義姉さんとソーナの目を掻い潜って、どうやって二人を呼んだ!

『説明は簡単だ。今日1日この空間を冒険してくれ。敵を倒してレベルを上げて、最終的に龍王を倒せばゲームクリアだ!』

なんて、説明をしてくるが……。

『ちなみに、初期レベルだが、このゲームのシステムに当てはめると、幸彦くんのレベルが5としたら、戦士は4500、魔法使いと遊び人は5000ぐらいだ。まぁ、システムがまだ完成していないから、適当なんだがな』

なるほど、なるほど。俺は4500ね。普通、レベルマックスって99とかじゃないのか?

「全員が別次元すぎますって!なんですか!?幸彦くんを除いても、最低で4500って!クリア後の隠しボスも一撃で倒せるんじゃないですか!何を求めて旅をしているんですか、このご一行はぁぁぁぁぁっ!」

イッセーの叫びが虚しく草原に響き渡った。いや~、元気でいいねぇ………。

『さぁ、勇者一行よ!龍王を倒して世界に平和をもたらしてくれ!』

アザゼルはそれっぽいことを言って、旅を開始させようとしていた。オープニング的な曲が………。

『アザゼルメグル、アザゼルメグル、アザゼルクエ……』

「黙らっしゃい!」

なんか、やってはいけないことをした気がするが、こうなったら自棄(やけ)だ!とことんやってやるよ!

「勇者よ、今日は共に冒険をしよう!」

「龍王なんて滅ぼしてしまいましょう☆」

「ノーコンティニューで、クリアしてやろうぜ!」

遊び人のサタンレッド、魔法使いのセラ、そして、戦士の俺が、順に勇者の幸彦くんに語りかけると、この子もその気になったのか、十束剣(とつかのつるぎ)を抜き放つと、切っ先を天に向けた。

「はい!俺、勇者として今日は頑張ります!」

勇者の気合いも十分!イッセーは何となくやる気がないようだが、ここまで来たんだ、最後まで付き合ってもらおう。

こうして、俺たち四人(内二人が魔王)の旅が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 




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