てなわけで、無事に二次試験も合格した俺たちは、バスで三次試験の会場に移動していた。
「……死にたいわ」
「……ええ、私もです」
バスの中で項垂れているリアスとソーナ。その二人をそれぞれの眷属が励ましていた。いやはや、仲が良いことで、お兄ちゃん、嬉しいぜ!
そんなことを思っているうちに到着したのは、港近くの廃工場だ。ここで演技力をチェックするとのこと。しにても、試験に本番で使いそうな撮影現場を使うってのも贅沢なもんだ。
何てことを思っていると、物陰から黒いローブを着込んだ女性が複数人現れた。
彼女たちは俺たち、特にセラに殺気を放ちながら、俺たちの眼前に立つ。タイミングと彼女たちから感じるオーラからして魔法使い……つまり。
俺がそこまで考えると同時に、彼女たちのリーダー格と思われる女性が告げてきた。
「私たちは『
デスヨネー。まぁ、来るとは思っていたが、ここまで堂々と来るとは……一般人も多いってのに。つっても、テロリストにそんなもん関係ないか。
「おや?ドッキリ?」
プロデューサーは間抜けな顔で、的はずれなことを口にしていた。一般人からしてみればそうなるよな。で、その一般人を巻き込みたくないので……。
「セラ……頼む」
「任せて☆」
セラはそう言うと指先に魔力を貯めて、一般人に当てていった。当てられた人たちはパタリと倒れ、眠り込んだようだ。
「巻き込んだらかわいそうだから、眠らせたのよ☆」
俺はセラに頷いてリアスたちに指示を出す。
「リアス、ソーナ。おまえらで寝てる人たちを守れ。相手は俺たちがやる」
「わかりましたわ」
「ついでにお姉様も押さえておきます」
二人が頷いたことを確認して、俺は男子三人に言う。
「よっし、男子チーム!行くぜ!」
『はい!』
俺たちは同時に飛び出して魔女を狙いにいくと、俺たちの横を何かが通り過ぎて魔女を吹き飛ばした!見ると、それは金属の塊だった。あり得ないぐらい圧縮されてボールみたいになっているが、多分ドラム缶だったのだろう。そして、この場にそれほどのパワーを持っているのは……。
「悪魔さん、お手伝いするにょ」
ミルたんだ。彼はセラの睡眠魔力が効かなかったようで、平然と俺たちの横についていた。
「それは心強いね。よっしゃ、改めて、行くぜ!」
『は、はい!?』
気にせず続けた俺に、三人は驚きながらも返事を返して再び飛び出した!
「貴様らには用はない!邪魔をするな!」
魔女はそう言いながらこちらに魔法で攻撃してくるが。
「ミルキィィィィィィ・スパイラルゥゥゥゥ・ボォォォォムァァッ!」
ミルたんがその全てを拳で破壊していき。
「ミルキィィィィィィ・サンダァァァァ・クラッシャァァァァッ!」
アスファルトを抉るほどの蹴りで魔女を数人まとめて弾き飛ばした!
「なんだ……この、なんだ、こいつは!?」
「新手の冥界生物か!?」
魔女の皆様も混乱しているようだ。俺たちはその隙に近づいて……。
「オラッ!」
俺は魔力を込めたボディーブローを打ち込み、一人を無力化。
「はぁッ!」
木場自慢のスピードで翻弄すると、刃を潰した聖魔剣を上段から振り下ろして一人を斬り伏せ。
「あらよっと!」
匙はラインで魔女を拘束し。
「『
「きゃぁぁあああああっ!」
イッセーは魔女を丸裸にして鼻血を垂らしていた。
「イッセー、こういうときぐらい自重しろ!」
と、言いながらイッセーに軽くチョップを決める!
後は、五人か!俺がそれを確認したと同時にセラの声が聞こえた。
「シドウ!皆、下がって!」
『ッ!』
俺たちはセラからの指示に従い、一気に後方に下がった。すると、リアスとソーナが全身をプルプルと震わせながら前に出た。その隙に再びカメラを取り出す。
リアスが目元に涙を溜めながらやけくそ気味に叫んだ。
「グレモリースティィィィック!」
胸の飾りからかわいらしいエフェクトを放ちながら、魔法のスティックが出現した!
「シトリースティィィィック!」
ソーナも同じように羞恥心と戦いながら魔法のスティックを出現させた!
セラも同様にスティックを取り出して、リアスとソーナ、そしてその眷属女子たちに掛け声をかけた。
「さぁ、行くわよ、皆!レヴィアビィィィィムッ!」
「リーア・シャイニング・ラブ・ファイヤァァァァッ!」
「ソーナ・ライトニング・アクア・ジャスティィィィスッ!」
セラを中心とした強烈な攻撃、そして眷属たちからの追撃で、撮影現場で大爆発が起こった!しれっとリアスとソーナが攻撃する瞬間に、かわいらしい星マークとかハートマークが撒き散らされている!
「きゃぁぁぁあああああっ!」
魔女たちは回避も防御を出来ずに直撃、倒れていった。
よし、
「キァアアアアアアッ!」
後ろから女子チームの悲鳴が聞こえてきた。何か起こったのかを確認しようと振り向こうとすると……。
「ん?なにご……」
「お兄様!振り返らないでください!後で大変なことになります!」
「うん?ああ、わかった」
リアスに制止され、俺は再び前のみを見るようにする。すると、
「「ぎぁああああっ!」」
激しい爆発と共に、イッセーと匙の断末魔が撮影現場に響き渡った。
多分だが、女子チームの大半が何かの影響で裸になり、それを見た二人が制裁にあったのだろう。
余談だが、オーディションは破算となり、あの場にいたスタッフ含めた一般人たちからは記憶を消させてもらった。
「もう少しで、もう少しで、ミルキーに……」
「まぁ、次に期待しよう」
「「お断りですっ!」」
落ち込むセラを励ましていたら、リアスとソーナから手厳しいことを言われてしまった。まぁ、映像には撮ってあるからいいけどな。
にしても……。
「ミルたん、いったい何者だ?」
ミルたんはあの後、音もなくいなくなっていた。実力は申し分ないと思うが、素性が一切わからん。不思議なやつだった。
ただ、セラが……。
「ミルたんだったわね。あの
何て言ってきたので。
「まぁ、セラの決定に従うさ」
と、返しておいたのだが、内心、ミルたんの底知れない何かに恐怖している俺なのだった。
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魔王領、ルシファー執務室で、彼、サーゼクス・ルシファーは幸せそうな顔で気絶していた。
その横には額に薄く青筋を立てているグレイフィアの姿もあった。
なぜこうなったのかは、もうわかっているかもしれないが、シドウが例の魔法少女姿のリアスの映像を送ったからだ。
後日、シドウは
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