グレモリー家の次男   作:EGO

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Extra life 21 魔法少年シドウ!? ③

なぜか一次審査を突破した、俺、イッセー、木場、匙、そしてその他一般参加の子供たちは、二次試験の会場と思われる広い目の部屋に集められていた。

気配を探ってみたが、セラたちがここを覗いていないようだ。まぁ、下手に動いて失格にはなりたくないのだろう。

俺たちはパイプ椅子に座り、選考員三人とスタッフ数名が座った長テーブルの席に視線を向けていた。てか、俺が先頭列の中央とか、嫌でも注目される位置なんだけど……。

にしても、合格者二十五人の約半数がコスプレ姿だ。選考基準がわからん。

プロデューサーが言う。

「えー、合格おめでとうございます。皆さんの合格理由は我々の映画に対するコンセプトとマッチしていたのです。そうですね、東海林(しようじ)先生?」

振られた先生はロン毛を手で払いながら、キザっぽく言ってくる。

「その通り。僕と監督は今回、今までにないミルキーを作りたいと思っているんだ。そして、そのミルキーを引き立てるスパイスには、この中の誰かの力が必要だと考えた!僕らはキミたちの誰かと新しいミルキーを作り上げたいんだよ。ね、監督?」

振られた監督は不機嫌そうに腕を組み、チョビヒゲをの口元を動かした。

「いいね~」

………え、終わり?「いいね~」だけ?いやいや、意味わからん。何がどう良かったんだよ。

俺がそんなことを思っている間に、二次試験の『面接』が開始された。

呼ばれた少年が立ち上がり、質問に答えながら自分をアピールしていく。皆、趣味とか特技とか、そんな感じのことを言っていき、ついに俺たちの番になってしまった。

 

 

 

プロデューサー「では、あなたの特技は?」

木場「最近ではケーキ作りですね。特にチーズケーキが得意です。それと剣術程度でしたらそれなりに」

監督「いいね~」

 

 

プロデューサー「今回のヒーロー役のオーディションに参加した理由は?」

イッセー「えと、ある人の影響で原作が好きでして、やれるんだったらやりたいなと」

プロデューサー「ところでその籠手は?」

イッセー「はい!これは、俺の相棒です!」

監督「いいね~」

 

 

プロデューサー「あなたも籠手をつけているのですね。って、それ籠手なんですか?」

匙「籠手と言えば籠手ですけど、先程の彼に比べたら変な感じですけどね」

プロデューサー「それはキミの相棒?」

匙「もちろんですよ!俺の右腕で、生涯のパートナーです!」

監督「いいね~」

 

 

 

プロデューサー「あなたは籠手をつけていないんですね……」

シドウ「いやいや、つけてるのが普通みたいに言わないで下さいよ」

プロデューサー「これは失礼。では、あなたの特技は?」

シドウ「モノを斬ったり、(もの)を斬ったり、(もの)を斬ったり……ですね」

プロデューサー「あの……他には?」

シドウ「()いて言えば、色々なところに潜り込むことです」

監督「いいね~」

 

 

 

 

……………と、木場以外明らかにおかしい感じになってしまっていた。周りからの視線が痛いのは今に始まったことじゃないから無視だ!

「今日は何とも個性的な少年(?)ばかりですね~」

「いいねぇ」

プロデューサーと監督が何かの病気だと、俺は思うんだ。いくらなんでもおかしいだろ?今考えてみると俺の返答ってかなりヤバイぞ。

「それでは、合格者を発表いたします」

そんなこんなで二次試験も終了。そして、俺、イッセー、木場、匙、を含んだ数名が合格、三次試験へと駒を進めることとなり、女子のグループが終わるまで待機となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

で、俺たちは案内された待機場所から抜け出して女子のグループを覗き見ていた。もちろんカメラは構えておく。妹の青春の1ページだ、絶対に撮り逃さん!

意気込んでカメラを構えたのはいいのだが、問題は女子のグループに参加している彼(?)だ。

「ミルたんの魔法力を見せてあげるにょ」

そう、ミルたんだ。彼はそう言うと余っていたパイプ椅子を持ち上げた。すると、全身の筋肉が盛り上がり始めた!腕が、背中が、いっそう隆起して膨れ上がっていくなかで、ミルたんはパイプ椅子を易々と折り曲げ、ひしゃげ、形を変えていった!

ベキン!バキッ!

映画のオーディションでは聞くことがないであろう音が会場に響き渡った!

な、何やってんだ、あいつ!

会場の女子たちと、外の俺たちは、驚きながらもミルたんから視線を外せないでいた。そんなことお構い無しにミルたんはパイプ椅子を圧縮し続けていく!しだいに小さく形を変えたパイプ椅子は、ミルたんの両手に収まる程の大きさになっていた。

ぎゅぅぅぅぅぅぅ………っ。

最後におむすびを力強く握るようにして形を整えた。ミルたんの手の中には圧縮され続けたパイプ椅子だったもの、いびつな鉄の球体が収まっていた。

ミルたんは満面の笑みでそれをスタッフに見せつける。

「パイプ椅子を鉄球に変える魔法にょ。魔法力、感じてくれたかにょ?」

あれが魔法力なわけあるか!ただの怪力、筋力だよ!何なんだよ本当に!

「ミルたんの希望は癒し系にょ」

何をどう癒すってんだよ!壊すだろ!何もかも、圧縮粉砕する力だろうが!てか、他の参加者が怖がってるじゃねぇかよ!

「いいね!」

監督が俺たちの時とは段違いのリアクションを見せた!ダメだ、早くどうにかしないと………。

「じゃあ、次はリアス・グレモリーさん」

お、キタキタ。我らがリアスの番だな。さて、カメラを構えましてっと……。

って、リアスのやつ顔を真っ赤にして体を震えてあるんだが、何かあるのか?

見れば、ソーナも体を震わせていた。何だろう、二次試験まで進むなんて思いもしていなくて、セラと変な約束でもしたのか?

現に、セラが期待に満ちた目でリアスを見つめているわけだし、何かしたんだろう。

カメラを写真モードから録画モードに変えておこう。いや~、さすがは冥界。持ち運びやすいのに映像と音まで拾えるなんてな。

モードを切り替えたことを確認して再びリアスの方へとカメラを向けると、リアスが意を決して立ち上がった。

そして、深呼吸をひとつして、声色までかわいくして叫んだ!

「魔法少女リーア!きらめく魔法で極悪怪人をまとめて滅殺しちゃうぞ☆」

リアス……かわいい!そして撮影成功!これは兄さんに送らせてもらうぞ。後で怒られても知ったことか!

俺がそんなことを考えていると、イッセーが言ってきた。

「シドウさん、今の、撮りました?」

「もちろんだ、プロだからな。兄さんもいたら、同じ事をしただろう」

「後で俺にも送ってくれませんか?割りとマジで」

「いいぜ、ついでにソーナのも撮っとくか。匙、後で送ってやろうか?」

俺とイッセーが話終えると、匙に訊いた。

「マジですか!?いや、でも、俺、会長に殺されます」

結構ビクビクしている辺り、本当にソーナは怖いのだろう。まぁ、知ったことじゃないがな。

と、早速ソーナの番だな。では、撮影開始。

「魔法少女ソーナ!まばゆい魔法で凶悪怪人をたくさん消滅させちゃうもん☆」

それを見た、セラと匙は鼻血を噴き出して悶絶していた。撮影成功!後でセラに送ってやろっと。

結局、向こうも俺たちの関係者は全員合格。そして、ミルたんも合格し、俺たち全員で三次試験へと進むことになったのだった。

 

 

 

 

 

 




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