グレモリー家の次男   作:EGO

201 / 265
Extra life 10 甦ってよ不死鳥 ③

ライザーを外に誘い出すことに成功した俺たちは『協力者』を待っていた。

「シドウ様、早速お話を!」

これから起こることも知らずに元気なライザーに、俺はこう返した。

「話すのも良いが、今回は……」

「おまえたち、久しぶりだな」

ズウゥゥゥゥゥンッ!

俺の言葉を遮って到着したのはこの作戦の協力者、タンニーンだ。

「グッドタイミングだ。さて、ライザー。今からおまえには……」

「タ、タ、タ、タタタタタタンニーンッ!最上級悪魔……、で、伝説のドラゴン!シ、シドウ様、こ、これは何事ですか!」

弱音を吐きながら俺に訊いてくるライザー。タンニーンに見つからないように俺の影にに隠れようとしているようにも見える。ビビるなよ、まったく。何度も俺の言葉を遮りやがって……。まぁ、いい。

タンニーンはライザーを視界に捉える。

「ライザー・フェニックスか。レーティングゲームの試合をいくつか見たことがある。将来有望な(キング)として注目していたのだが……。その様子だといささか問題があるようだ」

タンニーンがそこまで言うと、イッセーが事の顛末を説明し始めた。ここに呼ぶときに何て説明したのかは別として、今やることなのか?

「てなわけで、部長。俺はこのヒトを連れて山に修行に行きます」

「戦争で学んだこと『細けぇこたぁ良いんだよ』と『なるようになる』だな。てなわけで、ライザー。山に行くぞ」

「な、何ですとぉぉぉぉ!?」

驚愕するライザーにイッセーが言った。

「ですから、山に行きます」

「い、いやだぁぁぁぁぁっ!」

ライザーは炎の翼を広げて逃げようとするが、俺がライザーの足を掴んで行かせないようにする。

「逃げんな!おまえも男で兄貴だろうが、妹に要らん心配をかけさせるな!」

俺は語気を強めてライザーに言うと、ライザーは諦めたのか翼を消した。同時に俺も手を離してやる。

「お兄様、失礼ですがライザーのことを言えないと思いますよ?」

「リアス、せっかく格好つけたんだから、それは言わないでくれよ」

俺が少しうなだれていると、タンニーンが言った。

「では、行くぞ。おまえたち、俺の背中に乗れ」

俺たちは頷いてタンニーンの背中に飛び乗る。後は出発するだけだが、レイヴェル嬢が俺たちに声をかけてきた。

「私も付いていきますわ!」

付いてくるだと。これから男四人で山に行くのに、そこに女子を連れて行くのか?ちょっと気が引けるな。

困惑する俺たちにレイヴェルは言ってきた。

「兄を……一緒に立ち直らせたいのです!」

決意の眼差し、あれは絶対に引かないな。ライザーよ、良い妹を持ったな。

「りょーかいだ。何かあったらイッセーが守ってやれば良いだろ」

「そうだな。兵藤一誠、おまえが守ってやれ」

俺とタンニーンがそう言うと、イッセーは頷き、レイヴェル嬢に言った。

「わかった、いいぜ。一緒に行こう、レイヴェル」

それを聞いたレイヴェル嬢は嬉しそうに返事をすると、魔力で服装を変えた。テレビとかによく出る探検服、サファリジャケット姿だ。

「イッセー、ライザーとレイヴェルをよろしくね」

「はい、任せてください!」

「お兄様も、イッセーたちをお願いします」

「おう、しっかり引率してやるよ」

俺はリアスに返事を返したところでライザーを見た。

「流れで乗ってしまったが、ド、ドラゴンに乗っているのか………。いや、考えるな考えるな!」

こいつなりに必死に戦っているようだ。関心だな。

「よし、タンニーン。頼む」

「任せろ。どうせ行くなら良いところがある。そこへ行ってみるか?」

タンニーンは俺たちに訊いてきたが、修行にうってつけの場所か。

「ちなみにどこだ」

俺が訊くとタンニーンは少し楽しそうな声音で答えた。

「俺の領地だ」

タンニーンはそう言うと翼を広げて冥界の空へと飛び立った。

 

 

 

 

タンニーンの背に乗ること数分、ようやく修行場所に到着した。俺たちはタンニーンの背から降りて周りを見渡す。

「うわー、すっげー」

イッセーは目の前の光景に呆気に取られていた。

それもそうだろう。俺たちの眼前には、巨大なドラゴンが大量にいるのだから。

現在俺たちがいるのはタンニーンの領地のドラゴン居住区だ。

峡谷の切り立った崖のいたるところに横穴が開いており、そこからドラゴンたちが顔を覗かせていれば、空を飛んで違う横穴へと移動するドラゴンなど、大きさも大小様々なドラゴンが数多く住んでいるように見える。

「ここは俺の領民が住むドラゴンの巣だ。ここにいるだけで全員ではないが、ここより奥は人型の悪魔が生活するには辛いからな。それにこの者たちは意志疎通に言葉を扱えるドラゴンの種族だしな」

タンニーンが親切に説明をしてくれていたが、俺たちの横では……。

「ド、ド、ドラゴン……」

ライザーがげっそりしていた。どんだけドラゴンがイヤなんだよ。

「タンニーン様」

「お呼びですか?」

(あお)い鱗のドラゴンと水色の鱗のドラゴンが一匹ずつ、こちらに来ていた。

「おまえたち、この二匹は俺の配下の高位ドラゴンだ。ライザー・フェニックスをこいつらに頼もうと思っていてな」

そう言うなり、タンニーンは二匹のドラゴンに事情を説明し始めた。

「了解です」

「マジOKっす」

返事をする二匹だが、蒼い鱗のドラゴンが何か軽いぞ。

「ライザー・フェニックス」

タンニーンがライザーを呼ぶと一言告げた。

「このドラゴンの峡谷近辺でおまえの心身を一から叩き直す!」

「……うぅ、何てこった」

パンダこった。てか?ボケてる場合じゃないな。

ライザーは首を横に振りながら顔を両手で覆っていた。男なんだ、腹くくれよ。俺も付き合ってやるから。

俺は登山服を取り出して着替える準備を始める。

そんな俺にイッセーが訊いてきた。

「シドウさん、何やってるんですか?」

「ライザーばっかりにやらせてもつまらないだろ?俺も付き合ってやろうと思ってな」

「そういうことだ、兵藤一誠。おまえもついでに鍛練をやっていけ。まずは走り込みだな」

「ですよねー……」

こうして、ライザー立ち直り作戦が本格始動したのだった。

 

 

 

④に続く………。

 

 

 

 

 

 




誤字脱字、アドバイス、感想など、よろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。