グレモリー家の次男   作:EGO

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Extra life 08 甦ってよ不死鳥 ①

季節は秋、休日なのでダラダラしていた俺は突然鳴ったインターフォンに対応したのだが……。

「はい。どちら様?」

「ご、ごきげんよう」

ドアの奥にいたのは白いレースのワンピースを着た頭の両端を縦ロールにした美少女だ。俺が出てきたことに少し驚いていたが……誰だ?

俺が首を傾げていると奥からイッセーとリアスが出てきた。

「あら、レイヴェルじゃないの。ごきげんよう、突然来るなんてどうかしたの?」

「はい、リアス様。突然の来訪、申し訳ございませんわ」

レイヴェル?レイヴェル……えと……。誰だ?

俺が横で唸っていたせいかリアスが紹介してくれた。

「お兄様。この()はレイヴェル。レイヴェル・フェニックスです」

「フェニックスっていうと、あのフェニックスだよな」

「はい、そのフェニックスです」

なるほど、フェニックス家のお嬢様だったのか、これはしっかり自己紹介しないとな。

俺はレイヴェル嬢に視線を向けて自己紹介をする。

「挨拶が遅れました。グレモリー家次男、シドウ・グレモリーです。以後お見知りおきを」

俺が礼をすると、レイヴェル嬢も口を開いた。

「ご紹介に(あずか)りました、レイヴェル・フェニックスですわ。よろしくお願いいたします」

彼女も上品に礼を返してくれた。来るなら連絡ぐらいしてくれれば良かったのに、お菓子とか何にも準備してないぞ。

俺がどうするか悩んでいると、レイヴェル嬢は恥ずかしそうにもじもじしたあと、意を決したのか口を開いた。

「実は兄のことについてご相談がありまして……」

イッセーとリアスは顔を見合わせたていたが、確かフェニックス家って三男一女、彼女がその一女な訳だが、兄ってどの兄だ?

「とりあえず、上がります?」

「はい、お邪魔します」

てなわけで俺たちはリビングに移動したのだった。

 

 

 

 

リビングに移動して俺は部屋の端を陣取っていた。詳しい話を知らない俺が聞くことでもない、そう思ったのだ。

話をはしょると、問題はフェニックス家の三男、ライザー・フェニックスだ。俺が任務で動き回っていたときに彼とリアスの婚約騒動があったらしいのだが、結婚式にイッセーが殴り込みライザーを撃破したためそれは破談になった。もちろん、それまでに様々なことがあったらしいがざっくり言うとそんな感じらしい。

で、問題はここから。その一件でライザーがふさぎ込んでしまったらしいのだ。かるく半年くらい……。ライザー初めての敗北と同時に女まで連れていかれた。男としてはかなりの挫折になりそうだが、そこは頑張ろうぜ……。

「ライザーか。話には聞いているが……」

「どういう人なの?」

「えーと、フェニックス家の方で……」

面識がないゼノヴィアとイリナにアーシアが軽く説明をし、

「上級悪魔の世界は複雑ですね。けれど、貴族社会に憧れます。……玉の輿(こし)に乗れないかしら」

何かを企んでいるロスヴァイセ。

「……妹自らグレモリー家を訪問……。本当に困っているのかも」

小猫もそう言っていた。実際そうなんだろうがな。

それで、何だかんだでここに来たと。妹には苦労かけたくないね。もう十分すぎるぐらいかけてるけど……。

「……兄の治療に何がいいかいろいろと参考意見を各所に尋ねたところ、リアス様に相談したほうがいいという意見が少なくありませんでした。他の方法を試しても大きな効果もありませんでしたし……」

「私のところ?どういうこと?」

「兄の精神的なところを直すのなら、リアス様の眷属が持つ『根性』を習ったほうがいいのでは?と、意見をいただいたものですから」

それわ聞いたイッセーとリアスは一瞬間の抜けた顔になるが、俺を含めた数人が苦笑いしていた。

だって根性って、それはリアスというよりもイッセーだろ。俺はイッセーに視線を向ける。ゼノヴィアとイリナも同じようにしている。俺たちの中ではやっぱり『根性=イッセー』の方程式が出来上がっているな。

「そういうことなら俺に任せろ、レイヴェル。なんとかしてやるよ」

イッセーが立ち上がりながらそう言った。その事で視線がイッセーに集中したが、あいつは構わずに続けた。

「俺が最終的にやっちまったことだから、立ち直らせるのもやらなきゃいけないと思うんだ。それに『根性』だろ?任せてくれ。根性といえば俺だ。悪魔なのに山ごもりしたりしてるからそういうのには慣れてる」

「いい意味でも悪い意味でも根性の塊だからな、おまえは」

俺が笑いながら言うと、イッセーは頷いた。

「はい!それに、俺にいい考えがあります」

イッセーが珍しく作戦を立てたようだ。まぁ、期待しますかね。

レイヴェル嬢はそれを聞いて明るい表情になっていたが、一度咳払いをしてイッセーに言った。

「し、仕方ありませんわね。それではイッセー様に頼んで差し上げてよ?せいぜい上級悪魔のために励んでくださいな。………い、いちおうお礼を言ってあげますわ」

たぶんだが、この()もイッセーに惚れてるな。リアス、ライバルが増えてるぞ!

そんな俺の心配を知らないリアスは息を吐くと頷いた。

「わかったわ。イッセーを中心にして、ライザー立ち直り作戦ね」

「さて、俺も手伝いますかね」

「お兄様も動くのですか?レヴィアタン様の眷属なのですからこのようなことは……」

俺はリアスの言葉を手で制してこう返した。

「ある意味その婚約騒動は俺のせいでもある。少しは責任とらせろよ。それに戦争を生き残った俺の知恵を見せてやるよ」

俺がそこまで言うとレイヴェル嬢が驚愕しながら言ってきた。

「シドウ様、レヴィアタン様の眷属なのですか!?」

「ああ。あんまり知られてないけどな」

正確には俺が広めないように頼んだんだがな。また任務で動くこともあるだろうから下手に顔を広げたくないってのがある。

レイヴェル嬢がぼそりと言う。

「長男のサーゼクス様がルシファー様、次男のシドウ様がレヴィアタン様の眷属、長女のリアス様は若手四王(ルーキーズ・フォー)。グレモリー家の皆様、何者なのですか?」

「さぁ?」

「ふふ、言われてみるとすごいわね」

俺は適当に返して、リアスは小さく笑っていた。

俺たちはそんな会話をしながら俺たちはライザー立ち直り作戦を実行することになったのだった。

 

 

 

②に続く………。

 

 

 




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