グレモリー家の次男   作:EGO

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Extra life 05 私の一日

私、リアス・グレモリーの朝はとても忙しい。駒王学園に通い始めてからは私が朝食を作ることも多いのだ。

昨日は和食だったから、今日は洋食にしましょうかね。

私がそんな事を思いながらキッチンにつくと、いつもの通りに調理を始める。パンをトースターに入れて焼けるまでにそれ以外の準備を手早く進めていく。

色々な事件に巻き込まれていつも大変だけど、こうしている時だけはリラックス出来るのよね。

一通りの準備を終えると二階から彼が降りてくる。紅髪の髪を寝癖でボサボサにしている彼だ。

「おはよう、シドウ」

「おはようございます。リアス『姉さん』」

朝の挨拶を済ませるとシドウは席について「いただきます」と朝食を食べ始めた。

そんな彼に私は嘆息しながら言う。

「自分の眷属ぐらい起こしてきたらどう?」

「うん?まぁ、食い終わったら……」

シドウはボケッとしながらモグモグとパンを食べていた。

「もう、そんなんだからお父様とお母様に心配させるのよ」

「どうせ俺は戦闘バカですよ……」

シドウは半目になりながらコーヒーを飲んでいる始末。

姉として何か言ってあげたいところだけど、最近諦め始めてるのよね。

そんな事をしているうちにこの家に住んでいるシドウの眷属たちも降りてきた。

「みんなも、おはよう」

私が笑顔で言うと、みんなも「おはようございます」と返して朝食を取り始めた。

私も手早く朝食を取ってからシドウの女王(クイーン)である『彼』に言う。

「さて、会議があるから先に出るわね。朱乃、私の弟を頼むわよ」

「はい、わかりました」

彼はそう言うと微笑んだ。彼が言うなら大丈夫ね。

私は時間を確認すると少しだけ急ぎ足で学校に向かった。

私の朝はいつもこんな感じ、大変だけど、もう慣れたわ。

 

 

 

 

 

 

と、言うわけで学校に到着。今は会議に参加中なのだけど……。

「リアス先生、ちょっと体調が……」

「逃がしませんよ、アザゼル」

逃げようとした『女性教諭』のアザゼルを捕まえる。彼女はいつもこうだ。変なところが抜けていると言うか……。

「そうです。たまには最後まで参加してください」

半目で彼女に言うのが『男性教諭』のロスヴァイセ、彼が一番真面目に思えるわ。相変わらずカッコいい……。っと、会議に集中しないと。

そんな事をしながら、今日の仕事は進んでいったのだった。

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで部活の時間。今日は私が担当なので彼らの会議に耳を傾ける。

オカルト研究部は部員のほとんどが『男子』なので女子である裕美の事を気をつかっているのだけど、あの子にはイッセーがいるからね……。シドウも恋人探せばいいのにね、私も人のこと言えないけど……。何か切なくなってきたわ………!

私が一人であれこれ考えていると。

ガギャン!

盛大な音が部室に響き渡った!見ると大柄な男性悪魔の大猫殿がイッセーにバックドロップをしていた!そのイッセーは裕美に介抱されているけれど……。

「まったく、すぐに手を出すのはあなたたちの悪い癖ね。戦闘中ならまだしも、ここは学校なのよ?」

私が言うと、シドウは嘆息した。

()られる前に()る!これが俺の座右(ざゆう)(めい)だ!」

なぜかシドウはドヤ顔しながら言ってきた。やっぱり旧魔王派への潜入任務を受けなきゃ良かったのかしら?そうすれば彼をもう少し貴族らしく出来たかかもしれないわ。

私はシドウに近づくと割りと本気で彼の頬を引っ張る。

「どうしてあなたはこう……お姉様に似て単純に物を考えるのかしら?」

彼は涙目になりながら言ってきた。

ほれが(それが)りゃく()だからだ!」

「シドォォォォウ!」

私は怒気を込めて彼の頬を引っ張る!もう手加減しないわ!

ひたい(痛い)ひたい(痛い)ねーさん(姉さん)ゆるひて(許して)くれぇぇぇ!」

「今度という今度はぁぁぁぁぁ!」

私がシドウを攻撃していると朱乃が止めに入ってきた。

「リアスさん!シドウの頬が千切れます!手加減してあげてください!」

「朱乃!?」

朱乃の言葉にシドウは驚愕していた。それもそうよね、彼は『手加減して』と言っただけで『止めて』とは言ってないのだから。まぁ、いい加減止めてあげましょう。

私は手を離してシドウを睨む。

「今度しっかり教育してあげるから覚悟してなさい」

「はい……」

シドウは頬を擦りながら返事をしてくれた。これで良しと。後は……。

「文化祭は喫茶店をやるんでしょ?女手が足りてないけれど、どうする気なの?」

私が訊くと、全員が悩み始めてしまった。最悪の場合はあのマッドサイエンティスト(アザゼル総督)を頼ることにするけれど……。

私がそんな事を考えてしまったからなのか、アザゼルが部室のドアを勢いよく開けて入ってきた。

「その話!乗ったわよ!」

「ちょ、ちょっと、アザゼル先生!待ってくださいよ!まったくこの人は……」

少し遅れてロスヴァイセも入室してきた。毎回苦労かけます……。

私はアザゼルに訊く。

「それで、どうするつもりなの?」

「ふふ、これを見なさい!」

アザゼルは白衣からスイッチを取り出すと、それを押した。すると……。

ウイーン。

部室の床の一部が開いて何かの台が出てきた。その台の上には銃のようなものが乗っているようね。また勝手なことを……。

アザゼルはその銃を持って構えた。

「これは性転換ビーム銃よ!これに撃たれると性別が逆転するわ!」

『おおっ』

オカルト研究部の男子が彼女に拍手を送っているわ。これだから男は……。

「百聞は一見にしかず。とりあえず……えーい!」

突然私に撃ってきたアザゼル。私はマト○ックスのように上体を後ろに反らしてそれを避けると、私の後ろにいた朱乃に直撃してしまったわ。私の胸に当たるかと思った……。

私は態勢を整えると、朱乃が私よりも胸が大きい女性に!

大和撫子(やまとなでしこ)って言うのかしら?どっちにしてもキレイだわ!

「あ、朱乃……。お、おまえ、すごい美人になってしまっているぞ……」

シドウは頬を赤くしながらそう告げているけれど、私も男で彼女がいなかったら、彼と同じになっていたかもしれないわ。

朱乃は口調を上品に調整してみんなに笑顔を振りまいていた。なんか、平和ね。

「それじゃ、リアス!次はおまえだ!」

アザゼルはそう言うと私にビームを当ててきたの!何で私!?私が驚いている隙に放たれたビームは、まっすぐ私に当たり、私を光が包み込んでいった……。

 

 

 

 

 

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僕、ギャスパーは驚ろいていました。起きてみたら僕の友人全員の性別が逆になっていたんです。けど、それ以上に驚いたのは、リアス部長とシドウ先生が逆になっていることです!最初は兄妹でイタズラをしているのかなって思いましたが、同じクラスのみんなもそれを見ても普通にしているようなのでお二人は本当に逆になっているようでした。

そのリアス先生にアザゼル先生が例のビームを当てると、リアス先生は光に包まれました。しばらくすると、体型がガッシリしていき、胸が引っ込んでいきました。光が止むとそこにいたのは……。

「アザゼル、いきなり何をするの!ビックリするじゃない!」

口調はそのままのシドウ先生でした。シドウ先生は怒りながらアザゼル先生に抗議しています。部室にシドウ先生が二人いますよ。

シドウ部長が席から立ち上がりながら言いました。

「姉さんが俺になったぞ!?アザゼル先生!何がどうなってる!?」

結構狼狽えてますね。シドウ先生の顔と声でここまでされるとなぜか笑えてきます。

シドウ部長にアザゼル先生が返しました。

「うーむ。まぁ、二人の性別が逆転するとそういうことなんでしょ」

適当に返すアザゼル先生でしたが、光線銃をシドウ部長に渡すと僕に訊いてきました。

「……おまえ、男のままなのか?ていうか、リアス先生を男にしたときにあんまり反応しなかったよな。記憶もそのままか?」

「えと、それはつまり……」

「俺の実験が失敗した。この世界の性別が逆転しちまったんだよ。記憶含めてな。しかも、俺まで……」

「ま、待ってください。イッセー先輩は普通ですよね?」

僕が訊くと、アザゼル先生は顎に手をやってこう言いました。

「あいつは赤龍帝だからな、効果がなかったのかもしれん」

「じゃ、リアス部長とシドウ先生は?」

「多分だが、体と共に名前も変わっちまったんだろ。うん、そうだ。そうに違いない」

アザゼル先生はうんうんと頷いていますが、結構大変な状況ですよね!?

「どうするんですか?元にもどせるんですよね!?」

僕が訊くと、アザゼル先生は誤魔化すように笑いました。

「対策はこれから考える。今はこの世界を楽しめ」

そ、そんなぁぁぁぁ!急に楽しめと言われても困りますよぉぉぉぉ!

僕がオロオロしていると、シドウ部長の声が聞こえました。

「ギャスパー、いつまで話してんだ。準備はいいか、いくぞ?」

シドウ部長は楽しそうな笑みを浮かべて光線銃の照準を僕に………。

 

 

 

 

 

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この事件を覚えている者はほとんどいない。覚えているのはギャスパーとアザゼルぐらいのものだ。彼らはこれを誰かに言うことはないだろうし、言う気もないだろう。それほどまでにギャスパーにとっては思い出したくはないものだのだ。アザゼルにとっても、自分が女になったなんて事を誰かに言いたくもないだろう。

だが、アザゼルは懲りずに性転換光線銃の製作に精を出して、ギャスパーの傷を抉っていった。だが、その時『は』無事に成功したそうである。

 

 

 

 

 

 

 




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