グレモリー家の次男   作:EGO

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Extra life 03 楽しい(?)グレモリー一家 ②

あれから数日、俺、シドウは例のあれを見届けるためにグレモリー領の遺跡に来ていた。正確には遺跡の近くの岩場だがな。別にそれは問題ないのだが……。

「何でセラがいるんだよ」

「良いじゃない。サーゼクスちゃんには許可をもらってるわ☆」

何て言いながら横チョキをしてくれる魔王様。緊張感がないなまったく。

「アジュカちゃんとファルビーもいるのに何で二人には言わないのよ」

「お二人に強く言える立場じゃないからだ」

その二人は奥にいるんだがね。何か準備があるんだとか。

「てか、これから何をするんだ?案内役なら兄さんと義姉さんだけで十分だろ?」

俺が訊くと、セラはイタズラを思いついた子供っぽい笑みを向けてきた。

「それは、ひ・み・つ・よ☆」

俺とセラが喋っていると、魔王様三人と義姉さんが奥から戻ってきた。

兄さんが言う。

「さて、五人とも来てくれてありがとう。これからリアスとイッセーくんの儀式を執り行うのだが、みんなにはそれぞれのセクションで監督役をしてほしいんだ」

「監督役、何で俺も?」

俺が訊くと兄さんは笑みを浮かべてこう返した。

「シドウも、兄として妹の儀式突破を見届けたいだろう?」

「うん、まぁ、そうだな。で、魔王様全員集合の意味は?」

俺が再び訊くと、兄さんは魔法陣を通して何かを取り出した。それを見せつけながら笑顔で言う。

「これをするためさ!」

俺たちに見せつけたのは戦隊ヒーローのスーツ?

「皆には魔王戦隊サタレンジャーとして……」

「「嫌だ(です)」」

俺と義姉さんが同時に言った。何で百歳越えてからコスプレをしなくちゃならないんだよ!

「ポーズも考えてある。ミリキャスがノリノリで考えてくれたよ」

ミリキャスもぐるなのかよ!息子の前でよく出来たな!

「はぁ………」

俺が兄と甥っ子のフリーダムっぷりに頭に手をやっていると、兄さんがスーツを配り始めた。

ブルーがアジュカ様、グリーンがファルビウム様、ピンクがセラ、イエローは義姉さん、赤が兄さんか。で、俺は……。

「黒っすか」

黒いスーツを渡された。うん、黒か。

「シドウらしくて良いと思ったんだ」

兄さんの脳内では『俺=黒』の方程式があるようだ。

「受け取ったからには着てくれ、二人とも」

「「……はぁ………」」

俺と義姉さんは同時に溜め息を吐いた。任務の時に比べれば命懸けではないが、精神的に何かキツイものがある。

俺は義姉さんに視線をやり、頷いた。向こうも頷き返すと奥に消えていく。セラもそれに、ついていった。満面の笑みで……。

「よし、早速着替えよう。リアスたちが到着するまで時間がない」

「りょーかい」

俺は渋々頷いて着替え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

はい、着替え終了。魔王様方も着替え終わったようだ。奥からもセラと義姉さんが戻ってきた。

それを確認した兄さんが言う。

「よし、ピンクとイエローも戻ってきた。それでは作戦を確認しよう」

「作戦って、担当セクションを確認するだけじゃないのか?」

俺が言うと、兄さんは首を横に振った。

「それもあるが、それよりも大事なことがある」

仮面越しで表情はわからないが、スゴイ真面目な顔をしていることだろう。で、確認することってのは多分。

「それぞれのポーズを確認する!」

「はぁ………」

俺は再び溜め息を吐いた。溜め息を吐くと幸運が逃げると言うが、とっくに運を使い果たしていると思うんだ。それにしても、俺とセラがやったときはみんな真面目だったのに、俺がいない十年間に何があった。

……ここまで来たら吹っ切った方がいいのかもな。

俺たちはその後、一時間をかけてポーズを体に叩き込んだのである。

 

 

 

 

 

「さて、時間だ。行くぞみんな!」

「「「おー!」」」

「おー……」

「……はぁ」

兄さんの号令に元気に返す俺、セラ、アジュカ様。やる気なさげに返したファルビウム様。溜め息を吐いた義姉さん。俺に関してはやけくそである。リアスたちに引かれなければ良いんだけどな……。

 

 

 

 

 

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俺、兵藤一誠は部長と共にある遺跡に来ていた。全体的に豪華な創りの神殿で、破損箇所も特にないように思える。

「ふぅ……。事を急に進めてこの子に嫌われたらどうするのよ……」

俺の隣で深い溜め息を吐く部長。かける言葉を探しているときだった。

「とう!」

謎の声!見上げればそこには!

空高くで何かがキラリと光り、何かが落下してきていた!敵か!?身構える俺の前に、仮面と特撮衣装みたいなものに身を包んだ者たちが降ってきた!

えっと……六人!スゴイ格好してるけど、何者なんだ!

その六人組は着地を決めるとポージングを決めた!

ドォォォォォォォォン!

彼らの後ろで謎の爆発が起こり、カラフルな煙が上がる!

「な、何者?」

部長も警戒していた。まぁ、明らかな不審者ですもんね!

真ん中に赤い衣装の人がポージングをしながら叫んだ!

「ふはははは!我こそは謎の魔王……」

スパン!

黄色の人がハリセンで赤い人を殴る。今の声は……。

「すまんすまん。コホン。改めて!我らは魔王戦隊サタンレンジャー!私はリーダーのサタンレッド!」

「同じくサタンブルー」

「めんどいけど、サタングリーン」

「レヴィ……」

スパン!

何かを言おうとしたピンクの人を黒い人がハリセンで殴った。『レヴィ』ってまさか!

「サタンピンクよ☆」

サタンピンクは気にせずに続けていた。それでいいのか……。

「……はぁ、えーと、サタンイエローです」

「サタンブラック!」

な ん だ こ れ は……。てか魔王戦隊ってことは、魔王様方なのか!?声は聞いたことないからわからないけど、圧倒的なオーラだけは感じ取れる。もしかしてイエローがグレイフィアさんで、ブラックはシドウさんなのか!?

冥界は平和です!おっぱいドラゴンが流行るわけだよ!魔王様が軽すぎるよ!

「ぶ、部長、ど、どうします?」

部長に訊ねてみる。お兄さん二人とお義姉さんがこれじゃ、さすがに部長も……。

「な、何者かしら……。強大な魔力を感じるわ」

……気づいてねぇぇぇぇぇ!

部長、気づいてください!お兄さんたちですよ!特にノリノリな二人がお兄さんです!そして若干恥ずかしそうにしているイエローがお義姉さんです!

俺たちを見て、サーゼクス様……サタンレッドが言う。

「我々はグレモリー家に雇われたのだ。この遺跡には三つの試練が待ち受けている。それを二人の力で突破してもらいたい。大事なのはコンビネーション!」

レッドが説明中にブラックが何かを指差した。

「謎の飛行物体発見!」

「なに!一斉攻撃だ!『滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクステンション)

「『覇軍の方程式(カンカラー・フォーミュラ)』、業の式!」

「『零と雫と霧雪(セルシウス・クロス・トリガー)』!」

「アスモデウス的な攻撃ぃ」

「えーと、いちおう、イエローショットで」

「『滅びの凶刃(クリムゾン・ファング)』!」

ドォォォォォォォォン!

かつて見たことがないほどの大爆発が巻き起こった。魔王様とその眷属二人による同時攻撃の余波は山岳地帯を大きく揺らし、空気を震動させ、森林の動物たちに悲鳴を上げさせた。

空が割れて不気味な次元の狭間らしきものが広がっていく……。オーロラまで起きてますよ。

「ただの悪霊じゃないか、驚かすな、ブラック」

「うん、問題をすぐに報告する癖が抜けきっていないようだ」

「そうか、なら仕方ない」

納得するレッド。そんな理由で良いんですか!?てか魔王様の一斉攻撃を受けるって悪霊がかわいそうです!

「さぁ、我々が試練を受け持つ!グレモリーの未来を担う二人よ!見事、三つの試練を越えてみせるのだ!我々は先に各セクションで待っているぞ!」

レッドがそう言うとサタンレンジャーは遺跡に入っていった。上の景色にはノーリアクションですか、そうですか。

俺と部長は息を吐くと、頷きあって遺跡に入っていった。

 

 

 

③に続く……

 

 

 

 




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