俺、シドウとセラはのんびり寝ること数時間。ようやく目を覚ました。相変わらず裸だがな。
「おはよう、セラ」
「にゅ~」
俺がお目覚めの言葉を向けると、寝ぼけて抱きついてきた。セラの体、本当に柔らかいなぁ~。はっ!俺は何を考えているんだ!?
「セラ、起きろー!朝だぞー!」
俺は少し声を大きめにすると、セラの目が開いた。
セラはジーッと俺を見つめてくる。何をしろと?
「眠気覚ましにキスして」
セラがいつになく大胆になっている。なぜだ?やっぱり経験するとしないとでは、何か差ができるのか?
俺は一瞬だけ固まったが、すぐに持ち直してセラの肩に手を置き、ゆっくりと顔を近づける。セラもニコニコ顔だったが、真剣な顔になっていた。
俺とセラの唇が重なろうとした瞬間、ドアが吹き飛んだ。……吹き飛んだ!?
俺は咄嗟にセラから離れた。セラはショックを受けている。というよりは、邪魔されて不機嫌になっていた。
「シドウさん、いつまで寝てるんですか?」
「シドー、起きた?」
ドアを吹き飛ばして入ってきたのはロセもリリスだった。多分だが、手を前に突き出しているリリスがドアを吹き飛ばしたのだろう。
「ああ、おかげさんで目が覚めたよ」
「それは良かっ………」
なぜか言葉を切るロセ。彼女の目は、俺とセラを交互に見ていた。
「お、お二人とも!?ふ、服を着てください!」
ロセが顔を真っ赤にしながら言ってきた。まぁ、俺もセラも裸だからな。
「シドーの裸、見るの初めて?」
リリスがロセに聞いていたが、上半身裸なら、二回はあったはずだ。天界で一回、先日の闘技場で一回。うん、二回だ。
「リリスちゃん!意地悪な質問しないでください!」
ロセは顔を真っ赤にしたまま、リリスに言っていたが、リリスは首を傾げていた。仲良しなようで何よりです。
「ねぇねぇ、シドウ」
「うん?」
チュ…………。
セラに呼ばれて振り向いてみれば、キスをされた。な、何かデジャブを感じるな。
「な、なななななに、何をやってるだぁぁぁぁぁぁ!」
ロセが方言全開で叫んだ。今日の冥界は平和です。
それから、何とかロセを落ち着かせ、朝食を済ませると、リアスたちと軽く話し合いをしていた。
「シドウお兄様。どうします?」
リアスの言葉に俺は割りと真剣に考えていた。議題は『教師に復帰するかどうか』だ。トライヘキサとの決戦で、俺は戦死扱い(今は取り消された)になっていたため、表向きは故郷で問題が起こったため(ある意味間違いではなかったが)、無期限で日本を離れることになった。ということになっているらしいのだが、こうして色々と終わらせた訳だ。戻っても良い気がするが、戻るにもタイミングが悪い。このまま昔みたいに、セラや兄さんのため、冥界の任務をこなしていくのも良いのではと思っているほどだ。
「どうしたもんかな?」
俺があごに手を当てて悩んでいると、イッセーが言った。
「シドウさん!戻ってきてください!シドウさん、結構人気あったんですから、皆もきっと喜びます!」
イッセーが言うが、俺って結構人気あったんだな。
「私も戻ってきてほしいです!」
「ああ、私もだ」
「私も私も!」
教会三人娘も言ってくれていた。う~む、戻ろうかな?
すると、俺の左手を誰かが握った。ロセだ。
ロセは頬を赤くしながら言った。
「わ、私は……またシドウさんと、お仕事がしたいです!」
ロセはぎゅっと俺の手を握る手に力を込めた。
すると、セラが笑顔で言った。
「シドウ、
うん、セラには全部お見通しか。何年か、俺も少し休むとするか。
「わかった。それじゃあ、戻らせてもらう。リアス、手配よろしく」
俺が笑顔で言うと、リアスは狼狽えた。
「わ、私がやるんですか!?」
「あそこの代表はリアスだろ。だからリアスがやってくれ」
「は、はい。わかりました」
リアスは頷いてくれた。
「つっても、
当たり前のことではあるが、一応言っておいた。
「お兄様らしいです」
「シドウならそう言うと思ったわ」
「動くのは良いんですけど、無理はしないでくださいね」
リアス、セラ、ロセが言った。まぁ、そういうなよ。
「そっちに行くのは……来学期からで良いか?タイミング的に、今は中途半端だからな」
「わかりました。それまでに手配を済ませておきます」
来学期だから………三ヶ月くらい先か?俺も準備をするだけしちゃわないと。
「そういうことなんで、またよろしく頼む」
『はい!』
うん、良い返事だ。
「あ、そうだ。ロセ、一つ頼み事をしていいか?」
俺が訊くと、ロセは一瞬固まった。俺から何かを頼むなんてなかなかしない事だからな。
「えっと……何でしょうか?」
「おう!俺に『北欧の攻撃魔術』を教えてくれ」
「……北欧のですか?」
訊き返してきたロセに、俺は頷く。
「そそ。色々あって俺の魔力がだいぶ変異しちまったからな。滅びがないなら、他で補うしかない」
「わかりました。何か良い教本があればいいのですが……」
ロセは真剣に考え始めていた。無理は承知だったけど、大丈夫そうだ。
「教師に戻るって言っておいて、戦う準備は欠かさないのね」
セラが言うが、万が一に備えての準備は大事だからな。
「そんじゃ、俺は行くかね。何かアザゼルに呼ばれたんでな」
「そうなんですか?」
「いい加減、斬魔刀を返してもらわないといけないし、何か、俺がいないと調べられない事があるんだとさ」
俺はイッセーの質問に返すと、立ち上がる。が、別の問題にぶち当たった。
「またイッセー宅にお世話に……いや、家は別にするか?何か迷惑かけまくってるし」
「いや、別に大丈夫だと思いますよ?父さんも母さんも心配してましたし」
「そうか?まぁ、詳しくは後で決めよう。とりあえず、いってくる」
俺はそう言うと、転移室まで移動した。
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