俺が真っ先に飛び出し、リゼヴィムに斬りかかる。
リゼヴィムは白羽取りの要領でそれを止めるが、ゼノヴィアが背後に回り込みリゼヴィムを斬ろうとする。するとリゼヴィムが翼を生やし、その翼でゼノヴィアの攻撃を受け止めた!その瞬間、リゼヴィムが俺に膝蹴りを決め、翼でゼノヴィアを弾き、態勢を崩させる。リゼヴィムは俺とゼノヴィアに手を向け、オーラを込めると、すぐに放ってきた!
俺はバク転の要領で避け、ゼノヴィアも体を無理やり捻ってどうにか避けていた。俺はちょっとかすったようで服の腹から胸にかけて破れていた。
次に向かっていったのはヴァーリチームの、アーサーと美猴が向かっていった。アーサーの連続攻撃と、美猴のトリッキーな動きで撹乱するが、リゼヴィムはその全てを見切り、二人に反撃していった。二人もそれを避けていくが、服や破れている。掠めているようだ。
二人を援護しようと、リアス、朱乃、ロスヴァイセ、ルフェイ、黒歌、グレイフィアが魔法で攻撃を始めていた。
同時に兵藤が木場に剣を渡していた。聞いた話では、リゼヴィムはある能力を持っていて、
魔法攻撃の雨を、翼を盾の代わりにするようにして防いでいるリゼヴィム。逆に言えば、今は動けないということだ。
俺は剣を持った木場と、持ち直したゼノヴィア、そしてイリナに目で合図し、魔法攻撃を避けながら一気にリゼヴィムに接近する。木場、ゼノヴィア、イリナも別の場所からリゼヴィムに接近していた。
魔法攻撃を、翼を大きく動かすことで掻き消し、風圧が俺たちを襲うが、怯まずにリゼヴィムに突っ込んでいく。
四人同時の攻撃を、リゼヴィムは嬉々として飛び上がり、空中でそれを受け入れる態勢になった。
俺たちも翼を生やし、リゼヴィムに斬りかかるが、いくら斬っても、リゼヴィムは避け、時には魔力を込めた両手両足で防ぐ。俺たちの速度が足りていないのか、リゼヴィムが化け物なのかの、もしくはその両方だ。
すると、俺たちに赤い鎧が加勢する。兵藤だ。彼は透化と呼ばれる能力があり、それでリゼヴィムにも攻撃することが出来るそうだ。
「赤龍帝も来るか!楽しい極まりないね!」
リゼヴィムは心底楽しそうに笑っていた。そんな余裕があるというのも、ムカつく。
俺たちは攻撃速度を上げ、リゼヴィムに攻撃していく。
すると、リゼヴィムが突然全身からオーラを放ち、俺たちを吹き飛ばした。
俺たちは吹き飛ばされるが、素早く態勢を整える。俺は一度着地する。そして、リゼヴィムを見ると、頬に赤い一筋の線が出来ていた。そこから赤い液体が流れ出る。つまり、誰かの攻撃が当たったということだ。
「この痛みは、聖剣とはまた違うけどかなり効く。何だこれ?」
聖剣とはまた違うってことは、俺の刀が掠めたようだ。この刀、名前もないんだが。悪魔殺しの力でもあるのか?
そこにデュリオが氷の塊を飛ばすが、リゼヴィムに当たると、儚く砕け散った。
デュリオは肩をすくめた。
「やっぱりダメか。今回俺は活躍できないかな」
デュリオの力も
「うーん、何だろ。気になるなぁ。その刀、しっかり調べた方がいいかも。てなわけで」
リゼヴィムはそう言うと、消えた!のではなく、俺の背後に回っただけだな!
俺は振り返り、リゼヴィムの腹に拳をぶち当てた!
「まずは一発だ」
「これがパンチとか、笑わせないでよ」
リゼヴィムはそう言うと、右手で裏拳を放ち、俺の右頬を叩いた!その衝撃で体を横に回転させながら吹き飛ばされる。刀は離さないがな!
俺は勢いのまま地面を転がると、素早く立ち上がる。
「うーん。知る知らない以前に、当たらなければいいか」
リゼヴィムはそう言うと、笑みを浮かべた。何かよくわからないが、当たれば大ダメージってことか?
すると、リゼヴィムに絶大な殺気が放たれた。リゼヴィムはそれを受けていっそう醜悪な笑みを浮かべた。
「お目覚めですかな?魔王様?」
挑発するようにリゼヴィムが言うと、ある一点に視線を向けた。
そこには治療が終わったサーゼクスがいた。殺気を放ち、リゼヴィムを睨んでいる。横のアーシアがかわいそうである。
「全て終わらせよう。今日、ここで」
サーゼクスが宣言すると、リゼヴィムは笑んだ。
「ルシファーの名でも賭けちゃう?ねぇ、ヴァーリちゃんもどうよ?」
話を振られたヴァーリは、何かをボソボソと言っていた。それが終わると同時に、鎧が変化していった。
色が黒と白銀に変わり、少し有機的な形になる。
あれはコキュートスでリゼヴィムに使ったもの。『魔王化』だったな。ヴァーリは切り札を使うのか。
サーゼクスもアーシアを下がらせると、滅びを見に纏い始めた。俺たちを強い揺れが襲うが、どうにか踏ん張る。
サーゼクスが完全に滅びを纏い、リゼヴィムを睨んだ。
「いいねぇ。そうこなくっちゃ」
リゼヴィムは笑みを絶やさず、二人を見ていた。
同時にサーゼクスとヴァーリが飛び出し、リゼヴィムは手招きして挑発しているように見える。
サーゼクスの拳とヴァーリの拳を、リゼヴィムは障壁を作り出すことで防いだ!激しい衝撃が俺たちを襲った!
余波でも痛いって何なんだよ!?
そのまま三人の戦闘が始まり、激しくなっていった。
他の追従を許さない戦闘だが、少しだが、サーゼクスとヴァーリご押されているように見える。サーゼクスの滅びの拳はあまり効果がなく、ヴァーリの拳もまた、強い効果を出せていない。サーゼクスの滅びは魔力で、ヴァーリの拳は例の能力で弱めているのかもしれない。
二人が吹き飛ばされると同時に、俺は刀を上段に構えてリゼヴィムに斬りかかる!
また白羽取りをしようと構えるリゼヴィムだが、俺は刀を振り下ろすと見せかけ、横凪ぎに振った!
リゼヴィムは咄嗟に手を引っ込めるが、刀は腕に掠める。
リゼヴィムな表情は苦痛に満ちていた。掠めただけでそんなに痛いのか、これ。
リゼヴィムは後ろに飛び退き、息を整えていた。
「本当に何なんだよ!?聖剣でもねぇただの刀が、なんでこんなに
リゼヴィムが悪態をついているが、俺は澄まし顔で言う。
「そんなこと、俺が知るか」
リゼヴィムはぶちギレそうな顔になっている。いや、マジでキレてるなあれは。
見ると、アーシアがサーゼクスとヴァーリに回復のオーラを飛ばしていた。何でアーシアには手を出さないんだ?トラウマでもあるのか?
「まぁいい。その刀、へし折ってやる!」
リゼヴィムはオーラを更に高めていっていた。
サーゼクスが滅びの球体を飛ばし、ヴァーリがリゼヴィムに接近した。今度は前衛、後衛に別れたようだ。
ヴァーリの拳を体さばきだけで避け、サーゼクスの球体には魔力弾を当て、相殺していた。
サーゼクスの球体が全て消されると、リアスたちからの砲撃が放たれた!リゼヴィムは翼で体を包み込むことで防ぐ。
攻めきれない、どうすればいい?
ヴァーリは再びリゼヴィムに向かい、イッセーもそれに続き、拳を放っていた。だが、全て避けられている。
それ以外のメンバーもどうすればいいのか、迷っているようだ。
このままでは消耗するだけ、長期戦になれば負ける。
俺はリゼヴィムに接近しようとする。だが、その瞬間、突然力が抜け、息苦しくなった!な、何だ!?
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俺、兵藤一誠はリゼヴィムに拳を放っていた。『龍神化』して、ヴァーリと二人でやれば……でも、前にリゼヴィムを倒した時みたいに長時間は出来ない。今は長くて十秒、短すぎて話にならない!
俺が焦っていると、リゼヴィムが距離を取り、下を見た。
俺も釣られて見てみると、シドーさんが刀を落とし、膝をついて息を荒くしていた!?な、何で!?
『この気配ッ!グレンデルか!?』
ドライグが叫んだ。グ、グレンデルって、どういうことだよ!?
『グレンデルの魂は消えていなかったのか……そうか!』
何かわかったのか!教えてくれ!
俺がドライグに訊いた矢先に、リゼヴィムが言った。
「そうか、シドーちゃんの体には、グレンデルの魂も……だから中途半端な再生しかできなかったのか」
「どういう意味だ!」
俺が問うと、リゼヴィムは真剣な顔になっていた。
「シドーがなぜ死んだのかは聞いてるよ。その時にレプリカのブーステッド・ギアにグレンデルの宝玉を入れたことも。神々の攻撃を受ければ魂もろとも消えてなくなる。だが、彼は肉体を戻せるだけの魂は残っていた。それが何故か。キミにわかるかい?……答えは簡単だよ。シドウとグレンデルの魂が混ざったんだ。そうすれば、肉体があそこまで変化したことも頷ける」
えっと、つまり?
『シドウ・グレモリーの魂の半分と、グレンデルの魂の半分を使って肉体を再生させたんだろう。おまえは先代が盾になってくれたから魂は無事だった。だが、シドウ・グレモリーにも、グレンデルにも、その盾がなかった。結果、お互いの魂の半分が消え、それを補いあうことで『シドー』として復活した。という感じか』
説明はありがたいけど、つまり、
シドウさん+グレンデル=シドーさん
で良いのか?
『ああ、そんなところだろう。火傷の跡は、再生しきれなかったのかもな。だが、今はグレンデルが目覚めそうになっているようだ』
それってヤバイんじゃ……。
『シドウ・グレモリーはただの悪魔だ。だが、グレンデルは邪龍だぞ?魂までしぶといのは当然だ』
今になってああなったのは?何でだ?
『少しは自分で考えて欲しいが、おそらく
俺たちも、リゼヴィムも攻撃の手を止め、シドーさんを見ていた。
苦しそうに胸を押さえ、仰向けに倒れ、先程よりも息を荒くしている。もしかして、シドウさんは戦ってるのかな?
俺がそう考えていると、ロスヴァイセさんが叫んだ。
「シドウさん!あなたは強いヒトです!グレンデルに負けないでください!」
ロスヴァイセさんはリゼヴィムの発言で何となく理解出来ているようだ。
『おまえの理解が悪いだけかもだがな』
うるせぇ!バカでもバカなりに頑張ってんだよ!
「シドウ兄様!負けてはいけません!」
「シドウ!」
リアスとサーゼクス様が叫んでいた。シドーさんは仰向けのまま、苦しそうに胸を抑えているが、少し笑みを浮かべた。
「……惚れた女と、兄妹に言われたら、頑張るしかない……かな」
……え?今、何て?惚れた女と兄妹って、まさか!
俺は試しに声をかける。
「シドーさん!」
「シドウだ!発音が違う!」
シドウさんは苦しそうに返してくれた!やった、記憶が戻った!
俺たちが笑みを浮かべていると、リゼヴィムは嘆息した。そして、懐から何かを取り出した。あれは、宝玉?
「グレンデルが苦戦しているようだ。手伝ってやろう」
リゼヴィムはそう言うと、宝玉をシドウさんに向け、投げ飛ばした!
俺たちは咄嗟に動き出すが、誰の手も届かず、宝玉がシドウさんの腹部にめり込んでしまった!
「ぐっ!あああぁぁぁぁっ!」
宝玉がめり込んだ場所から、怪しい光が放たれ、何かが体内を侵食しているように嫌な音が出ていた。
や、ヤバイ!どうにかしないと!
俺はシドウさんの横につき、宝玉を取り出そうとする。すると、リゼヴィムが醜悪な笑みを浮かべながら言った。
「辞めておけ。下手に抜いたら、神経ごと抜けるぞ?」
俺は手を引っ込めた。リゼヴィムの嘘かもしれないけど、もし本当だったら、確実にシドウさんは死んでしまう!
「ああぁぁぁぁ………」
シドウさんは力が抜けたように静かになり、ゆっくりと目を閉じた。
「シドウさん!シドウさん!」
到着したロスヴァイセさんが肩を揺らす。目には涙が溜まっている。
すると、ピクッとシドウさんの手が動いた。
「シドウさん!」
ロスヴァイセさんは嬉しそうに言うと、シドウさんはゆっくりと両手を上げる。
すると、突然、俺とロスヴァイセさんの首を掴み、そのまま立ち上がった!
「し、シドウさん?一体……」
「何するん……ですか!」
ロスヴァイセさんと俺が苦しみながら言うと、シドウさんはニヤリと口を笑ませ、ゆっくりと目を開けた。銀色の双眸が俺とロスヴァイセさんを睨んだ。
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