グレモリー家の次男   作:EGO

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life15 シドーの望み

俺、シドーとグレイフィアを含めたD×Dは遺跡の近くに転移、刃狗(スラッシュ・ドッグ)と合流していた。

刃狗(スラッシュ・ドッグ)とアザゼルが何かを話し込み、俺たちに言った。

「よし、作戦を少し変更する。遺跡に入ったらソーナとサイラオーグ、その眷属も俺たちと来てくれ。リアスたちとシーグヴァイラたち、ヴァーリチーム、シドー、グレイフィアは奥に進んでくれて構わん」

いきなり変更って、何か嫌な追加情報があったようだ。

俺が問う。

「遺跡に重要なものでも見つかったのか?」

アザゼルが頷く。

「あいつらが使っている宝玉。それの生産もここで行っているようだ。それを発見したらしいんでな、壊しに行く」

なるほど、あの禍々しい宝玉か。残しておくと面倒そうだしな。

俺が頷くと、アザゼルが続けた。

「そういうことだ。多少変更があるが、作戦の基本は変わらない。ヴァーリチームとリアスたちは遺跡を遺跡を突っ切れ。さて、行くぞ!」

アザゼルの一言で、俺たちは遺跡を目指して走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちが走り、遺跡を視認する。なかなか大きそうだ。

遺跡の前にはローブの集団。数百人はいるな、相変わらずどこで見つけてきてるんだか。

俺たちは止まるわけにもいかないので、突っ込むしかないのだが、先頭を走る兵藤とヴァーリが鎧を纏い、同時に魔力弾を撃ち放った!

赤と白の魔力の塊は、数十人の敵を吹き飛ばしていき、道が出来た。

「今だ!突っ切れ!」

アザゼルの掛け声で全員が速度を上げる。遅い奴はイッセーやゼノヴィアが担いでいた。

遺跡の入り口に到着と同時に、俺は止まり振り返る。

「おまえら、止まんなよ?ここは俺が受け持つ!」

すると、俺の横に並ぶ影が複数。シーグヴァイラとその眷属だ。

「私たちも残ります。皆さんはサーゼクス様を!」

シーグヴァイラの言葉に全員が頷き、遺跡に入っていった。

数百人の悪魔がこちらに殺到している。こいつらを殺して、リアスたちを追う。簡単だ。

飛び出そうとするシーグヴァイラの眷属たちを俺は右手で制し、そのまま刀の鞘に添える。敵をギリギリまで引き寄せる。

悪魔は魔力弾を放ってくるが、俺はそれを避けない。かなりの弾幕だが、リアスたちを行かせた焦りからか、全て的外れだ。シーグヴァイラたちは各々避けたり、防いだりしている。

俺は悪魔が十分引き付けられたところで抜刀、一気に左から右に凪ぎ払う。一瞬の静寂が俺と敵を包み込んだ。そして次に鳴り響いたのは肉が斬り裂かれる音と、断末魔だ。

大量の悪魔が、大量の血を吹き出しながら崩れ落ちる。

俺は納刀して、二撃目の準備に入る。敵は、今ので怯えて前には出てこなくなってしまった。

来ないのなら、こちらから行くまでだ。

俺はその場を走り出し、一気に肉薄する!が、通り過ぎてしまった。いつもの感じで走ったが、アジュカの言っていた『速度強化』がこんなところで実感出来るとは……。まぁ、すれ違い様に斬ったけどさ。

それから数分間、俺は自分の速度に振り回されつつ、敵を蹴散らしていった。残りは数えるほどしか残っていない。

「シーグヴァイラ!後はおまえらに任せる!」

俺は敵を斬り伏せながら言うと、シーグヴァイラから「お任せください!」と返ってきた。なら大丈夫だ。

俺は遺跡の入り口に入ろうとする。俺を止めようと立ちはだかる悪魔がいるが、そいつらもすれ違い様に斬り、ノーブレーキで突き進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

遺跡を進むこと数分、道に大量の悪魔が倒れていた。全員問題なく進んだようだ。俺はその倒れている悪魔を踏みながら速度を上げた。

 

 

 

進むこと数秒、ついに開けた場所についた。大きな闘技場のようになっており、天井は抜けて空が見えている。リアスたちとヴァーリチーム、グレイフィアが闘技場の選手入り口のから中央に目を向けていた。俺が出てきたのはフィールドの入り口のひとつだったようだ。

俺も中央を見る。リゼヴィムがサーゼクスを担いでいた。

リゼヴィムが俺を見て醜悪な笑みを浮かべた。

「やあやあ、シドウちゃん。いや、シドーちゃん?どっちでもいっか!サーゼクスちゃんは生きてはいるよ、死にかけてるけど」

リゼヴィムはそう言うとサーゼクスを投げた。サーゼクスは地面に落下し、うめき声を上げた。生きてるようだ。

リゼヴィムは後ろに下がる。

「治療するならどうぞ?みんなで来てくれた方が楽しいだろうし」

リゼヴィムはケタケタと笑っていた。俺たち全員でかかっても勝てるか微妙なんだけどな。

俺はリゼヴィムを警戒しつつ、サーゼクスに最高速度で近づいて回収する。

顔も体も傷だらけだ。アーシアが近づいてきて緑色のオーラを当てていた。少しずつ傷が治っていく、だが意識が戻らない。

俺はサーゼクスを寝かせ、リゼヴィムを睨んだ。

「ずいぶんかわいがってくれたみたいだな」

自分でも驚くほど、低く冷たい声が出た。

リゼヴィムは心底嬉しそうに言った。

「いい殺気だぁ、おじいちゃん(たっ)しちゃうよ!」

俺はリゼヴィムから目をそらさずに言う。

「そのまま(たっ)しろ、ここで終わらせる!」

俺はオーラを解き放つ。赤いオーラが迸るが、これさえも懐かしく感じてしまう。

「うっしゃ!始めようぜ?最終決戦ってやつだ!俺が勝ったら冥界は俺のもんだ。アジュカちゃんも、セラフォルーちゃんも、ファルビウムちゃんも、今の俺の相手にはならないからね♪」

リゼヴィムは嬉々としていた。奴が言った通り、ここで負けたら冥界は奴に取られる。

「おまえら、ここが正念場だ。全部終わらせて、()()()()全員で帰るぞ!」

『はい!』

俺の言葉に全員が今までよりも強く返事をして、戦闘態勢に入った。

「かかってきなさい!お子ちゃまどもが!」

リゼヴィムは宣言すると、オーラを解き放ち、戦闘態勢に入る。

ここが最終決戦。全員で帰ること。俺が望むのはただそれだけだった。

 

 

 

 

 

 




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