グレモリー家の次男   作:EGO

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life14 変わらないもの

俺、シドーは先程から違和感を感じていた。セラフォルーに何かを入れられてから、何かこう、正解だけど何か違う、みたいな感じのモヤモヤが胸にあるんだ。どうしたもんかな。

サーゼクス救出と、リゼヴィム討伐のために準備を進めているD×Dの面々。俺も刀を研ぐくらいはしておく。

するとアジュカが近づいてきた。

「調子はどうだい?」

「なぁ、さっき何をしたんだ?体が変な感じなんだが」

俺が訊くと、アジュカが言った。

「先程キミに入れたのは悪魔の駒(イーヴィル・ピース)だ。入れられたものは『悪魔』に転生できる」

「許可もなしにやることじゃないだろ。それ」

「あの駒は元からキミの中にあったものだ。それを戻すことで記憶が戻れば、説明もいらないと思ったんだがね」

俺は胸をさすりながら言う。

「何か突っかかってるみたいで気持ち悪いのは、普通なのか?」

アジュカはそれを聞いて少し驚いていた。

「いや、そんな事例は確認されていない。それが例え強制されたことでも駒は馴染むものだ」

「強制されたって、怖いこと言うなよ」

「一部の悪魔は、非人道的に眷属集めをしているからね。多少セーフティーをつけておくできだったかな」

「今からでもそうしとけ、無理やり悪魔にされる身にもなれっての」

俺は試しに翼を出してみる。右は蝙蝠のような翼だが、左はドラゴンの翼だ。リアスの眷属の女王(クイーン)もそんな感じだったが、あれは意識してやっていることだ。俺は無意識でもこうなった。

「何か、中途半端じゃないか?本当に成功したのかよ」

アジュカはあごに手をやり、何かを考えているようだ。すると「よし」と一言呟いて、俺に向き直った。

「少し駒を見せてくれないか?入れる前と後とで、何か変化が起きたのかもしれない。調べてみる」

アジュカは返事を聞く前に俺に魔法陣を当て、動かし始めた。

悪魔って、こう、自由なのか?もう少し俺の話を聞いて欲しいもんだ。

アジュカは一通り調べると、息を吐いた。

「駒は問題なく作動している。だが、何かがおかしいのは確かだ。調整をミスったかな?」

「『ミスったかな?』じゃねぇよ!死活問題だぞ!?え、どうなるの俺!どうなっちまうの!?」

俺が慌てていると、アジュカは冷静に言った。

「そこまで大きな問題ではないはずだ。騎士(ナイト)の駒は速度の強化がされる。うまくやれよ」

「話をそらすなよ!って、速度強化!?ありがたいけど、今以上に速くなったら自分でも反応出来るかわからんぞ!?」

「キミは元気だね」

「おかげさまで元気一杯だよ!」

アジュカはここまでやり取りすると、少し笑った。

「いい気分転換になったよ。ここ最近働いてばかりだったからね」

気分転換に使われたっ!悪魔じゃなくて、魔王が自由なんだな。多分。

「もういい………疲れる。とりあえず、悪魔になったのか」

俺が項垂れていると、アジュカが返す。

「悪魔に『なった』よりも『戻った』の方が正しいがね」

そうだったな。俺はドラゴンとしての自分しか知らないんだけどな。

「どっちでもいいさ。サーゼクスを助けて、リゼヴィムは殺す」

俺はそれだけ言うと、刀を鞘にしまってから立ち上がる。アジュカも立ち上がり、俺に言った。

「サーゼクスを頼む。私は下手に動けないのでね」

「ああ、任せとけ。あいつは俺の『兄』らしいからな」

俺はそう言うと転移魔法陣まで移動するために歩き出す。

さて、悪魔としての初陣だ。頑張らないと。

 

 

 

 

 

 

 

アザゼルたちが作戦を練ったらしく、俺とリアスたち、ソーナたち、デュリオ、シスター・グリゼルダ、ヴァーリチームは作戦の説明を受けていた。

リゼヴィムとサーゼクスがいるのは、旧魔王が遺した遺跡だそうだ。ご丁寧に地図も用意してある。

作戦は簡単だ。一転突破、これに限る(俺はこれしか知らない)。転移したら最短ルートで遺跡に飛び込み、サーゼクスを見つけ、リゼヴィムを殺し、逃げる。単純明快だがやりやすい作戦だ。道中で何グループかに別れると思うが、そこは臨機応変にいこうということになった。刃狗(スラッシュ・ドッグ)は向こうで合流するそうだ。

作戦を確認してから全員がやる気に満ちていた。サーゼクスという魔王を助けに行くんだ、やる気にもなる。サーゼクスの眷属も動かそうかともなったが、下手に人員を集中すると、他の主要都市なんかを攻められた時にそしたら大惨事になる。それを警戒しているそうで、グレイフィアだけが来ることになった。少しとはいえ、戦力が増えるのはいいことだ。

全員が転移魔法陣に乗ると、アザゼルが言った。

「さて、これがクリフォトとの最終決戦になるだろう。おまえら、気合い入れていくぞ!」

『はい!』

アザゼルが檄を飛ばし、全員が返事をしていた。アザゼルは笑顔で俺を見る。

「シドー、何か言うことはないか?」

俺に振るなよ、まったく。俺は頬を掻き、言葉をまとめてから言う。

「あ~、そうだな。とりあえず、成功をイメージしろ。でないと出来ることも出来なくなるぞ。ベストを尽くせ。いいな!」

『…っはい!』

何か嫌な間があったんだが、何で?俺が困っていると、ロスヴァイセが笑みを向けてきた。

「やっぱり、シドウさんはシドウさんですね」

「だからシドーだ。間違えんな」

「ふふ、わかりました」

ロスヴァイセは上機嫌そうだ。だから何で?

「さて、行くぞ!」

アザゼルはそう言うと、魔方陣にオーラを込める。魔法陣が光輝き、その光が俺たちを包み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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