グレモリー家の次男   作:EGO

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life13 少し足りない

俺、シドーは夢を見ていた。紫色の空を見上げながら、俺とサーゼクスが横に並んで歩いている夢だ。

夢の中でサーゼクスが言った。

「兄として、弟を守らないとね」

サーゼクスはそう言うと笑みを向けてきた。

やっぱり俺はそうなのか?俺はサーゼクスの………。

俺がそこまで考えると、声が響いてきた。

「ドー!……シドー!おいシドー!生きてるか!」

アザゼルの声だが、俺を呼んでいるようだ。

俺の意識は少しずつ目覚めていった。

 

 

 

 

 

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シドーは目を開け、俺、アザゼルを見る。目を覚ましたようだ。

「シドー!大丈夫か?五体満足ではあるが……」

シドーは頷くと、立ち上がった。だが、すぐに尻餅をついてしまった。

「お、おい。本当に大丈夫なのかよ。それで、サーゼクスは?あいつはどこだ?」

先程から探したが、サーゼクスが見つからない。シドーはすぐに見つかったんだが。

シドーはぼそりと呟いた。

「アザゼル。サーゼクスは俺の……」

何かリゼヴィムに言われたのか?だが、隠しても仕方ないか。

「ああ、サーゼクスはおまえの兄貴だよ。あいつは黙ってたがな」

シドーはそれを聞いて深い溜め息をついた。

「だからあんなことしたのか……」

「あんなことって、あいつ何したんだよ」

俺が訊くと、シドーが言った。

「リゼヴィムの攻撃に当たる寸前でサーゼクスが俺の前に出て盾になってくれた。おかげで助かったんだがな。そうか、あいつは俺の……」

どこか無気力な感じで言っているが、俺は続けて訊く。

「そのサーゼクスがどこにいるんだ?見当たらないが」

シドーは立ち上がりながら言った。

「連れていかれた。あいつら、最初からサーゼクスも狙ってたのかもな」

「連れていかれた!?あいつらどこに連れていったんだ!」

俺は焦りながらシドーに訊いた。サーゼクスがいなくなったのは辛いものがある。ルシファーを人質にされたら、悪魔は動けなくなるぞ!

俺の焦りとは裏腹に、シドーは冷静に言った。

「俺だって見ていただけじゃないぜ?リリスの発信器、抱きつかれた時に外して、今度はサーゼクスに貼り付けておいた。バレてないはずだ。バレてたら……どうしようもない」

シドーは肩をすくめていたが、こいつ、クリフォトの動きを読んでいたのか。シドーは首を鳴らしながら言った。

「とりあえず、戻ろうぜ?リアスたちと合流しないと」

「ああ、対策も急がないといけないからな」

俺とシドーは移動を開始した。リアスたちに脱出用の使い捨てを使っちまったからな、走るしかない。

俺は移動しながらセラフォルーや、シェムハザに連絡を入れるのだった。

 

 

 

 

 

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俺、シドーと、アザゼルは、ようやくコキュートスから脱出することが出来た。二度と行きたくない。それが感想だが、またリゼヴィムを送り返す時に行くのかな?

俺はアザゼルと共に転移魔法陣を使い、会議室のような場所に移動した。

そこにはタンニーンの領土で会った面々と、セラフォルーとアジュカがいた。

アザゼルが入室して席につき、俺は空いていたその横に座ると、アザゼルが開口一番に言う。

「で、状況はどうだ。サイラオーグの方は誰か連れていかれたか?」

サイラオーグが言う。

「いえ、監獄を攻めたのは、こちらを分断するためだったようです」

「やはりか、クリフォトはリゼヴィムを取れれば良かったんだろう」

アザゼルはあごに手をやりながら言うと、アジュカが続く。

「サーゼクスに付け替えられた発信器で、だいたいの場所は把握した。D×Dの消耗が回復すればすぐに動ける」

「そこに刃狗(スラッシュ・ドッグ)を送って探らせてある。それが終わったら動こう」

その刃狗(スラッシュ・ドッグ)ってのはわからないが、アザゼルが頼るってことはすごい奴なんだろうな。

するとアザゼルが俺を見た。セラフォルーとアジュカもそれの意味をわかったのか頷いていた。

「え、何だよ?俺に何か用か?」

俺が訊くと、アザゼルが頷いた。

「ああ、セラフォルー。頼む」

「ええ、シドー。ちょっと来てくれないかしら」

俺はひとつ頷いてセラフォルーの横に移動する。セラフォルーはチェスの駒を取り出した。

「またそれか。前は何も起きなかったよな?」

「いいから、いいから」

セラフォルーはそう言うと、駒を俺に近づける。すると駒が光輝きながら宙に浮き、俺の胸の中に入っていった!?え、マジで!?

俺は自分の胸をさする。この中に入ったけど……え~。

セラフォルーが不安そうに俺を見ていた。

「シドウ?」

「だから、シドーだ。発音が違う。いや、シドウが正解なのか?だが、シドー呼びに慣れちまったからな……」

俺が頬を掻いていると、セラフォルーはショックを受けていた。ロスヴァイセもショックを受けているようだ。何で?

「うん、シドーね。ごめんなさい」

「わかってくれれば良いんだ」

俺はそう言うと席に戻る。俺、何されたんだ?

「やっぱり何か他の手を考えないとダメか。だが何がある?頭をぶつけさせるか?」

「下手にダメージを与えると悪化するかもしれないぞ」

「どうしましょうか?」

アザゼル、アジュカ、セラフォルーがこそこそと話していた。

うーん、わからん。だが、とりあえずの目的は。

「サーゼクスを助けないとな。諸々の解決はそれからだろ」

俺がそう言うと、全員が頷いた。同時にアザゼルの耳元に魔法陣が展開された。何回かのやり取りをすると、アザゼルは魔法陣を消し、俺たちに言った。

「よし、確認が取れた。おまえら、動くぞ」

どうやら、刃狗(スラッシュ・ドッグ)がうまく動いてくれたようだ。

俺たちは次の行動のため、動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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