俺、シドーは夢を見ていた。紫色の空を見上げながら、俺とサーゼクスが横に並んで歩いている夢だ。
夢の中でサーゼクスが言った。
「兄として、弟を守らないとね」
サーゼクスはそう言うと笑みを向けてきた。
やっぱり俺はそうなのか?俺はサーゼクスの………。
俺がそこまで考えると、声が響いてきた。
「ドー!……シドー!おいシドー!生きてるか!」
アザゼルの声だが、俺を呼んでいるようだ。
俺の意識は少しずつ目覚めていった。
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シドーは目を開け、俺、アザゼルを見る。目を覚ましたようだ。
「シドー!大丈夫か?五体満足ではあるが……」
シドーは頷くと、立ち上がった。だが、すぐに尻餅をついてしまった。
「お、おい。本当に大丈夫なのかよ。それで、サーゼクスは?あいつはどこだ?」
先程から探したが、サーゼクスが見つからない。シドーはすぐに見つかったんだが。
シドーはぼそりと呟いた。
「アザゼル。サーゼクスは俺の……」
何かリゼヴィムに言われたのか?だが、隠しても仕方ないか。
「ああ、サーゼクスはおまえの兄貴だよ。あいつは黙ってたがな」
シドーはそれを聞いて深い溜め息をついた。
「だからあんなことしたのか……」
「あんなことって、あいつ何したんだよ」
俺が訊くと、シドーが言った。
「リゼヴィムの攻撃に当たる寸前でサーゼクスが俺の前に出て盾になってくれた。おかげで助かったんだがな。そうか、あいつは俺の……」
どこか無気力な感じで言っているが、俺は続けて訊く。
「そのサーゼクスがどこにいるんだ?見当たらないが」
シドーは立ち上がりながら言った。
「連れていかれた。あいつら、最初からサーゼクスも狙ってたのかもな」
「連れていかれた!?あいつらどこに連れていったんだ!」
俺は焦りながらシドーに訊いた。サーゼクスがいなくなったのは辛いものがある。ルシファーを人質にされたら、悪魔は動けなくなるぞ!
俺の焦りとは裏腹に、シドーは冷静に言った。
「俺だって見ていただけじゃないぜ?リリスの発信器、抱きつかれた時に外して、今度はサーゼクスに貼り付けておいた。バレてないはずだ。バレてたら……どうしようもない」
シドーは肩をすくめていたが、こいつ、クリフォトの動きを読んでいたのか。シドーは首を鳴らしながら言った。
「とりあえず、戻ろうぜ?リアスたちと合流しないと」
「ああ、対策も急がないといけないからな」
俺とシドーは移動を開始した。リアスたちに脱出用の使い捨てを使っちまったからな、走るしかない。
俺は移動しながらセラフォルーや、シェムハザに連絡を入れるのだった。
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俺、シドーと、アザゼルは、ようやくコキュートスから脱出することが出来た。二度と行きたくない。それが感想だが、またリゼヴィムを送り返す時に行くのかな?
俺はアザゼルと共に転移魔法陣を使い、会議室のような場所に移動した。
そこにはタンニーンの領土で会った面々と、セラフォルーとアジュカがいた。
アザゼルが入室して席につき、俺は空いていたその横に座ると、アザゼルが開口一番に言う。
「で、状況はどうだ。サイラオーグの方は誰か連れていかれたか?」
サイラオーグが言う。
「いえ、監獄を攻めたのは、こちらを分断するためだったようです」
「やはりか、クリフォトはリゼヴィムを取れれば良かったんだろう」
アザゼルはあごに手をやりながら言うと、アジュカが続く。
「サーゼクスに付け替えられた発信器で、だいたいの場所は把握した。D×Dの消耗が回復すればすぐに動ける」
「そこに
その
するとアザゼルが俺を見た。セラフォルーとアジュカもそれの意味をわかったのか頷いていた。
「え、何だよ?俺に何か用か?」
俺が訊くと、アザゼルが頷いた。
「ああ、セラフォルー。頼む」
「ええ、シドー。ちょっと来てくれないかしら」
俺はひとつ頷いてセラフォルーの横に移動する。セラフォルーはチェスの駒を取り出した。
「またそれか。前は何も起きなかったよな?」
「いいから、いいから」
セラフォルーはそう言うと、駒を俺に近づける。すると駒が光輝きながら宙に浮き、俺の胸の中に入っていった!?え、マジで!?
俺は自分の胸をさする。この中に入ったけど……え~。
セラフォルーが不安そうに俺を見ていた。
「シドウ?」
「だから、シドーだ。発音が違う。いや、シドウが正解なのか?だが、シドー呼びに慣れちまったからな……」
俺が頬を掻いていると、セラフォルーはショックを受けていた。ロスヴァイセもショックを受けているようだ。何で?
「うん、シドーね。ごめんなさい」
「わかってくれれば良いんだ」
俺はそう言うと席に戻る。俺、何されたんだ?
「やっぱり何か他の手を考えないとダメか。だが何がある?頭をぶつけさせるか?」
「下手にダメージを与えると悪化するかもしれないぞ」
「どうしましょうか?」
アザゼル、アジュカ、セラフォルーがこそこそと話していた。
うーん、わからん。だが、とりあえずの目的は。
「サーゼクスを助けないとな。諸々の解決はそれからだろ」
俺がそう言うと、全員が頷いた。同時にアザゼルの耳元に魔法陣が展開された。何回かのやり取りをすると、アザゼルは魔法陣を消し、俺たちに言った。
「よし、確認が取れた。おまえら、動くぞ」
どうやら、
俺たちは次の行動のため、動き出した。
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