俺、兵藤一誠を含めたD×Dと、シドーさんは冥界に到着。アザゼル先生と一度別れ、リリスがいると思われる場所を目指して走っていた。
シドーさんが言う。
「それにしても、そのコキュートスってところに誰がいるんだ?」
ソーナ元会長が言う。
「リゼヴィム・リヴァン・ルシファーと言う悪魔です。他にも投獄されている者もいますが、彼らはリゼヴィムしか狙わないはずです」
シドーさんはあごに手をやり、表情を険しくさせていた。
「リゼヴィム……無性に腹が立つ名前だ」
走りながら漏らした一言は全員の耳に届いた。シドーさんは、記憶がなくてもリゼヴィムに嫌悪感を抱いているみたいだ。
俺たちはそれから話すことはなく、走り続けた。
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俺、アザゼルはイッセーたちと離れ、アジュカの元に行っていた。セラフォルーともそこで合流して、最終確認を行う。
「セラフォルー、キミの駒の調整は終わった。これで彼を眷属に出来るはずだ。彼の潜在能力がわからないから駒価値を高めに設定してある」
「ありがとう、アジュカちゃん。これでシドウを戻せると良いのだけど」
セラフォルーが珍しく不安そうな表情になっていた。シドウじゃないから言葉をかけにくいが、俺は言う。
「ま、うまくいくだろ。今のあいつがどれだけ強いかは置いておいて、あいつはおまえの眷属だったんだ。イッセーみたいにすぐに馴染むだろうよ」
「そうね。きっとうまくいく」
セラフォルーは自分に言い聞かせるように言っていた。
アジュカはひとつ頷くと言う。
「それと二人とも、サーゼクスとファルビウムには話したんだが、あることがわかった」
「あることか?なんだ一体」
俺が聞き返すと、アジュカが口を開いた。
「シドウ・グレモリーに記憶を移すように仕向けた者の所在だ」
アジュカの一言に俺とセラフォルーは驚いたが、俺はすぐに訊く。
「そいつはどこにいる。冥界か?人間界か?」
アジュカは首を横に振り、言った。
「これも何かの因果なのか、その者がいる場所は……コキュートスだ。今はそこにいるらしい」
…………ッ!
俺は驚愕した。コキュートス、そこにはシドーが向かっている。俺たちは、誰が、何をしたのか、それを知りたかった。ヴェネラナ・グレモリーに何かをするように仕向けた人物と、その結果で生まれたシドウ。その二つがコキュートスに揃おうとしている。
「アジュカ、そいつは一体!」
俺が訊くと、アジュカは重い口を開いた。
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コキュートスへと続く道。それを知る者は多くはない。だが、それを知る者がクリフォトにいるのだ。ゆえに攻め込むことは簡単だった。警備の悪魔もいたが、それをリリスが蹴散らし、コキュートスに住む魔物も、リリスが蹴散らしていった。クリフォトは確実にコキュートスの最深部に近づいていた。
リリスが彼らに協力している理由は簡単だ。
『シドーがここに入れられた』
そうクリフォトに吹き込まれたからだ。彼らを信じるほどリリスもバカではなかったが、シドーの名前を出されては動かないわけにはいかなかった。そのシドーは後方から追いかけて来てくれていることをリリスが知るよしもない。
「もうすぐよ、リリス。もうすぐでシドーに会えるわ」
リリスに付き添う女性悪魔が言った。
リリスはそれを聞いて頷き、進んでいった。
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あれから走り続けて、ヴァーリチームと合流してコキュートスに突入したんだけど……。
「
シドーさんが叫んでいた。元気そうだけど、実際かなり寒い!俺たちはどんな場所か事前に聞いていたから暖かい格好だけど、シドーさんは聞いてなかったのかな。サイラオーグさんの眷属に、ここに住む馬を使役しているヒトがいたけど、本当にこんなとこに住めんのかよ!
「よっしゃ、慣れた!」
シドーさんはそう言うと、弱音を吐かなくなっていた。
ヴァーリはシドーさんの事を深くは聞かず、前だけを見ていた。その先にリゼヴィムの野郎がいるんだ、当たり前か。
シドーさんが何かに気がついたのか、ある場所を指差す。
「何か倒れてるぞ」
俺たちがそっちを見ると、四本足の獣と思われる何かが倒れていた。息はもう無い、何かに弾き飛ばされたようだ。シドーさんは特に何かするわけでもなく、再び走り出した。俺たちもすぐに追いかける。
コキュートスを進むこと数時間、前方に人影を確認できた。一人、二人、いや数十人の団体だ!
「リリィィィィィィス!」
シドーさんが叫んだ!奥にリリスがいるはずだ!
だが、団体の奥で大爆発が起こった!な、何だ!?
「成功だ。リゼヴィム様が復活する……」
「なに!」
ヴァーリが驚きながらも鎧を纏った。俺もその横で鎧を纏う。
団体の奥から何かが飛び出し、シドーさんに襲いかかった!シドーさんは足を踏ん張りそれをキャッチする。それは黒いドレスの少女、リリスだ。よかった、無事みたいだ。
「シドー!シドー!」
「ごめんな、心配かけて」
シドーさんは胸に飛び込んできたリリスの頭を撫でて笑みを浮かべた。
「よし、後は任せた」
シドーさんはそう言うと、踵を返して来た道を戻ろうとする。
「ま、待ってください!ここまで来たら最後まで付き合ってくださいよ!」
俺が慌てながら呼び止めると、シドーさんは振り向きながらこう言った。
「俺の目的はリリスだけなんだが………」
「それでもです!今は手が足りていないのですから!」
リアスも俺に続いてくれた。シドーさんは息を吐いた。
「わかったよ……これも何かの縁だ。いいぜ、付き合ってやる」
すると俺の横についてくれる。
それにしても、向こうの団体は何もしてこないな。
俺が疑問に思っていると、二度と聞きたくもなかった声が聞こえてきた。
「いんや~、氷付けとは退屈だったよ。どう?ヴァーリきゅんも試してみる?おじいちゃんオススメの睡眠法だよ♪」
銀髪の中年男性。リゼヴィム・リヴァン・ルシファーが醜悪な笑みを浮かべていた。
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