グレモリー家の次男   作:EGO

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life09 平和は短いもの

俺、兵藤一誠は焦っていた。突然リリスが消えたのだ。俺の家に移動中にフッと消えてしまったのだ。

リアスたちと別れ、町中を探し回っていた。オーフィスに聞いてみても「わからない」と返されてしまったし、居場所がわかりそうなシドーさんも冥界だ。どうしようもない。

そろそろ町外れの人通りの少ない道に差し掛かろうとしたとき、黒いドレスの着た女の子を発見した。俺は走って近づき顔を確認しようとする。すると突然、どこかに飛ばされたような感覚に襲われた。これは、結界か何かに捕まったような感覚だ。見ると、黒いドレスの少女がローブの一団に囲まれていた。俺も囲まれてるけどな。

俺を囲む一団の一人が言う。

「赤龍帝、兵藤一誠だな。リリスはいただく」

「やらせるわけねぇだろ!」

俺は鎧を纏い、敵を睨む。

この間にも、奥の一団がリリスに何か言っているようだ。

俺が飛び出そうとすると、俺を中心に魔方陣が展開された。同時に俺を異常なまでの重力がかかる。なんだ、これ!?

俺が驚いていると、リーダー格と思われる男性が言った。

「塵も積もれば山となる、とでも言おうか。一人一人の力が弱くても、集まればおまえを抑えられる」

俺を囲む一団の手元には、禍々しい光を放つ魔方陣が展開されていた。あれで重力を操作してるのか!

俺は四つん這いになり、手足に力を入れて立ち上がろうとする。テクニック系はやっぱり苦手だ!

「リリスを連れていけ、後は俺たちがやっておく」

男がそう言うと、リリスと何かを話していた一団が消えた。リリスもいない。連れていかれたのか!くそ!

「パワーバカを、舐めんなぁぁぁ!」

俺は叫びながら立ち上がり、一番近くの男を殴った!男は吹き飛ばされるが、態勢を立て直して着地していた。俺を囲んでいた奴らも飛び退いていた。

態勢が悪かったとはいえ、俺のパンチを受けても大きなダメージにならない。どうなってるんだ?

「いい一撃だ。強化なしなら殺られてたな」

男は左腕の宝玉を撫でていた。あれがタンニーンのおっさんが言っていたやつか。埋め込まれたら、いいドラゴンも邪龍になってしまう、悪魔とかに使ったら単純な強化になるってのも聞いたな。全員がそれを埋め込んでいるのか、厄介だな。

俺がどうしようか悩んでいると、突然空にヒビが入った。町中でもド派手に技を使ってる誰かがいるのか!?

「D×Dのメンバーにここまで大胆な奴はいないはず……まさか!?」

ヒビが広がり、ついには空が割れた。同時に何かが突っ込んできて男に攻撃した!男は咄嗟に避けるが、左腕が斬り落とされた!斬り落としたのは、黒いローブの男性だ。

「シドーさん!」

「よー、兵藤。リリスは?」

俺とシドーさんが話していると、男たちは消えていた。シドーさんも納刀し、日本刀を異空間に入れていた。あれが出来るのにいっつも手に持ってるんだよな。

左腕は塵となって消滅したが、血はどうしようもない。

俺たちが元の空間に戻るが、幸い人はいない

シドーさんもそれを確認して、俺に訊く。

「で、リリスは?」

「ごめんなさい。連れていかれました」

俺は素直に謝った。殴られても仕方がないとも思っているほどだ。

すると、俺の頭に手が置かれ、乱暴に撫でられた。俺が顔を上げると、シドーさんは笑みを浮かべていた。

「そっか、しゃーない。取られたなら取り返すまでだ。だろ?」

「は、はい!」

「さて、アザゼル。何か策はあるか?」

シドーさんは俺の後ろを見ながら言った。振り向くとそこにはアザゼル先生とリアスがいた。

アザゼル先生が言う。

「リリスのドレスに発信器をつけてある。場所はすぐにわかる」

「だってさ、名誉挽回のチャンスはすぐに来そうだぞ」

「そうよ、イッセー。誰を敵に回しているのか、思い知らせてあげましょう」

三人の言動は今まで通りのものだった。シドーさんは記憶がないのに言っていることは前と変わっていない。

「それで、どうするんだ?集合か?」

「ああ、詳しくは場所がわかってからだが、すぐに連絡が来るはずだ。とりあえず戻るぞ」

「了解っと」

「イッセー、行きましょう」

「おう!」

俺は三人について、家に戻った。

 

 

 

 

 

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数時間後、兵藤宅VIPルーム。そこにD×D駒王町チームが集まっていた。もうシドーを見てもリアクションするものはいない。

アザゼルが言う。

「さて、リリスに取り付けた発信器を元に、リリスの現在位置がわかった。やはりあいつら、コキュートスを目指してるな」

「なんだ、そのコキュートスってのは」

シドーの質問にアザゼルが答える。

「簡単に言うと、刑務所の一番厳重な場所だ」

「あ~、なるほど」

本当にわかっているのか疑問だが、アザゼルは時間がないため続ける。

「クリフォトの連中、一気に動き出したぞ。レーティングゲームで不正を(おこな)った者たちが囚われているその他の監獄にも現れたようだ。そっちにはサイラオーグとシーグヴァイラが動いてくれている。おまえらに頼むのはリリスの奪還だ。向こうでヴァーリも待たせてある」

シドーが再び疑問符を浮かべているが、アザゼルはそれを無視して続けた。

「ヴァーリが動いた理由は、下手したらリゼヴィムが復活するからだ。あいつが動いて当然だな」

シドーが右手をあごに当て、首をかしげながら言った。

「ヴァーリってのが誰かは別として。とりあえず、リリスを取り返せばいいんだろ?そういう力押しはリアスたちに任せる。俺は、まぁ、フォローぐらいはしてやるさ」

今の言葉を聞いた全員が思った。

もう記憶戻っているんじゃないのだろうか?と。

シドーが立ち上がった。

「それじゃ、行こうぜ?早く始めて早く終わらせよう」

『はい!』

「お、おう。返事どうも」

シドーは全員が返事を返したことに困ったような表情になっているが、それは少し嬉しそうにも見えた。

彼らは冥界に向かうため、転移魔方陣を目指して歩き出した。

 

 

 

 




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