グレモリー家の次男   作:EGO

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life08 解決の糸口

俺、アザゼルは困惑していた。先日、駒王学園旧校舎に連れてきたシドーとリリスだが、二人は自由奔放に行動していた。グリゴリの施設で検査をしようとしたら

「これなんだ?」

と言いながら機材を破壊。またあるときは

「なかなか面白いな」

と言いながら、(上級用の)訓練施設で遊んでいた。

今日はようやくサーゼクスたちに会わせることになったのだ。リリスはバラキエルたちに任せ、俺とシドーは二人で転移魔方陣の上にいた。

「さて、リアス。リリスを頼んだぞ」

「ええ、任せておきなさい」

俺とリアスが話していると、シドーがリリスに言った。

「リリス、おとなしくしてろよ。迷惑かけないように。わかった?」

「わかった」

リリスの返事を聞いてシドーは微笑み、頭を撫でていた。

シドーはリリスの保護者か何かなのか?

「シドー、行くぞ」

「了解」

俺は返事を聞くと魔方陣を起動する。シドーは少し驚いていたが、すぐに興味深いものを見るような目となっていた。俺たちは転移の光に包まれた。

 

 

 

 

 

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アザゼルとシドーを見送ったリリスは、少ししょんぼりしているように見えた。彼女はタンニーンにお世話になった時からシドーと離れるのは久しぶりである。少し不安なのかもしれない。

そんなリリスにイッセーが話しかける。

「リリス、行くぞ。もう一人のリリスに会いたいって言ってただろ」

「うん」

リリスは頷いて、イッセーについていった。

 

 

 

 

 

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俺、アザゼルは、サーゼクスとセラフォルー相手に話していた。

「タンニーンの領土への攻撃の理由は今言ったとうりだろう。クリフォトは焦っているのか、それとも単純にバカなのか」

「リリスを狙ってか。だが、リリスに付き添っていたのがブラックということか」

サーゼクスが顔を険しくさせながら言った。ブラックの行動は俺たちに混乱をあたえたが、あいつがいなかったらリリスがクリフォトの手に落ちていたかもしれないからな。

「そのブラックなんだが、連れてきてるんだ。向こうも会ってみたいんだと」

「ブラックとリリスを保護したとは聞いていたが、詳しくは教えてくれなかった。なぜだ?」

「ある意味、おまえらにあたえる衝撃がわからないんでな。ちゃんと検査してから教えようと思ってな」

「それで、結果は」

「ある意味良かったが、悪かったとも言えるかもな」

「どういうことなの?」

セラフォルーが言うが、おまえのことを考えてやったんだがな。

「とりあえず、入ってきてくれ」

俺が言うが、扉は開く気配がない。

「おい、聞こえてるだろ?」

「ん?入っていいのか?えっと、どっち開きだこれ」

あいつ、扉の開け方もわからないのかよ。

「だぁぁぁぁぁぁっ!面倒だ!フンッ!」

シドーの気合い一閃と共に扉が宙を舞った。扉は俺の方に飛んで来るが、それをキャッチする。見るとシドーは蹴りを入れたように右足を前に出していた。

シドーは笑みを浮かべて言う。

「シドーだ、よろしく頼む!えっと、サーゼクスとセラフォルーだったな」

サーゼクスとセラフォルーは固まっていた。そりゃ、あいつの顔はシドウと瓜二つだ。

「シドウ?シドウなの!」

セラフォルーが興奮気味に言うが、シドーの反応は薄く。

「シドーだ。若干発音が違うぞ」

シドーはそう言うが、実際よくわからん。

サーゼクスが俺に訊く。

「アザゼル、彼は?」

「ブラックことシドーだ。おまえらが想像した人物そのヒトだよ」

二人はそれを聞いて複雑そうな表情になっていた。サーゼクスが口を開く。

「それは検査の結果からか?」

「ああ、ひとつだけ違うこともわかったがな」

「違うこと?」

セラフォルーが訊いてきた。俺もかなり驚いたがな。

「今のシドーはドラゴンだ。シドウだったころに持っていた、滅びの力と記憶、そのふたつを失っていることがわかったんだ。逆にシドーからはグレートレッドのオーラも関知された」

「それってつまり……」

「イッセーの復活と同じ原理で肉体を手に入れたが、中途半端に成功したんだろう。結果、記憶と力が失われた」

二人は黙り込んでしまったが、シドーはヘラヘラしていた。

「いや~、何か俺のせいで悩んでる感じ?」

こいつ、ノリが軽くなったな。堅いところもあったからこれはこれで良いが、記憶がないんじゃ、またふざけられないしな。

俺がそんなことを考えていると、そこに立体映像が映し出された。

「ちょうどいいタイミングだ。アジュカ」

映像に映る男性。アジュカは笑みを浮かべた。

『アザゼル、キミから預かった騎士(ナイト)の駒だが、セラフォルー、キミのものだ。つまり、そこにいる男性は……』

アジュカはシドーを見ながら言った。

『シドウ・グレモリーに間違いないだろう』

その知らせは嬉しいが、記憶を戻すにはどうしたものか。

「俺は、シドウ・グレモリーって名前なのか。へ~、それはいい情報だ」

シドウは何となく嬉しそうだ。すると、シドウがこう言った。

「その駒ってのはどうやって使うんだ?ついでに教えてくれ」

その一言で俺は、俺は閃いた!

「アジュカ、それをこっちに送ってくれ!体外に出たなら、イッセーみたいに戻せるはずだ」

「それしかないかな。セラフォルー」

「ええ、任せてちょうだい!」

セラフォルーは頷いた。やる気も十分だ。

『では、早速送るぞ』

アジュカが魔方陣を展開してこちらに送ってくれた。

騎士(ナイト)の駒がセラフォルーの手元に到着した。

セラフォルーは駒をシドウに向けた。だが、反応しない。

シドウを含めた全員が首をかしげて様子を見ていた。

「何かあんのか、これ?」

シドウが痺れを切らして駒を突っついていた。

ある意味好都合だが、それでも反応しない。

『うむ、今のシドウくんはセラフォルーの力を越えているということか。駒を調整しよう。こっちに送ってくれ』

「お願い」

セラフォルーは若干のショックを受けているようだ。だが、シドウの記憶の一件はどうにかなりそうだな。シドウが腕を組んで言う。

「お楽しみは最後まで取っとくもんだ。なぁ、『セラ』?」

俺たちは驚きながらシドウを見た。シドウも驚いている。

「どうもおかしいな。ロスヴァイセといい、セラフォルーといい、何か不思議と動いちまう」

シドウはそう言うが、体が覚えてるのか?戦い方はまったく違うのに、そこは覚えてるんだな。

「それじゃ、アジュカの調整が終わるまで俺たちが預かる。いいか?」

「僕はかまわないが、セラフォルーは?」

「私も大丈夫よ。リアスちゃんたちといた方が何か思い出しそうだし」

セラフォルーは笑顔でそう言った。シドウは笑みを浮かべていた。

サーゼクスが訊く。

「シドウ、どうかしたかい?」

「いや、何かセラフォルーの笑顔を見ると、何かこう……落ち着く」

戦争や戦闘の時よりも、平穏だった時の記憶が色濃く残っているのか。

ある意味良いことかもしれないな。あいつは戦ってばかりだったわけだし。

「アザゼル、行こうぜ。リリスが心配だ」

「ああ、わかった。それじゃ、後は任せてくれ」

「頼んだよ」

「お願いね」

二人の声を聞いて、俺たちは部屋を後にする。

転移魔方陣までの移動中、シドウが口を開いた。

「アザゼル、俺はシドウなんだよな?」

「ああ、おまえはシドウ・グレモリーだ。それがどうかしたか」

「シドウ・グレモリー、うん。何かしっくり来る」

シドウは笑顔になっていた。何かすっきりしたような表情だ。疑問がひとつ解消されたからだろう。

俺たちはそれから話すことはなく、転移魔方陣に移動したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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