俺、シドウ・グレモリーはまた病院に担ぎ込まれた。そんな俺をロスヴァイセは睨んでくる。
「あなたは、どうしてこう無茶ばっかり!」
青筋を浮かべながら言ってくるロスヴァイセ。かなり怒っているようだ。
「いや~すまんね。こうでもしないと行かせてくれなさそうで……」
俺は後頭部を掻きながら苦笑して、言う。
「たまには安静にしててください!」
「クリスマスの時にしたからいいかなってな?」
「シドウさぁぁぁん!」
ロスヴァイセは叫びながら俺の肩をつかみ、力を入れてくる。忘れがちだがロスヴァイセは
「いだだだだだだだっ!ギブッ!ギブアップッ!」
ロスヴァイセは手を離してくれるが、俺、怪我人だよな?
「それで、あの鎧は一体?」
ロスヴァイセは何事もなかったかのように話を戻す。
「リアスたちにも説明する。あいつらはどこに?」
「イッセーくんのお見舞いをして、その後に休憩スペースに。私はそこから抜けてきました。アザゼル先生もそこにいるはずです」
「わかった。案内してくれ」
俺はそう言ってベッドを降りるが、一瞬視界が霞み、足がふらついてしまう。
「シドウさん、あまり無理は……」
ロスヴァイセはそう言って俺を支えてくれる。
「大丈夫だ。ちょっと体が凝り固まってるだけだよ」
俺はロスヴァイセに肩を貸してもらいながらも、皆がいるという休憩スペースを目指し、歩き出した。
数分後、休憩スペースに到着。
「お兄様!大丈夫なんですか」
リアスはそう言いながら詰め寄ってくる。
「大丈夫、大丈夫。ちょっと座らせてくれ」
俺は場所を空けてもらい、座る。
「ところで、そちらの方々は?」
俺は見覚えのない数人について訊く。
まず、朱乃に似た二十代女性。
「姫島
朱雀と言えば、姫島家の現当主か。
次に金髪に碧眼の同じく二十代女性。
「私はラヴァニア・レーニ、分かりやすく言うと、
な、なるほど。
俺が目元をひきつらせていると、アザゼルが訊いてくる。
「それで、シドウ。体に問題はないか?」
「ああ、問題ない。いい感じに馴染んだようだ」
俺は右手を握ったり開いたりしながら言う。
「アザゼル、お兄様。そろそろ説明してくれないかしら」
リアスが急かしてくるので、いい加減説明を始めようと、俺は右腕に籠手を出す。レプリカのブーステッド・ギアだったものは黒く変色し、宝玉も深緑色になっていた。
「お兄様につけられたのはレプリカのブーステッド・ギアだったはずです。なのにこの色は……」
「もったいぶっても仕方ないな。これにはな、グレンデルが入ってる」
『……ッ!?』
俺の言葉でリアスたちは驚愕し、言葉が出なくなっていた。
「グ、グレンデルが入っている……ですか?」
ロスヴァイセが言うが、まぁ、信じられないよな。
アザゼルが言う。
「本当だ。天界に封印されていたグレンデルの宝玉、それをシドウのレプリカにはめ込んだ。提案された時は驚いたんだぜ?」
「ははは………はぁ……」
俺は少し笑ってから息を吐いた。
ベシッ
「あたっ」
アザゼルは俺を小突くと、そのまま睨んでくる。
「何笑ってんだよ……セラフォルーやサーゼクスに、あの後どれだけ言われたと思ってやがるんだ」
アザゼルが鬼の形相で俺を見てくる。
「おかげでアポプスとも張り合えた。それでいいだろ?」
「シドウ……おまえ自覚あるのか!?下手したら一生外せないかもしれないんだぞ!」
「覚悟はしてたさ……まぁ、やるだけやってみてくれ」
「はぁ……おまえと話してると疲れる」
アザゼルはそう言うと椅子に深く腰かけた。
「これは、人工
俺が適当に命名していると、それを聞いた全員も息を吐いた。
「シドウさん。前向きすぎです」
「そうか?照れるなぁ」
「誉めてません!」
ロスヴァイセと俺がそんなやり取りをしていると、アザゼルが言う。
「とにかく、聖杯に関する新しい情報が手に入った。ロスヴァイセ、ギャスパー、意見が聞きたい。ちょっと来てくれ」
「「はい」」
返事を聞いたアザゼルは立ち上がり、この場を後にしようとする。すると、スーツを着た男性が走ってきた。顔色が悪い、余程の緊急事態なのだろう。今の状況での緊急事態、何が起こったかは分かりきっている。
俺が訊く。
「動き出したのか。で、どこだ」
「はい。現れたのは………日本近海です!」
邪龍の魔の手が、人間界にまで伸び始めたのだった。
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