俺とヴァーリ、そしてトライヘキサのコア。
先ほど壊された天井からは、偽赤龍帝が流れ出ていっていた。
それを見ながらも俺たちは構えたまま動かなかった。すると、先にコアが仕掛けてきた。
まっすぐにこちらに突撃してくるコア。
俺は右に、ヴァーリは左に転がりそれを避ける。
コアはそのままの勢いで壁に激突、その壁を破壊してこちらに向き直る。
ヴァーリはそこに魔法弾を連続で放ち、コアを攻撃する。並の相手なら直撃すれば即死しそうなほどのオーラを込められたそれを、コアは気にもせずに突撃する。
ヴァーリはそれを今度は上に避けるが、コアから尻尾のようなものが突然生え、それに叩かれて吹き飛ばされた!ヴァーリはそのまま壁に激突、めり込んでしまった。
コアに尻尾が生えた?少しずつ形を変えているのか?
俺は手首からひじにかけてに滅びの刃を出現させ、コアに飛びかかり、すれ違いざまに腕を落とす!
俺の攻撃で宙を舞ったコアの右腕。俺は方向転換して、再びコアに飛びかかっていく。
コアの左腕を狙い放った一撃は、右腕で受け止められた!?
右腕がもう再生してやがるのか!
驚く俺の目にひとつの違和感が生まれた。右腕の形状が少し変わっている。右腕に俺と同じように手首からひじにかけて、ブレードのようなものが生えているのだ。
そこに左腕を軽く突き出してくるコア。俺はそれをスレスレで避けるが、その余波で壁が砕け散った!?
拳の余波でも壁が壊れるのかよ!直撃はアウトだな!
俺は距離を取り、ブレードを飛ばす。
コアに全てのブレードが突き刺さり、一瞬動きが鈍る。そこにヴァーリが巨大な魔力弾を放った。
コアはその一撃をもろに受け、消し飛んだ。
すると突然、俺の背後にコアが現れ、アームハンマーを放つ態勢になっていた。
俺は振り向きざまに両手をコアに突き出し、魔力弾を放つ!
俺の手から放たれた魔力弾はコアを包み込み、そのまま壁に激突、爆発した。
今のは確実に当たった。倒せないにしても、何かしらのダメージはあるはず。
俺とヴァーリはコアがいると思われる場所を見る。
煙が晴れるとそこには、無傷のコアがいた。
ヴァーリが俺に訊く。
「シドウ・グレモリー。あなたはあれをどう見る」
「そうだな。驚異的な成長と再生能力がある、かな?」
「そうとしか言えないが、そんなあいつをどうすれば消し飛ばせるか……それが問題だな」
俺はあごに手をやりながら答える。
「俺がありったけ増大して、おまえに譲渡。は、コアがさせてくれないか」
「確かに、それでは俺に触れるという無駄がある。あなた自身が撃つべきだ」
「それじゃ、溜めさせてもらうぜ」
「ああ、時間稼ぎは任せろ」
俺は後方に下がり、増大に集中する。その間、ヴァーリが一人でコアを相手する。
『boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost……』
だいぶ溜めたが、まだ足りない!あいつを消し飛ばすにはもっと必要だ!
『boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost……』
かなり溜めた、だがまだだ!
するとヴァーリが吹き飛ばされた!だが、ヴァーリは空中で態勢を立て直し、再びコアに攻撃していく。
『boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost…boost……』
そろそろ俺が耐えられないな。行くしかない!
「ヴァーリ!行くぞ!」
ヴァーリは小さく頷き、攻撃を激しくさせていった。
イッセー、技借りるぜ!
「ドラゴンショット!」
俺は両手を突き出しながら叫び、魔力弾を放つ!ヴァーリはそれと同時にコアから距離を取った。
異常なまでの速度で飛んだそれはコアに直撃。大爆発した!
「………ど、どうだ?」
イッセーが言ってたように、消耗がすごいな。
肩で息をする俺の横に、ヴァーリが並ぶ。
「確実に当たった。今ので倒れていなければ、俺たち二人だけでは無理だ」
ヴァーリも肩で息をしている。さっきの一撃が効いているのだろう。
煙が晴れると、そこには無傷のコアがいた。今のでもダメなのか……。
俺とヴァーリはどうしようもなくなってしまったが、コアに異変が起き始めた。
ボコボコと体が隆起し、変形していく。突然、コアは強い閃光を放った!
再びの光を手で防ぎ、止むのを待つ。光が止み、そこにいたのは。
同時に俺とヴァーリは背中から衝撃に襲われ、吹き飛ばされた!
二人同時に壁に激突、そして床に落ちる。
俺は仰向けに倒れ、ヴァーリの方を見る。向こうはコアを睨んでいた。俺もコアの方に目を向ける。
両手を突き出した態勢のコア。俺とヴァーリでもわからない速度で後ろに回り込み、そして攻撃したのだろう。
俺とヴァーリはフラフラになりながら立ち上がるが、再び崩れ落ちてしまう。
鎧が完全に粉砕され、背中から血が流れているのがわかる。骨も何本か逝ってるな。
コアは俺たちを見下ろすと、興味を失ったように天井の穴の方へと飛んでいった。
体に力が入らなくなってきた。血、血が足りねぇ……。
ヴァーリも立ち上がれないようだ。
「これが、限界か……逆にあいつを進化させちまった気がする……」
「あのコアは……相手に合わせ、進化していく。それが一番の能力なのかもしれないな……」
倒れながらも二人してあいつの情報をまとめていた。
「アルビオン……偽龍帝……生きてる?」
リリスがトタトタと走ってくる。それにしても、偽龍帝ね……。
「リリス、俺はシドウだ」
「シドー?」
「もう…それでいいよ……」
少し気が紛れたが、コアをどうにかしないとな。
体を起こそうとするが、腕に力が入らない。これ以上は無理か………。俺の意識は暗闇に落ちていった。
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