僕、木場裕斗を含めたチームD×Dは、さっきまでアジュカ様からレイヴェルさんの受け渡しと
その話が一段落したら、オーフィスが重症を負ったこと、そして、イッセーくんの父さん、母さんがリゼヴィム拉致され、二人に同行していたシドウ先生も行方不明になったことを知らされた。
イッセーくんやリアス元部長、ロスヴァイセ先生が動揺していたが、今はどうにか持ち直している。
それから、ヴァーリがアグレアスを発見したことを聞かされ、すぐにアグレアス攻略のための作戦が練られた。
まず、アジュカ様の禁呪の類いの転移型魔法を使う。しかし、それで一度に送れる人数は限られてしまう。
なので、陽動のためにソーナ元会長と眷属、ジョーカー・デュリオ、シスター・グリゼルダと
そして相手を陽動し、その隙に僕たちオカルト研究部、そして
ヴァーリチームもそれに合わせて踏み込んでくるそうだ。
僕たちはそれを確認したところで、作戦が開始されたのだった。
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アグレアスに転移した、リアス・グレモリーとその眷属は、何の問題もなく作戦をこなしていた。イッセーとアーシアを兵藤夫妻救出に向かわせ、後は時間を稼ぐだけとなったのだが、その途中、皇帝べリアルからの『レーティングゲームの闇』なる放送が冥界全土に行われた。だが彼らにそれを気にする余裕はない。異常なまでの邪龍が彼らに殺到していたからだ。
オーフィスに重症を負わせた
リアスはそれを見ながら邪龍を殴り倒した。今の彼女は紅の鎧を見に纏っている。これがイッセーとの『新技』、赤龍帝の力を込めた
そんな彼女の猛攻と、眷属たちの攻撃で邪龍を蹴散らしていると、突如、彼らに群がっていた邪龍が四方八方に散っていった。
全員がそれに警戒していると、庁舎の正面玄関から人が出てきた。
イッセーが両親救出を済ませたのかと、全員がそちらに顔を向けると、そこにいたのは……。
『お、お兄様?』
「シドウさん!」
行方不明となっていた、シドウ・グレモリーだった。
リアスたちは彼が無事だったことに安堵するが、同時に警戒を強めた。
シドウ・グレモリーの右手に、『見慣れた赤い籠手』が装備されているからだ。
「お兄様、その籠手は……」
リアスが訊くがシドウは答えない。ただひとつ言えることは、目が陰っており、様子がおかしいという事だけだ。
すると、籠手の宝玉が点滅し始め、録音と思われる音声が流れ始める。
『ど~も、D×D諸君!リゼヴィムおじちゃんです☆さて、どうして彼がこのレプリカのブーステッド・ギアを持っていて、キミたちを睨んでいるか、聞きたいでしょ?聞きたいでしょ!』
リゼヴィムの声に、一様に顔をしかめる一同。それにかまわず、リゼヴィムの音声は続く。
『いや~、何回言っても俺に協力してくれないもんだから、聖杯とかを使って、「洗脳」させてもらっちゃった☆てなわけで、今の彼は僕ちゃんの忠実なる
そこで音声は途切れ、シドウは拳を構えた。
『お兄様!しっかりしてください!』
「シドウさん!聞こえないんですか!」
リアスとロスヴァイセが叫ぶが、彼は構えを解くことはなかった。
「リアス部長、やるしかなさそうだ」
「部長、少々手荒いですが、力ずくで」
ゼノヴィアと木場が得物を構えた。
『お兄様、あなたを止めます』
リアスはそう言うと構えた。それを見て、構えを作っていなかったメンバーも構える。
シドウがゆっくりと歩み寄る。それに全員が動かずに警戒している。
シドウの戦闘を間近で見てきた彼らは、シドウの癖をある程度だが理解している。だが、リゼヴィムの『記憶も痛覚もなくなった』という発言で下手に動けないでいるのだ。
まだリアスたちへは距離はあるが、庁舎から離れたところでシドウは止まり、右手で手招きをした。まるで、こうしろとインプットされた機械のように。
『boost……』
イッセーのものと比べると機械的な音声がシドウの籠手から発せられる。
その音声を合図に真っ先に飛び出したのはゼノヴィアだった。右手にエクスカリバー、左手にデュランダルのスタイルでシドウに斬りかかるが、それをシドウは体さばきだけで避けていく。
『boost……』
そしてゼノヴィアが大振りに二刀を横凪ぎにクロスするように振ったところを見逃さず、それを跳躍して避けると、そのままゼノヴィアの顔面にドロップキックを撃ち込み、吹き飛ばす。
シドウは着地を決めると再び手招きをする。
『boost……』
そこにロスヴァイセと朱乃の同時魔法攻撃が降り注ぐが、それも最低限の動きだけで避け、時には籠手で弾き返していく。その魔法攻撃の雨の中を突っ切り、シドウに肉薄するのは、木場だ。木場はシドウが防御に籠手を使い、態勢を崩した隙に斬りかかるが、それも籠手で防がれる。
『boost……』
木場はそのまま聖魔剣を押し込もうとするが、シドウは目を見開き、ギロリと木場を睨む。木場はその目を見てゾッとした。その瞳は、普段のシドウからは想像できないほど冷たく、不気味な色を映していた。木場は咄嗟に飛び退く。
『balance……break……』
シドウの籠手から、その音声が静かに響いた。
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